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即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。(書籍準拠版)  作者: 藤孝剛志
4章 ACT2

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第23話 あんなバケモノを、放っておいていいわけがないだろう

 ホラリスが死に、聖王は呪縛から解き放たれた。

 だが、そうはいってもすぐに動けるようになったわけではない。座っていた椅子から立ち上がる程度のことにさえ、多少の時間を要したのだ。

 動けるようになった聖王は、おぼつかない足取りで朽ちた教会を出た。

 そこからは、王都を一望できる。

 聖王はそこに何があるのかを知っていた。動けないながらも、王都で行われた一部始終を把握していたからだ。

 そこには、これ以上ないぐらい壊滅的な光景が広がっていた。

 王都を守るべく存在する巨大な城壁。その上端までが、腐った肉のようなもので埋めつくされているのだ。復興を考えるのも馬鹿らしいような状態だ。

 もうこの土地は、人が住める場所ではなくなった。

 こんな状況ではあるが、その肉塊、魔神マナは活動を停止していた。マニー王国からすれば最悪の事態だが、それでも、これ以上被害が広がることだけは避けられたのだ。


「……ふざけるなよ……なんだこれは! どうやってこんなものを殺せるというのだ!」


 聖王が万全であったとしても、こんなものはどうしようもない。

わずかな光明もない絶望的な状況だった。だがあれは、人智を超えた神域の存在を殺してみせた。

 確かにそれは喜ばしいことだろう。このままでは世界が滅んでいた可能性すらある。それを未然に食い止めたのだ。その行いは讃えられてしかるべきだろう。

 しかし。

 こんなことをできる存在を、はたして野放しにしておいていいものなのか。

 異世界から来た少年だ。その価値基準はこの世界の者たちと著しく異なっていてもおかしくない。

 そんな彼が、この世界の者たちに牙を剥かないと断言することができるのか。

 ちょっとしたことで気分を害して、この世界の者たちを殺して回らないと言い切れるのか。


「あんなバケモノを、放っておいていいわけがないだろう……」


 魔神アルバガルマを倒しただけであれば、聖王もこうは思わなかった。アルバガルマは限界まで弱体化していたのだ。あと一押し、何かがあれば倒せる可能性はあった。

 だが、魔神マナは違う。アルバガルマ以上の力を持ち、その力を十全に発揮していた。人に倒せるような存在ではなかったのだ。それこそ、別の神の力を(こいねが)うしかないぐらいの絶望的な存在。

 だが少年は、魔神を容易く葬りさった。

 ならば高遠夜霧とは、魔神などの比ではない、より絶望的な存在ということになる。

 聖王は、その脅威を心の底からかみしめていた。


  *****


 王都にあらわれた翼を持つ者。

 それは、魔界よりあらわれた魔神の一部を認識し、宙へと逃れた。

 そして、王都を埋めつくすそれが、自分たちが探していた神ではないと理解した。

 確かに、そこに神に類するものはいた。だがそれは、自分たちの奉ずる神とはあまりにも異なるものだったのだ。

 それは、探索を切り上げた。

 また、どこかで神の気配がするまで待つしかないのだ。

 だが、それにはまだ、ここでするべきことがあった。

 全身から刃を生やした黒い異形。

 あれは、厄介だ。なんらかの対処をするべきだと考えたのだ。

 同じタイミングでやってきたということは、あれも、神の気配を感じ取ってやってきたはずだ。目的はわからないが、あれを野放しにするのはまずいと、そう判断した。

 王都周辺を捜索するも、異形の姿は見当たらなかった。

 おそらくだが、あれも求める神とは違うと判断し、即座に撤退したのだろう。

 あれがそう易々と肉に呑み込まれるようなものだとは、それには思えなかった。

 気付けば、神気を発する肉の海は、その活動を停止していた。

 理由はわからない。だが、それにとってはどうでもいいことだった。

 それは、帰還することにした。

 人間どもが王都と呼ぶ地を離れて空の彼方へ。

 そうしようとしたところで、それは首をかしげた。

 王都から少し離れた位置。そこに、翼を持つ存在が倒れていることに気付いたのだ。

 ここにやってきたのは自分を含めて二体だけのはず。

 疑問を覚えたそれは、倒れている存在のそばへと降り立った。

 倒れている存在は全身が焼け焦げながらもかろうじて生きていた。だが、このまま放置すれば死ぬだろう。

 それは観察した。

 倒れている存在からは神気を感じない。ということはただの人間のはずだ。なのに翼が生えている。それは飾りというわけではなく、生来のもののようだ。

 判断に迷ったそれは、倒れている存在を連れていくことにした。

 不要なら後で始末すればいい。

最終的な判断は上層部がするだろう。それはそう考えた。

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