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【書籍化決定】転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした  作者: 鳥助
第二章 クロネの事情

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56.ワイバーン戦

 屋敷に近づくと、ワイバーンの視線がこちらに向く。鋭い眼光でこちらを睨みつけ、叫び声を上げて威嚇する。


 さらに近づくと、屋敷に取り付いたワイバーン全員が顔を上げて、こちらを睨みつける。唸り声を上げ、今にも襲い掛かってきそうだ。


「Bランクのワイバーンが全部で十二体。気を引き締めて戦って」

「うん、分かった」


 それなりに強い相手だから、気が抜けない。クロネが言った通りに気を引き締めて、ワイバーンに近づいていく。


「キシャーッ!」


 すると、ワイバーンが屋敷から離れ、飛んだ。屋敷に取り付いていた姿よりも、大きく見える。


 その迫力に怖気づきそうになる。だけど、その時――クロネが振り向いてくれた。


「ユナ、大丈夫?」


 きっと、私が怖がっていた匂いを嗅ぎつけてくれたのだろう。その優しさに嬉しくなりつつも、自分の感情が筒抜けなのが少し恥ずかしい。


「クロネが心配してくれたから、もう大丈夫」

「……何それ」


 プイッと素っ気ない態度を取る。けど、私には照れているって分かってる。お互いの事が分かっていて、なんだか心が一つになったようだ。


「キシャーッ!」

「くるぞ!」


 いけない、現実に戻らないと。空中を飛んでいたワイバーンがこちらに向かって飛んでくる。その素早い突進に咄嗟に防御魔法を張った。


 これで大丈夫。と、思っていたらクロネにお姫様抱っこをされた。


「クロネ!?」

「避けるぞ!」


 次々と襲い掛かって来るワイバーンの突進に、クロネが華麗なジャンプを決めて躱していく。相手があんなに素早いのに、分かっていたように避けるものだから、驚いてしまった。


 最後のワイバーンを避けると、そこでようやく私をおろしてくれた。


「大丈夫?」

「うん、ありがとう。でも、私なら平気だから、クロネはいつも通りに攻撃をして」

「そうか? 分かった」


 きっとクロネは私が怖がっていたから、あんな事をして避けてくれたのだろう。今の私じゃ、あの攻撃は避けられなかったからね。


 でも、それだといつまで経ってもワイバーンは倒せない。勇気をもって、ワイバーンに立ち向かおう。


 突進を仕掛けた、ワイバーンは空に舞い上がり、またこちらに急降下してくる。また、突進? そう思っていると、ワイバーンの口が開き、炎が噴射された。


 勢いよく噴射された炎はあっという間に私の体を包み込んだ。だけど、全然熱くない。これくらいの攻撃じゃ、私の防御魔法は打ち破れない。


 ワイバーンが炎に気を取られている隙に、空中に火の矢を何本を生成する。そして、風魔法を付与して、追尾機能も付けて勢いよく放った。


 空気を突き抜けて火の矢が勢いよく飛んでいく。ワイバーンはそれに気づき、翼をはためかせて、空へと上がっていった。


 空中で体を翻し、旋回しながら火の矢から逃げる。だけど、火の矢の方が速かったのか――火の矢はワイバーンたちに着弾した。


 だが、場所が悪い。ワイバーンが逃げ回っていたせいで、着弾場所がずれてしっぽや後ろ足に着弾した。やっぱり、動き回る敵は攻撃が当てにくい。


 もっと、何か違う方法を考えなくては。考えていると、近くでクロネが双剣を空に向かって構える。


「《朧牙・四連閃》!」


 双剣を振るうと、衝撃波がいくつも発生してワイバーンに向かっていった。鋭い衝撃波はワイバーンに迫った――が、ワイバーンはその体を翻して衝撃波を避ける。


「くそっ……届かなかったか。空を飛ぶ魔物はやりにくい」


 クロネでも空を飛ぶ魔物には苦戦するんだ。よし、ここは万能な魔力を持つ、私の出番だ。


 でも、どうやって戦ったらいいだろうか? 動きを止められるのが一番だけど、どうやって動きを……。そうだ、思いついた!


 私はすぐに魔力を解放した。周囲に自分の魔力を目一杯に広げる。この魔力は私のテリトリーで私の手。どうしようとも、私の自由になる。


「さぁ、どこからでも来い!」


 声を上げると、ワイバーンが私を目掛けて飛んできた。そのワイバーンが私の魔力のテリトリーに入ると、魔力を重力に変異させる。


 すると、飛んできたワイバーンに何トンもの重力が圧し掛かった。その圧力に負けたワイバーンが地面に勢いよく叩きつけられる。


 次々飛んでくるワイバーンを重力で地に伏せる。飛んできたワイバーンは面白いように、次々と地面に衝突して、その衝撃で首の骨が折れて絶命していった。


 だけど、最後のワイバーンがそれを察知して急上昇する。


「逃がさない!」


 広げた魔力を伸ばして、そのワイバーンを囲う。その瞬間、重力に変異させて、ワイバーンを地面に衝突させた。


 もう、空に飛んでいるワイバーンは一体もいない。全て、地に落として倒した。


 振り向くと、クロネがポカンとした表情で立っていた。きっと、厄介な敵をあっという間に倒したことで驚ているのだろう。


「クロネ、やっつけたよ!」


 そう声を掛けると、クロネはハッと我に返った。


「ユナ、凄い!」


 すると、称賛の声が飛んできた。えへへ、嬉しいな。これで、この村は救われたよね!

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