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ゲームブック「夏」  作者: 岡倉桜紅
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043

 アオネは受話器を置いた。未来の自分を名乗る人物からの電話は不気味だったが、いたずら電話だろう。

 告げられた不吉な予言を信じたわけではなかったが、このまま暑いからといって家の中に引きこもってばかりでは非生産的だ。せっかく地元の町に滞在しているんだし、辺りを散策してみようと決めた。これから書く記事のネタになるものを何か発見できるかもしれない。夏休みとは、普段の生活では得られない気付きや学びを得るための期間であり、決してただ怠けるための期間ではない、とどこかで聞いたような気がする。

 出したばかりの麦茶をぐいと喉の奥に流し込む。キンと冷えた液体が喉を冷まし、胃へ滑り落ちていく感覚を覚える。

 アオネは小さな肩掛けカバンに財布を放り込んで肩にかけると窓を閉める。この町の治安のことは今まで良い方だと思っていたが、電話のこともあり、戸締りは念入りにしておきたかった。すべての窓と勝手口の鍵がかかったのを確認してからアオネは玄関を出た。

 玄関のひさしから一歩外に踏み出しただけで、じりじりと太陽が容赦なく頭のてっぺんを焼いてきた。日傘をさして山道を下りていく。山の上の古民家から下町までは徒歩20分ほどだった。山道は木々が熱い日差しを遮ってくれてはいたが、下町に着くころには全身から汗がとめどなく流れ、火照っていた。蝉の声がシャワーのように降り注ぐ。

 やっと平坦になった道の向こうに見慣れたコンビニエンスストアが見えた。今日の散策の目的はあそこにしよう、とアオネは自分に言い聞かせながら自動ドアの前に立つ。ふわりと体を包み込むエアコンの冷気に生き返る。都会のエアコンの元で過ごしすぎて、自分の体が暑さに極端に弱くなっているのを感じる。地球が暑くなったのか、自分が弱くなったのか、よくわからない。

 ここで何か冷たいものでも買って、エアコンの元で少し涼んでからまたゆっくり家に戻るとしよう。

 棚を見ると、夏らしい商品が並んでいる。


①アイスキャンデーを買う 085へ

②ラムネを買う 055へ

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