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【書籍化決定】転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした  作者: 鳥助
第一章 捨てられたけど、万能な魔力があるお陰でなんとかなりそう!

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35.襲撃

「大変だ! 大勢のゴブリンたちがこちらに向かってきている!」

「何っ!? それは本当か!?」

「その数は百以上はいる。あたしたちだけじゃ、その数をせき止められない。どこかに隠れた方が良い」

「だったら、教会がある! みんなを教会に集めるんだ!」


 私たちの話を聞いた村人たちが一斉に村に向かって走って行く。私もお手伝いしなくちゃ! そう思って駆け出そうとした時、クロネが森の入口で突っ立っているのが見えた。


「クロネ! 私たちも村人の避難の誘導をしようよ!」

「あたしはここに残る」

「ここに残るって……凄く沢山のゴブリンが迫っているんだよ! 一人で残ったら、大変な事になっちゃうよ!」

「少しでも避難の時間を作るために、ここで引き付けておく」


 そんな……一人でなんて置いていけないよ!


「じゃあ、私も残る!」

「ユナは避難の手伝いに行って」

「でも、クロネを一人で置いていけないよ!」

「あたしは大丈夫。ゴブリンごときに遅れは取らない」

「上位種とか他の指導者がいるかもしれないから危ないよ!」


 必死になってクロネを説得するが、クロネは首を縦には振らない。


「避難には時間がかかる。どうしたって、ゴブリンの襲撃の方が早い。このままだと村人が危ない。だから、ここで少しでも食い止める必要がある」

「……うん」

「あたしは強いから大丈夫。だから、ユナは村人の事を頼む」

「……分かった。村人を避難させたら、必ず来るから」

「あぁ、待っている」


 私は留まりたい気持ちをグッと堪えて、その場を走り去った。クロネの覚悟を無駄にしたくない。まずは村人の避難。クロネはその後だ。


 ◇


 私は村人の家を一軒ずつ周り、避難に誘導した。村人たちは大慌てで教会に向かっていく。


 ゴブリンたちが来る前にはなんとか村人を教会の中に避難出来そう。そう思っていた時だ、近くから声が聞こえた。


 振り向くと、そこにはゴブリンではなく――ゴルガンがいた。どうして、こんな所にゴルガンが? 不思議に思っていると、ゴルガンは教会目掛けて駆け寄ってくるようだった。


「魔物が来ているよ! 早く、教会の中に!」


 私は足の遅いおばあさんを支えて、教会の中へと急いだ。最後の私たちが教会の中に入ると、教会の扉は閂で閉められた。


「あぁ、どうしてこんな事に……」

「どうか、魔物がいなくなってくれますように」

「これからどうなるんだ!」


 教会の中では村人たちが不安そうにしていた。頭を抱える者、祈るもの、憤りを隠さない者、と様々だ。どよめきが起こる中、ふと視線を上げると、祭壇の後ろにオルディア様の像があることに気づいた。


 この村はまだオルディア様を信仰しているんだ。ゴルガンにオルディア様の像……既視感がある。あの村で起こっていた事と重なっていた。


 まさか、あのゴルガンはこの像が目当て? そんなことを考えていると、扉が大きな力で叩かれた。


「ひぃぃっ、魔物だ!」

「扉が開かないように抑えろ!」

「絶対に入れるな!」


 外にいるゴルガンが教会に入ろうとしている。どうにかして、教会も守らなくっちゃ。でも、どうやって?


 守る力……そういえば、以前の像はオルディア様の力で守られていた。だったら、今回もオルディア様の力を使って教会を守ればいいんじゃない?


 うん、それがいい。そうしたら、私は攻撃に移れる。


 胸にしまった飾りに手を当てて、オルディア様に問いかける。


 オルディア様、いますか? オルディア様……。


 真剣に呼びかけていると、音が頭の中に流れた。


『……ぐー、むにゃむにゃ』


 オルディア様!


『ファッ!? な、何々!?』


 良かった、オルディア様起きてくれたんですね。


『ユナじゃない。どうしたのこんな時間に。神営業の時間はとっくに終わってますよ、プンプン』


 そこをなんとかお願いします。今、オルディア様の像がある教会が魔物に襲われているんです。このままだと、教会が魔物に突破されちゃいます。だから、この間みたいに教会事バリアを張ってくれませんか?


『えっ、また私の像が襲われているの!? それは、大変! これ以上、私の像がなくなっちゃうと影響力が落ちて大変な事になるわ! ……でも、今は神営業の時間じゃないし。うーーーん』


 いやいや、悩んでいる暇はないでしょ! お願いです、以前のようなバリアを教会に張ってください!


『……ユナが応援してくれたら、頑張れます!』


 ……応援? が、頑張ってください。


『もっと感情をこめて!』


 オルディア様は、この村の人たちを守れる唯一の存在なんです! 私、信じてます! オルディア様がいてくれるなら、絶対に大丈夫って。だからお願い! 世界一かっこよくて、誰よりもすごい神様! どうか、力を貸してください!


『うーん、どうしようかなぁ』


 早くしろ。


『はい。やらせていただきます。像に向かって祈ってください』


 私はみんなの前に立つと説明を始める。


「オルディア様の像に向かって祈れば、教会が守られるみたい。だから、みんなで祈って!」

「本当にそんなことで?」

「でも、この像は神聖なものだから、きっと!」

「あぁ、祈ろう!」


 話を聞いた村人はオルディア様の像に近寄ると、手を組んで祈り出した。すると、オルディア様の像が青白い光を放ち、その光は教会に広がっていく。


 すると、扉を叩いていた音が消え、教会内は静寂に包まれた。


「おお! 扉を叩く音がしなくなったぞ!」

「良かった! ここは安全になったのね!」

「オルディア様ありがとうございます」


 音がなくなったことで、村人たちは安堵した様子だ。このバリアがあれば、攻勢に移れる!


 まずは、教会の周りのゴルガンたちを倒して、その後にクロネの所に行こう。待っていてクロネ、すぐに助けに行くから!

お読みいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
汁まみれの女神像は無かったか〜 この女神様だと汚れ役考えるのに罪悪感が無いんだよな〜 ???『不遜!不敬!』
女神さまパワー(^^)
相変わらずの駄女神感w そんなんだから!
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