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茂みに飛び込んだアオネの手に冷たい金属が触れた。それを夢中で掴んで、頭上に向かって引き金を引く。
鼓膜をつんざくような音がした。手が反動でじんじんと痛んでいる。直後、鳥居越しの夜空に光の花が咲いた。花火の音が鳴る。
「あれっ、クソっ、偽物かよ!」
アオネの玩具のピストルを掴んだ男はわめいた。アオネは本物のピストルを構えたまま男から距離をとり、走っても追いつけない距離まで離れたところでくるりと踵を返し、屋台の並ぶ明るい祭の方へ駆け出した。
「ちくしょう!」
男は見えなくなったアオネに向かって悪態をつき、玩具のピストルを地面に投げつけた。
アオネはカバンにピストルを入れた。走ったせいで乱れた呼吸を整える。祭の人々の目は花火に釘付けで、アオネの弾んだ息は気にも留めなかった。
アオネは神社を出て、家に戻った。
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