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【書籍化決定】転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした  作者: 鳥助
第一章 捨てられたけど、万能な魔力があるお陰でなんとかなりそう!

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8.辺境の村

「えっ! ここって、カレディア王国じゃないの!?」

「うん。隣国のルベリオン帝国。の端っこ」


 衝撃の事実だ。ということは、私は隣国に捨てられたってことになる。まさか、隣国に来ているとは思わなかった。


「じゃあ、地理とか分からないな。どうしよう……」

「大丈夫。あたしが分かっている」

「クロネはルベリオン帝国に詳しいの?」

「うん、詳しい。だって、生まれた国だから」


 そっか、それなら安心だ。


「てっきり、クロネは流浪の旅人かと思ったよ。どこか遠くの国からやってきて、目的のために修行を積んでいるような」

「あたしの目的はこの国にあるから、離れる事は出来ない。だけど、流浪はいいな。響きがカッコいい」

「だったら、違う国に行ってみる?」

「……魅力的だけど、目的のためにこの国を離れる事は出来ない」


 クロネの勝ちたい相手を意識しているみたいだけど、他の国に行っても修行は出来ると思う。どうして、頑なに自分の国に拘るんだろう?


「何か他にも理由があるの?」

「……別に。ちょっと、気になる事があるだけ」


 あー、喋ってくれないか。まだ出会ってそんなに時間が経っていないから、自分の事を詳しく話すまで仲良くなっていない。


 今はダメでもこれから仲良くなっていけば、きっと色々喋ってくれるよね。こんなことでめげないで、交流を深めて行こう。


「そろそろ、近くの村に着く。その村で泊ってから、冒険者登録が出来る町に向かおう」

「助かるよ、ありがとう! クロネはそこで寝泊りしていたの?」

「用がないから、村には寄っていない。野宿でも問題ないから」


 なるほど。こんなに衣服がボロボロになるのは、野宿をしているせい? それとも、かなりの数の戦闘をこなしているせい?


「じゃあ、なんでその村に寄ってくれるの?」

「……ユナがいるから、村で寝泊りしたほうがいいと思って」

「えっ? わ、私のため?」

「だって……普通は村とか町で寝泊りするだろ?」


 まだ仲良くなっていないけど、クロネは私の事を気遣ってくれる。その言葉に胸の奥がじんわりと温かくなる。


「えへへ、嬉しい。私の事を考えてくれてありがとう」

「……別に」


 クロネはマントに顔半分を隠して、そっぽを向いた。照れているのかな? しっぽが嬉しそうに振れていて、可愛い。


 そのまましばらく歩いていると、森の終わりが見えてきた。それと同時に家がポツポツと見てくる。


「あれが村」

「ようやく着いたね!」


 見えてくる建造物に胸が高鳴る。森を抜けて、村の中に入った時――何か懐かしい感じがした。


 それは、この光景がどこかで見覚えがあるという事じゃない。何か、昔に感じたことのある気配がする。これは一体?


「どうした?」

「……うん、ちょっと。違和感があるというか」

「違和感? そういえば、村人の姿が見えないな」


 私が感じているのはそういうことじゃないんだけど……。でも、確かに人の姿が見えない。こんなに天気がいいから、どこかにピクニックに行ったのかな?


 辺りを見渡しながら歩いていると、クロネの耳が忙しなく動き、ある一定の方向を向いて止まった。


「あっちに人がいる。しかも、大勢。雰囲気が悪いみたいだけど、何かがあった可能性がある」

「えっ、そうなの!?」


 こんなに長閑そうな村なのに、物騒な事になっているってこと? なんだか、怖いなぁ。


「行ってみよう」

「……うん」


 クロネが先頭を歩くと、私はその後についていく。歩いて数分、村の広場に大勢の村人が集まっているのが見えた。


 村人は深刻そうな顔をして悩んでいるみたい。声を掛けようと思ったら、村人が先に口を開く。


「やっぱり、討伐は難しいんじゃないか? あの魔物は強そうだぞ」

「でも、このままじゃオルディア様の像が破壊されるぞ」

「あれが壊されると、この村の守りが弱くなる。死守しないといけないんじゃない?」

「やっぱり、町に行って冒険者に依頼しよう」

「じゃあ、誰が行く? オルディア様の守りが弱まった今、街道を行くのは危険だぞ」


 色んな意見が飛び交うが纏まらないみたい。話を聞くと、魔物が現れて困っているみたいだ。オルディア様ってこの大陸に広まっている、オルディア聖教の神様だよね?


「オルディア様? 今、国教は政変後にカリューネ教に変わっているはず」

「えっ、そうなの?」

「あぁ。まだ変わって数年しか経っていない。ということは、まだこんな辺境まで広がっていないという事なのか」


 なんか政変っていう物騒な言葉が聞こえたんだけど。でも、国教が変わる事なんてあるんだ。なんだか、意外だな。


 そんなことを考えていると、クロネが村人をかき分けて中心に行った。すると、注目がクロネに集中する。


「魔物がいて困っているんだな。だったら、あたしたちに任せてくれないか?」

お読みいただきありがとうございます!

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