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【書籍化決定】転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした  作者: 鳥助
第一章 捨てられたけど、万能な魔力があるお陰でなんとかなりそう!

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27.盗まれた銀貨袋を追え

「えへへ、私の冒険者タグだぁ」


 首にぶら下げた銀色の冒険者タグを見て私は浮かれていた。だけど、隣で歩いているクロネはまだ不機嫌そうだ。


「ユナがBランクだなんて……。ヴォルグレイを倒したんだったら、Aランクにするべき」

「でも、初めからBランクにしてもらえるのは特例だったみたいだよ。冒険者ギルドの人もいきなりAランクに認める訳にはって言ってたし」

「あいつら、ユナ一人でヴォルグレイを倒したことを認めていない。正々堂々じゃない」


 クロネは私が正しく評価されなかったことに憤りを感じているらしい。Bランクのエルジャンに勝ったことは認めても、実際に戦ったところを見ていないヴォルグレイの事は信じてもらえなかった。


 やっぱり、子供だからって侮られているのかも。そう考えると、私も悔しい気持ちになる。だけど、これが今の私の評価だ。めげずにちゃんと評価をされるように功績を積んでいけばいい。


「クロネ、怒ってくれてありがとう。だけど、こんなことじゃ負けないから」

「そうか?」

「それに、クロネと一緒のBランクだよ。私は一緒で嬉しい」

「……そうだな」


 マントで顔を隠すが、しっぽが嬉しそうに振れている。クロネも私と一緒で嬉しいんだ。


「一緒に強くなって、一緒にランクアップしようね」

「さぁ、それはどうかな? あたしの方が早いかも」

「えー!」


 そこは一緒にしよう、って言ってくれないと! ……まぁ、でも不機嫌だったクロネがちょっと機嫌が良くなったからいいか。


「これで大きな目的は達成した。次はどうする?」

「助けた貴族の家を訪ねるのもいいけど、それは明日以降にしようか。それよりも寄りたいところがあるの」

「へー、どこ?」

「お金を寄付出来るところってある?」

「お金を? ……まぁ、教会に行けば」

「じゃあ、教会に行こう!」


 歩みを進めようとすると、クロネに手を掴まれて軽く引っ張られる。


「訳を聞いてない」

「えっと、門のところでお金を作っちゃったでしょ? その時、おつりとして銀貨を貰っちゃったじゃない。このまま自分のお金にするのが気が引けるから、教会に寄付しちゃおうって思って」

「……別に気にしなくてもいいのに」

「いやいや、気にするよ! 冒険者ギルドで魔物を換金してもらったし、今の私にはちゃんとお金がある。だから、このお金は無くても平気!」


 私は好奇心に負けてお金を作った事を後悔しているし、おつりの銀貨を貰った事も後悔している。ズルをしているみたいで、とても気が引けるのだ。


 だから、このお金をなかったことにしたい。……まぁ、使っちゃった罪は消えないけれど、私なりの罪滅ぼしだ。


 クロネのマジックバックから銀貨の入った袋を取り出してもらう。その袋は重く、沢山の銀貨が入っていることが分かる。これを寄付すれば、きっと助かる人もいるだろう。


「だから、教会に行こう?」

「律儀だな。今の教会なら奪う勢いで受け取ってくれるさ」

「どんな形でもいいよ。これで助かっ……!」


 その時、私の体に誰かがぶつかってきた。その衝撃で私は地面に倒れてしまった。


「ユナ、大丈夫?」

「う、うん……。ありがとう」


 すぐにクロネが手を差し伸べてくれる。私はその手を握って、立ち上がった。


「全く、なんて奴だ……」

「前をちゃんと見てなかった私も悪いから、気にしないで。……えーっと……あれ?」

「どうした?」

「袋……銀貨の入った袋がなくなった!」

「何ッ!?」


 そんな、嘘! さっきぶつかった拍子に落としたと思ったのに、どこにも落ちてない。


 その時、クロネが鼻を動かした。


「あの袋の匂い……あっち!」

「えっ、袋が移動した?」

「誰かが盗んだんだ! 追うぞ」

「う、うん!」


 あの一瞬で袋を盗まれるなんて! クロネが急ぐ方向に走って行くが、クロネの足が速くてとても落ち着けない。


 すると、それに気づいたクロネが私の前に来たしゃがんだ。


「あたしの背に乗って」

「えっ!? お、重いよ!」

「ユナくらいなら重くない。さぁ、早く!」

「う、うん」


 私は少し遠慮がちにクロネの背にくっつくと、物凄い力で私をおぶさり、全速力で駆け抜けていく。凄い……私をおぶさっているのにこんなに速く走れるなんて。


 そのクロネが細い路地に入っていく。


「ちっ……かなり遠くまで行っている」

「無理そう?」

「……いや、捕まえる」


 私の言葉に触発されたのか、クロネのやる気が一段上がったような気がする。クロネの速度が上がり、複雑な路地をスイスイ進んでいく。


「……近い」


 うそっ、追いついたの!? 驚いていると、路地の先に誰かが立っているのが見えた。クロネはその人物の前に立ちふさがった。


「おい」

「……へぇ、追いついてきたんだ」


 クロネが声をかけると、その人物は感心している様子だった。


 灰色の髪の毛に大きな狼の耳、それにふさふさのしっぽ。私たちと同じ年くらいの女の子の狼耳の獣人がそこにいた。

お読みいただきありがとうございます!

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