夜会開幕、甘く近づく二人の心…
煌めくシャンデリアが夜会の会場を照らし、流れる音楽に合わせて人々の声が交錯する。
緊張で歩幅が乱れそうになる私を、玲くんはそっと支えてくれた。
「大丈夫だよ。君は僕の隣にいるだけでいい。」
玲くんの低くて心地いい声が耳に届き、肩の力が抜けていく。
ドレスの裾がふわりと揺れ、彼の腕に導かれながら会場の中心へ進んでいく。
周囲の視線が集まっているのがわかるけれど、不思議と怖くなかった。玲くんの隣にいるだけで、強くなれた。
「栞里、君は本当に綺麗だ。誰も目を離せない。」
玲くんは立ち止まり、私を見下ろしてそっと頬に触れた。
長めの前髪の奥からのぞく彼の水色の瞳は、揺らぎのない強い光を宿している。
「玲くん……?」
「夜会が終わったら……君と二人きりで話したい。今度こそ、全部伝えたい。」
その言葉に、胸が詰まる。
玲くんはもう隠す気なんてないんだ。真っ直ぐに、私だけを見ている。
その気持ちが痛いほど伝わってきて、頬が熱を持っていく。
「私……」
何か答えを返したいのに、声が出ない。
玲くんはそんな私に微笑み、指先でそっと私の顎を持ち上げた。
「……君を誰にも渡したくない。ずっと……君の隣にいたい。」
玲くんの顔が近づく。
大きな手でそっと私の手を握り、もう片方の手は私の髪を優しく撫でた。
指先が耳に触れるたびにくすぐったくて、心臓が壊れそうなくらい鳴っている。
「玲くん……」
「君の気持ちを急かすつもりはない。君が笑ってくれるなら、それでいい。でも……」
玲くんの目がほんの少し切なく歪む。
その表情を見た瞬間、胸がぎゅっと締めつけられた。
「でも、僕は……ずっと君だけを想ってる。どんな時も、これからも。」
優しい低音の声が、静かな夜会の音楽に溶けていく。
玲くんの言葉は甘くて切なくて、心の奥まで響いてきた。
「……ありがとう。」
それしか言えなくても、玲くんは微笑んでくれた。
私の手を大きな手で包み込み、指を絡めるようにぎゅっと握り返す。
「今夜は、君を離さない。」
玲くんの囁きが耳元に落ち、会場の喧騒が一瞬遠のいた。
二人だけの世界に閉じ込められたみたいに、甘く静かな時間が流れていた――。