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愛する人へ

作者: 藤谷 K介(武 頼庵)


 愛する人へ



 一生言えないと思うから、今のうちに胸の内を話しておこうと思う。


 何の縁で繋がっていたのか、今になってはどうでもいい事だけど、俺と君は夏の日に出会ったんだよね。


 俺は首の手術をしてきたばかりでさ、あまり体を動かす事――特に首を動かす事が出来ないっていうのに、『花火を見に行こうぜ!!』って急に誘って来た同級生(ダチ)

 最初は断ったんだけど、一緒に行くだけでいいからと押し切られて行く事にしたあの日、君は同級生と一緒に車に乗ってやってきた。


 最初それをみたときはさ、実の事を言うと『コイツ!! 俺を誘っておいて彼女ときやがった!!』と思っちゃって、「俺って邪魔じゃね?」とか言ったんだけど、同級生(ダチ)は笑って「違う違う!! そんなんじゃねぇよ!!」とか言ってた。


 そうは言ってもさ、絶対そうに決まってるよなぁって思ってたんだけど、いやぁまさか本当に違うなんて思っても無かったよ。


 後で聞いたらさ、『俺に会いに来た』んだってね。



 それからずっと何かと理由を付けて俺と連絡するようになって、それから二人でも会うようになって、俺達は恋人になったんだっけ……。


 懐かしいよね。覚えてるんだろうか?



 それから次の年には結婚してさ。

 急だったよね。

 俺が一緒に住むことを報告するために君の家に挨拶に行ったら、君のご両親がさ『結婚の挨拶』に来たと思って『いつ結婚式するんだ?』って聞いてきて、違いますって言ったんだけど、結局は押しに負けてというか一緒に住むなら結婚しろって話になってさ、次の年の6月には入籍したんだよ。


 周りの人達が驚いてたんだよなぁ。何しろ急だったから。


 


 それからもう約25年が経つんだよ。

 早いよね。

 いつもいっしょにいたしさ、一緒に笑って泣いて、喜んでちょっとケンカしたら拗ねて……。

 色々あったけど楽しかった。


 そう本当に楽しかったんだ……。

 


 俺の方が体が弱いからさ。色々と迷惑もかけたし心配もさせたと思うんだよ。

 だからというわけじゃなくて、俺の方が先に逝くんだって思ってたんだ。ずっと……。


 なにになんでだよ!!

 何で君の方が急にそうなるんだよ!!

 なんだよ!! 『緊急搬送』って!! 

 なんだよ!! 『全身転移の可能性』って!!


 急すぎんだろ!!

 

 何でそれでも俺に笑ってくれるんだよ……。

 もっと辛いとか、もっとキツイとか泣き言を言ってくれよ!!

 

 もっと生きたいって言ってくれよ!!

 もっと一緒に居たいって言ってくれよ!!


 俺が逝くのを見届けるって言ってくれてただろ!!

 なんだよ「もういいから」って……。

 

 



 俺は諦めてないぞ。俺は諦めないぞ!!

 でもさ、でもやっぱり最悪な事考えちゃうじゃねぇか!!

 

 そんな俺の事を見て、きっと君はまた笑うんだろ?

 俺も笑うけどさ。

 だって俺のこんな胸の内なんて言える分ねぇじゃねぇか……。



 俺の愛する人よ。

 俺は君の側にいる。ずっと最後まで側にいるよ。最期まで奇跡を願うんだよ。

 そうして最後は笑顔で『お別れ』しようぜ。

 いつかきっとまた会おう。その時まで俺の事忘れんじゃねぇぞ。いや忘れれてもいいや、俺が探してやるよ。



 だから……またな。出会った時は笑ってくれよな。


 

 俺の最も愛する人へ。

 君の前では言えないからさ。



 俺はこれからもずっと君の事を愛し続けていくよ。

 

 

 

 

これをヒューマンドラマで掲載していいのか分からない所ですけど、その他でもいいのかな?

別に読まれる事など考えて書いたわけじゃないんで……。


ゼッタイに『読まない』ところへ胸の内を晒しておきたかった……。

ただそれだけなんです。

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― 新着の感想 ―
これを読んで「しら恋」を読むと色々深く感じちゃうな。 アナタの人生はアナタの人生で色々あるのだろう。 でも、そこにあるドラマは誰がどう言ったって「美しい」と少なくとも僕は言いたい。 友よ。そう胸…
ずっとそばにいて、とにかく手を握ってあげててください。 歌を歌ってあげたり、本を読み聞かせしてあげたり。 アロマで足をマッサージも、気持ちいいと思います。 指の間には垢がたまりやすいから、ホットタオル…
モホ? 薔薇族? そんな話は 嫌だ (;つД`)
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