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【書籍化決定】転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした  作者: 鳥助
第一章 捨てられたけど、万能な魔力があるお陰でなんとかなりそう!

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43.やっぱり気になる

「よし! 依頼もなかったし、一緒に修行をしよう!」


 冒険者ギルドに寄った後、クロネが目を輝かさせてそう言った。


「そうだね。気になった依頼もなかったし、修行して強くなろうか」

「じゃあ、戦いやすいように町の外に行こう! 外なら、どれだけ暴れても平気だからな!」


 一緒に修行をすることに決まると、クロネは上機嫌になった。しっぽが嬉しそうに振れているのを見ると、こっちまで嬉しくなってくる。


 上機嫌なクロネに引きつられて町の外に出ると、人がいない場所を確保した。


「ユナ、やろう!」

「うん」

「手加減は無しだ!」

「無しでいいの? クロネに防御魔法を張ろうか?」

「それはいらない! 緊張感がなくなって、修行にならない!」


 本当に大丈夫かな? あんまり怪我をして欲しくないんだけど……。まぁ、怪我をしたら私が治せばいいしね。


 距離を取ると、私は全力の防御魔法を張った。これなら、並大抵の攻撃は受け付けないはず。


「クロネ、いいよー」

「じゃあ、行くぞ!」


 合図を送ると、クロネの雰囲気が引き締まった。目を細めて、真剣な顔つきになると、こちらに向かって駆け出してくる。凄く速い!


 クロネが勢いよく地面を蹴って一気に距離を詰めてくる。 でも、こちらも準備はできている。


「行くよっ!」


 私は胸の奥に魔力を溜め、一気に放出する。放たれるのは、風の矢。空気を鋭く圧縮した魔力の弾丸。それを何発も、矢継ぎ早に連射する!


 風の矢が唸りを上げてクロネへと飛ぶ。だけど、彼女はそれを――


「ふんっ!」


 身体をひねって、跳ねて、くるりと宙を舞って――すべてをギリギリで避けた!


「うわっ、全部避けたの!?」


 どんな身体能力しているの!? 驚いていると、クロネが目の前に!


「《月影舞》!」


 目の前にいたクロネがシュンッと消え、無数の斬撃が防御魔法を襲う。この斬撃……以前よりも多くなっている!


 無数の斬撃を食らった防御魔法は削れた。だけど、完全には消えていない。これなら、まだ大丈夫! 後ろにいるであろうクロネの方を向くと、すでにクロネは次の攻撃に移っていた。


「はぁぁっ!」


 体を宙に浮かばせて、思いっきり捻る。すると、体が素早く回転し、強烈な一撃が防御魔法を襲う。


 バチンッ!


 防御魔法に大きな歪が出来た。これは、危ない! 咄嗟に魔力を放出し、クロネの体を包み込む。そして、その体を宙に拘束した。


「なっ! この力は!?」

「この拘束から逃げ出せるかな?」

「くっ、このっ!」


 宙に浮いたクロネは拘束を解こうともがく。だけど、私の魔力が強いからなのか、そう簡単には外せない。体が動かないように強く拘束していくと、クロネの表情が険しくなった。


「ふっ!」


 ここ一番の真剣な表情をして、少しずつ体を動かしていく。その抵抗力に私の魔力が押され始めた。負けてられない!


 そう思って、魔力を強めようとした時――あの時の記憶が蘇った。ランカを傷つけた連中を拘束していた光景にそっくりで、ランカの事を思い出してしまった。


 あれから、ランカは何事もないだろうか? また、あの人達に酷い目にあわされていたら……。そう思った時、魔力に強い負荷がかかった。


「ふんっ!」


 なんと、クロネが私の拘束を解いた。地面に降り立ったクロネはすぐに私と距離を取る。しまった……集中を切らしてしまった。


「今、ユナは手を抜いた。もしかして、手加減した?」


 少し不機嫌そうにクロネが言った。


「手加減はしてないよ。ただ、ちょっと考え事をしていただけ」

「今は修行の時間だから、あたしの事だけ考えて欲しい」

「うん、ごめん。もう、大丈夫だから続きをしよう」


 気を取り直して、私は手を構えた。すると、それを見てクロネからの威圧が強まる。本気でやらないと、こっちが負けちゃいそうだ。


 全速力で立ち向かってくるクロネに向け、私は魔法を放った。


 ◇


「あー……勝てなかった」

「私の勝ちだね」


 草原に寝そべったクロネが残念そうに呟き、私は嬉しそうに笑った。


「でも、クロネは強くなっているよ。私の防御魔法がどんどん削れていったんだもん。凄く冷や冷やした」

「……あたし、強くなっている?」

「うん。前よりも強くなっているよ」

「そうか!」


 私の言葉にクロネはとても嬉しそうにした。


「私はどう?」

「ユナは強すぎる」

「あんまり、成長していない?」

「ユナはもっと魔力の使い方を工夫すれば、もっと強くなる気がする」


 そうか、私の強さは魔力の使い方にあるのか。だったら、どんな場面にも対応出来るように、色んな魔力の使い方を学ばないといけないね。


「ユナは強いから手加減されていると思って、少しムカついた」

「いや、あれは手加減じゃないよ。ちょっと、思い出しちゃっただけ」

「何を思い出していた?」

「えっと、ランカのこと。あれから会ってないから、どうしたのかなって思って」

「……あたしも気になる」


 良かった、気になるのは私だけじゃなかったみたいだ。


「もうランカが酷い目に合う事はないよね?」

「そう願いたいけれど……どうだろう? ……気になるなら、会いに行ってみるか」

「そうだよね、会いに行こう」


 そうだよ、遠慮なんてする必要はない。気になるのなら会いに行けばいい。余計なお世話かもしれないけれど、他に力になれる事があったらいいな。

お読みいただきありがとうございます!

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