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021゛
青年は右の道へと入って行った。アオネも続く。
すぐに洞窟は途切れ、外に出た。そこは小さな渓谷のようになっていて、湧き水がちょろちょろと流れていた。そこに蛍光色の蛍がなん十匹も数えきれないほど自由に飛び交っていた。その数は池にいた数とくらべものにならないほど多く、その光景は息を呑むほどだった。
青年は、大きくなめらかな表面の石の上に座り、手招きをした。アオネも青年の隣に腰掛ける。二人はしばらく黙って蛍が飛ぶのを見た。
「この夏が終わってしまうのが苦しいんだ」
青年はつぶやくように言った。アオネは黙って頷いた。
「ずっと夏が続けばいいのに。諦められないんだ。だから、宝箱に僕は閉じ込めた」
遠くで花火の音がしている。
「この町の時間を止めて、何度も永遠に繰り返す。そんな呪いをかけた」
「あなたは一体……」
青年は泣き笑いのような切ない顔をして言った。
「夏は終わらない。僕は幽霊だ」
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