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【書籍化決定】転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした  作者: 鳥助
第一章 捨てられたけど、万能な魔力があるお陰でなんとかなりそう!

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30.リオストール子爵家訪問

「ここが、あの時のお姉さんのお家だね。結構、大きいね」

「そうか?」


 翌朝、私たちは約束通りに助けた貴族の屋敷を訪ねた。大きな門と塀に囲まれたその屋敷は、とても大きなものだった。


 その屋敷を見ていると、近くにいた門番が話しかけてくる。


「嬢ちゃんたち、この屋敷に何か用か?」

「あの、これを……」

「これは……お嬢様の手紙?」

「読んでみて」


 門番は驚いた顔をして、手紙の中を改めた。


「こんな小さな子供たちがお嬢様を助けた?」

「これでもBランクの冒険者だよ」

「ん」


 信じられないような顔をした門番に冒険者のタグを見せると、さらに驚いた顔になった。


「本当だ! お前たちは凄い冒険者なんだな。今、確認を取って来るからちょっと待っててな」


 そう言って、二人いた門番の内、一人が屋敷へと向かっていった。しばらく待っていると、門番がメイドを連れて戻ってきた。


「確認が取れた。どうやら、領主様が直々にお会いになりそうだ。このメイドについていってくれ」

「分かった」

「ありがとう」

「では、お客様はこちらへ」


 メイドに案内され、私たちは屋敷の中へと足を踏み入れた。中は外観以上に豪華で、壁には高価そうな絵画が並び、床にはふかふかの絨毯が敷かれている。


 この感じ懐かしい。かつての屋敷を思い出して、ちょっとだけ切なくなる。


「ユナ、どうした?」

「えっ?」

「今、寂しそうな匂いがした」

「えぇ、そんな匂いがした? なんか、恥ずかしい」


 うぅ、感情がクロネに筒抜けっていうのが恥ずかしい。


「ちょっと、昔を思い出しただけ。なんでもないよ」

「……そうか」


 そう言うと、クロネは深く突っ込んでこない。私の事を気にしながらも、無理強いはしない。その距離感がとても心地よく感じてしまう。


「どうぞ、こちらの部屋でお待ちください」


 すると、メイドが一室の扉を開けてくれた。その中に入ると応接間で、高級そうなソファーやテーブルが並んでいた。


 そのソファーに座ると、そわそわしながら領主様が来るのを待った。そうして、しばらくすると扉が開き、領主様とお姉さんが現れた。


「やぁ、待たせたね」

「ふふっ、久しぶり」


 領主様とお姉さんはにこやかな顔をして私たちの前のソファーに座った。


「娘から話は聞いておる。貴殿らが、魔物どもから娘を助けてくれたそうだな。我が娘を救ってくれた恩は、一生忘れん。礼を言わせてくれ。ありがとう」


 領主様が私たちに向かって軽く頭を下げた。そ、そこまでしてくれるなんて、なんだか恐縮だな。


「言葉だけではこの気持ちを伝えるのは不十分だと思っている。何か褒美を渡したい。何か望みの物はあるか?」

「だったら、褒章メダルをくれない?」

「おお、あれか! いいぞ!」


 クロネがすぐに答えると、領主は分かったように頷いた。そして、傍にいた執事に指示をすると、その執事は一度部屋を出た。


 しばらく待っていると、執事が何かを持って戻ってきた。それを領主様に渡すと、領主様は私たちに手渡してくる。


「これが褒章メダルだ。三枚、進呈しよう」

「ありがと。ん、ユナ」

「ありがとう!」


 三枚もくれるなんて、なんていい人なの! えへへ、これで褒章メダルが四枚になった。


「それにしても、あなたたちがBランクの冒険者だなんて驚いたわ。とても強いのね」

「おお、そうなのか? この町にBランク以上の冒険者は少ないからとても助かるよ。最近は魔物の数が増えて、大変になったからね」

「魔物の数が増えた?」

「うむ。外からの商人から聞いた話なんだが、明らかに魔物の数が増えていっているらしい。被害も増えていて、困っていたところだよ」


 そんな事になっていたなんて知らなかった。隣のクロネを見て見ると、その話に目を輝かせている。きっと、戦える相手が増えていると知って嬉しいのだろう。


「ウチの領以外にも魔物が増えているみたいだね。今まではそんな事がなかったのに、一体どうしてしまったんだか……」

「魔物と言えば、嫌な噂を耳にしたのよね」

「あー、あれだね」

「どんな話なんですか?」


 増えた魔物以外にも何かがあるのだろうか? 気になって訪ねてみると、領主様は困ったような顔をして話し始めた。


「実はな、町の中で魔物を見たっていう噂が流れているんだ」

「町の中に?」

「外門はしっかりと閉まっていて、門番だっているはずなのに……まさかとは思ったよ。魔物が入る隙間がないはずなのにね」

「怖い話よ。取り締まりを強化しているのに、その噂は消えないの。まるで、壁をすり抜けて入ってきているようだわ」


 壁で囲まれた町の中に魔物がいるなんて信じられない。魔物が町に近づけば門番が退治してくれるし、例え門番を通り抜けれたとしてもそこには頑丈な門や壁がある。


 どう考えても、魔物が入る隙間はないというのに……。どうして、そんな噂が広がったのだろうか?


「本当に町の中に魔物がいたら大変な事になる。冒険者ギルドには町の中を冒険者が見回る依頼をしているのだが、魔物は一向に見つからない」

「それなのに、魔物を見たっていう噂は絶えないの。まるで、こちらの動きを見られているようで怖いわ」

「実害は?」

「今のところはない。それが救いだ」


 険しい表情をしたクロネの問いに、領主様は首を横に振る。良かった、領民に被害があるってことじゃないみたい。


「冒険者ギルドには依頼をかけているから、君たちも時間があれば依頼を受けて欲しい」

「よろしくね、可愛いBランクの冒険者さん」

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