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【書籍化決定】転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした  作者: 鳥助
第一章 捨てられたけど、万能な魔力があるお陰でなんとかなりそう!

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32.魔力操作

 クロネを先頭にして、私たちは森の中に入った。森の中は変に静かで、鳥の声も虫の声も聞こえない。どこか不気味な様子だった。


「森の中が緊張している」

「うん。なんか、そんな感じ……。今にも何かが飛び出してきそうだよ」

「今の内に防御魔法を張っておいたほうがいい」

「分かった、そうしておく」


 クロネの助言を受けて、すぐに防御魔法を張る。これで、奇襲を受けても大丈夫そうだ。


「クロネにもかけようか?」

「いい。ゴブリン相手には遅れを取らない」

「なんかそれ、カッコいいね」

「……別に」


 ふふっ、褒められるとやっぱり嬉しくなるね。あっ、いけない。クロネにじゃれてる場合じゃなかった。私のためにここまで来たんだから、ちゃんとやるべきことはやらないとね。


 それにしても、大勢に魔法を当てるって難しい。まだ操作が覚束ないから、当てるのに必死になりすぎて、威力が落ちちゃいそうだ。


 魔法が必中して、威力も落とさないようにするにはどうしたらいいんだろう? 魔法が自動的に動いてくれればいいんだけど……そんなことって出来るかな?


 自動的に追尾してくれたり、魔法が自ら当たりに行ってくれたりしたら、自分で調整しなくてもいいから楽なんだけど。それだと、自分の技量が上がらないかな?


 技量を上げるのは大切だけど、必中の方が大切だ。どんな場面にも魔法が必ず当たってくれたら、凄く便利なのにな。その為には、何か魔力に細工をした方がいいのだろうか?


 細工、細工……。


 考えながら歩いていた時、前を歩いていたクロネにぶつかった。


「……どうしたの、クロネ?」

「いる」

「えぇっ!? ゴブリンが!?」

「向こうもこちらに気づいているみたいだ。嫌な視線を感じる」


 えっ、どこにいるの!? 慌てて周りを見て見ても、木しか見えないから良く分からない。


 すると――。


「ギャギャギャッ!」


 ゴブリンらしき魔物の声が響いた。その声に反応するように、森の中が騒がしくなる。あちこちから、同じ声が響いてきたのだ。


「これは……仲間を呼んでいる? ユナ、来るぞ」

「う、うん」


 クロネが身構えると、私も身構えた。あちこちから聞こえてくる声がどんどん近づいてきているのが分かる。緊張して待っていると、魔物が飛び出してきた。


「グギャー!」


 子供のように小さな体。尖った耳と出っ張った鼻。粗末な布を身にまとって、粗末な武器を手に持っている。凶悪な顔をしたゴブリンたちが現れた。


 その数はどんどん増えていき、私たちの周りには三十体以上ものゴブリンたちに囲まれた。


「確かに、これは大勢だな」

「こんなにいるんだね」

「あたしがゴブリンを引き付ける。その間にユナは魔法で攻撃を」

「分かった」


 数に圧倒されたけれど、クロネの言葉で気を取り直す。クロネはゴブリンの前に出ると、指を手前に動かして挑発した。


「雑魚。武器無しでいい」


 その挑発にゴブリンたちはいきり立った。次々とゴブリンたちはクロネに襲い掛かる。


 動きは素早いがこの速度なら問題なく魔法を当てられそうだ。問題があるとすれば、そこにクロネがいるということ。クロネに当たらないように、ゴブリンにだけ魔法を当てなければならない。


 目の前でクロネは次々に襲い掛かって来るゴブリンの攻撃を避け続ける。こうしてクロネが引き付けてくれている間に魔法を当てなきゃ。


 魔法を当てるには、ちゃんと動きを見切って魔法を当てなきゃいけない。この素早さなら当てられそうだけど、数が多い分難しくなっている。


 魔法に私の意思が乗ればいいのに……。そうだ、自分の意思を魔力に含めればいいんだ。そしたら、きっと私の思った通りに動くはず。


 魔力を高め、魔力に私の意思を乗せる。あのゴブリンの頭部を狙う。その意思を込めると、魔力を火の矢に変異させて、勢いよく飛ばした。


 そのゴブリンは忙しなく動いていて、普通なら当てずらい。だけど、火の矢は軌道を変えて、ゴブリンの頭部に突き刺さった。


「やった。当たった!」


 でも、このままじゃこの数は捌けない。だったら、次は五つの火の矢を作って、それぞれに自分の意思を乗せる。


 その火の矢を飛ばすと、私が操作していないのに、ゴブリンに合わせて火の矢がそれぞれ動く。そして、私が思ったところに火の矢は突き刺さった。


 このやり方いい! 自分で操作しなくても、思った通りの所に行く。しかも、ちゃんとクロネを避けてくれるから、間違ってクロネに当たる事もない。


 これなら、もっと量を増やしてもいける。


「じゃあ、これで!」


 魔力を解放すると、私の頭上に二十本以上の火の矢が生成された。それぞれに私の意思を乗せて、あとは放つだけ。


「いっけぇっ!」


 火の矢を一斉に放った。火の矢は縦横無尽に宙を飛び、動き回っているゴブリンを追い――急所に刺さっていく。大勢のゴブリンが次々と倒れ、騒がしかった森の中は途端に静かになった。


 最後のゴブリンが倒れるのを見届け、私は息を吐く。


「よし! クロネ、見てた!? 私の魔法、凄くなかった?」


 思った以上に上手くいった操作にすぐさまクロネに感想を求めた。


「凄いな。魔法が必ずゴブリンに当たっていた。ユナは魔法を使うのが上手い」

「いやいや、魔力が万能なだけだよ。私の思った通りに動いてくれるから、ちゃんとゴブリンを倒せたの」

「そうか。これなら、私が動き回っても大丈夫そうだな」

「うん。次はクロネが戦闘に参加しても、魔法が当たらないから」


 これで、クロネと連係して戦うことが出来る! この操作方法を極めて行けば、きっと凄い事が出来るような気がする。自分の魔力の可能性を広げて行こう!

お読みいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
・・・急所? 女神像に擦り付けてた場所? 森の中にありますよね? ゴブリンがくっついていた変な液体まみれの女神像 ???『ギャーーーーーー』 まぁ嘘だけど
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