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転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした  作者: 鳥助
第一章 捨てられたけど、万能な魔力があるお陰でなんとかなりそう!
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3.魔力の可能性

 猪の魔物を倒した興奮と安堵が落ち着いてきた頃、私は立ち上がった。手のひらに残る魔力の感触は、まだぬくもりがあるようで、不思議と心が落ち着いた。


「私の魔力……やっぱり特別なんだ」


 魔法は発動しなかったけど、この魔力は確かに力として使える。刃を作り、魔物を倒した。それだけでも、普通の魔法に劣らない力だ。


「なんで他の人の魔力と違うのかな?」


 考えても分からない。だけど、分からないなら調べればいい。魔法の教本にあった「魔力の変質」についての項目を思い出しながら、魔力の観察と実験を始めた。


 まずは基本。魔力を手のひらに集める。すると、魔力はもやもやとした形で現れる。透明だが光を屈折させるような揺らめきが見える。


「……やっぱり、触れる。動かせる」


 そっと指でなぞると、水のように形を変えながらも、確かにそこにある感覚がある。今度は、円の形に意識してみた。すると、魔力はくるくると渦を巻くように回転を始める。


 まるで命があるみたいに、私の思考とリンクして形を変えるのだ。


「これって、普通の魔力じゃありえないよね」


 再び手に魔力を集中し、今度は火の玉をイメージした。通常の火魔法なら詠唱を使い、魔力を火属性に変換して放つ必要がある。でも私は、詠唱なしに魔力の形で火を再現しようとしていた。


「火……熱くて、燃えて、赤くて……」


 想像に集中すると、魔力がじわりと赤く染まり、じわじわと熱を持ち始めた。


「えっ、熱い……!?」


 驚いて手を放すと、魔力はふわりと消えた。だけど、手のひらには確かに微かな熱が残っていた。


「これって、属性すら変えられるってこと?」


 教本には、魔法は魔力に属性を与えて詠唱で構築するものと書かれていた。でも私は、魔力そのものに直接属性を付けて形を作れる。つまり――魔法という仕組みを通さずに、魔法の効果を再現できるってことだ。


「私の想像通りのものが出せるっていう事?」


 魔力を好きな形にして、好きな性質を与える。それは魔法という枠を超えた力――自由自在に何かを創り出す能力。


「水も出せるかな?」


 ドキドキとしながら、魔力を変異させる。頭の中で思い浮かべるのは水のイメージ。


 手のひらに集中した魔力はやがて冷たくなり、形を変えながら水球になって現れた。


「やった……!」


 それは確かに水だった。熱も冷たさも、魔力で再現できる。そしたら風も、土も、雷も。光や闇だって再現出来るかもしれない。


「私の魔力は、どんな属性にも変化できる?」


 嬉しくて、胸が高鳴った。魔法が使えない私には、希望なんてなかったはずなのに。けれど今、こうして自分だけの力を使って魔法を超える力を生み出せた。


 でも、問題はまだ残っている。


「これから、どうしよう」


 魔力の検証は一歩進んだけど、私はまだ森の中。食料も寝床もない。昨日までの私は、貴族の娘。家に帰れば温かい食事とふかふかのベッドがあった。


 でも、今の私は捨てられた身。誰も助けてくれない。


「自分の力で生きなきゃ」


 その為にはこの魔力の可能性を広げる必要がある。今、私が欲しい物は食べる物だ。この魔力で食べる物を見つけられるだろうか?


「……魔力が変異出来るんだったら、料理にもなるんじゃない?」


 ふと、思った事だ。魔力は硬い刃にも、様々な属性にも変えられることが分かった。なら、食べるものにも変えられる?


「物は試しだよね。魔力さん、お願い」


 手のひらをくっ付けて、魔力を溜める。そして、溜めた魔力が変異するように頭の中でイメージした。


 イメージするのはパン。柔らかくて、香ばしくて、ほんのり甘味のある。小麦の味がして、食べるととっても幸せになる。


 すると、魔力が形を変えていく。丸いフォルムに変化して、そこから小麦の香ばしい匂いが漂ってきた。だけど、無色透明だ。


「あっ、色!」


 そこで、色を付けることを忘れていた。慌てて小麦色のイメージをすると、目の前の魔力の塊に色が付く。それはどこからどう見ても、焼きたてのパンだ。


 その見た目と匂いでお腹がグーッと鳴る。ゴクリと喉を鳴らすと、出来立てのパンを口いっぱいに頬張った。


「んっ!」


 一噛みすると、ふわっとした生地の感触がした。それを歯で噛みちぎり、口の中で咀嚼する。それは口の中に入れると、パンそのものだった。


「凄い! 魔力が食べ物に変わるなんて!」


 この魔力は万能だ! 武器にもなるし、色んな属性にもなるし、食べ物にもなる。


 私の魔力の可能性は無限大だ!


「よし、このまま魔力の可能性を見つけて行こう!」


 きっと、まだまだやれることがあるはずだ。極めて行けば、きっと私は凄い魔法使いになる。ううん、凄い魔力使いになる!

お読みいただきありがとうございます!

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