サプライズは突然に!?天然王子と騎士の攻防戦
「おかえりなさいませ、お姫様〜!」
部屋の扉を開けた瞬間、バラの花束と、ドヤ顔のリオンが飛び込んできた。
「……なんの騒ぎ?」
「サプライズだぞ!今日から、オレがシリリを姫として甘やかす日!」
「いや、だから栞里って――っていうか何その企画!?」
「オレ、考えた!甘やかされミッション!日本語は未熟、でも気持ちは熟成!」
「わけわからないこと言ってる!!」
「ほら、今からオレとデート!」
***
連れてこられたのは、城の裏庭。
リオンいわく「姫のためのスペシャルパーティー」らしい。
「まずは王室紅茶。味は……まあまあ安全。」
「不安な単語がチラついてる……」
「飲んで!で、褒めて!」
一口すすると、思ったよりちゃんとしていて驚いた。
「……美味しい。」
「よっしゃー!!シリリに褒められたーーー!!!」
リオンはジャンプして小躍りしだした。
思わず笑ってしまった私。
その時――背後から、あの心地よい声が聞こえてきた。
「栞里……?」
振り返ると、玲くんが静かにこちらを見ていた。
いつも通り、黒のスーツに胸元の薔薇。
でも、その顔はちょっとだけ、困ったような笑みを浮かべていた。
「……栞里、楽しそう。よかった。」
「えっ、あ、ちが……これはリオンが勝手に――」
「ううん、大丈夫だよ。僕も混ぜてって言いにきたの。」
玲くんはそう言いながら、庭にあったベンチに腰を下ろした。
「ほら、バラのジャムクッキー。おいしいよ。お花の味。」
「お花の味……?」
「うん。昔、おばあちゃんが作ってくれてたんだ。食べたら、ふわふわして眠くなる……たぶん気のせいだけど。」
「それは、癒し……?それとも毒……?」
玲くんはクッキーを差し出しながら、にこっと笑った。
「でもね……栞里が他の人にいっぱい笑ってるの見たら、僕、ちょっと変な気持ちになっちゃった。」
「変な気持ち?」
「うん。……なんでだろ。胸のここ、ぎゅーってなったから、これはたぶん、筋肉痛かな?」
「それ、筋肉痛じゃないよ!!」
「えっ、違うの?」
玲くんは本気で驚いた顔をする。
その顔がもう、なんていうか、無敵だった。
思わず顔を背けたくなるくらい、天然で可愛い。
「……もしかして嫉妬?」
「しっと……?」
「しっ……と。こう、ちょっとモヤッとする気持ち……」
「そっか、それかあ……!初めてで気づかなかったよ。」
「ええええ!?気づいてなかったの!?」
玲くんはほわっとした笑みを浮かべて、栞里の隣に並んで座る。
「栞里、また僕とお菓子食べてくれる?」
「……うん。」
「よかった。……僕ね、栞里の笑顔、誰かに独り占めされたくないって思ったの、今日が初めてなんだ。」
……この人、ほんとに天然なのか、それとも罪な男なのか。
でも――どっちにしても、私の心がふわっとあったかくなるのは、きっと玲くんだけだと思った。
読んでくださってありがとうございました!
今回は、リオンのサプライズ暴走&玲くんのちょっと天然で可愛い嫉妬でした!
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