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第八十七話・悪い出来事はすべて先祖の因縁からって本当ですか



 私は数年前に母が倒れたときに引き取りました。で、ある時、父亡きあと、母が一人暮らしをしていた実家に戻りました。こまごまとしたものを片付けるためです。

 一番最初にしたのは自称霊能者のお札を取ることでした。それとその人が母に買わせた仏像。さすがに通常のゴミに出す勇気はなくお寺さんにお供えを持参したうえで処分しました。仏像には罪はなくても、私は母に継いで信仰したくない。


 母が元気な時は、まだ母の洗脳がとけていない時期なので、私も当の自称霊能者や宗教家に相談していました。

 結婚の時も。

 母の反対する結婚でしたので、母が自ら予約をとり、そこに行けという命令でした。相当な霊能力があり、不思議なことができる人というので、私は興味津々で対面してきました。しかしがっかりするだけで終わりました。その自称霊能者は相手の言いたいことをくみ取って伝えるだけでした。

 一方私は霊能者なら、私の顔を見ただけで未来がわかるだろうと思っている。何も情報を伝えぬ私に、その霊能者が言ったのは以下の通りです。

「あんたは神の伝道者である俺(霊能者のこと)に心を開かない。それだと霊もあなたに(私のこと)なにも教えてくれない。よって伝える言葉はない」 

 信用させてからのアドバイスは信仰心あればこそ。それが新興宗教の根幹ならば底が浅い。

 


 もう一人の宗教家は、教祖本人ではなくお弟子さんと名乗る人が出てきました。これも母が好きだったので教祖が書いた本を読んでのことです。しかしまったく納得いかない理由で説教してきました。私は先の霊能者と共通したものを感じました。

 相談内容は子どものいじめと自殺未遂、それと叔母の横領について。母の洗脳はとけていても、何かしらアドバイスが欲しくて自ら教祖に連絡をとって相談に乗ってもらいました。本には明確な料金は書いていないがもちろん有償です。今にして思えば、なかなか人に言えない話は彼らにとっては得意分野といっても過言ではない。

 彼らはこういう悪いことが露見するのは、全部私の因縁、それと先祖の因縁のせいだという。

 それからその因縁を解くために特別祈祷をしましょう、お守りをあげましょう、という段取り。もちろん高額です。

 彼らは母からこうやってお金をとっていって、引き換えにこれで大丈夫という安心感を与えていた。今は、もっとひどい脅しをしてお金を巻き上げる某カルト宗教に入信しなかっただけマシだと思うことにしています。


 そういえば、その教祖が出した本には身体障がい者自身の因縁を伝えて、本人がそれを受け入れて修行したら、身体が自由に動けるようになったという話があります。いかに教祖が素晴らしいか、不思議な能力を持っているかを説明する本です。

 実際、この私に対しても悪いことはすべて私のせいで、私が子供のいじめ諸々を引き寄せたという。教祖の直弟子さんは優しい声でいう。最初は受け入れられないでしょうけれどもと……最初ってなんですか? 同情を込めた表情に優しい包み込むような笑顔。そして因縁自覚の大切さを説く。叔母の横領に対しても私が悪いと言う。教祖弟子の真面目な表情が信じられん。

 バカバカしくなって途中で退席しました。そして一切連絡を絶つ。

 私自身をなぜあんなのにすがろうとしたのか。今でも屈辱を感じます。本はいいことばかりを書いてはいますけれども。

 

 信者になれなかった私は彼らにとっては、うまみがない人間です。私は、人の弱みを握り、洗脳して結局はお金をとる宗教家を軽蔑します。



※因縁自覚、すべての悪いことは先祖のせい、もしくは自分の前世の行いが悪かったせい。これって絶対におかしいですよね。私は幼いころから聴力の悪さは私のせいと母親に言われていましたから。あんたが、なにか悪いことをしたからやろって。例えば事故にあって後遺症が残ったり、生来の遺伝病の人たちはどう思いますか……?

 

母がいわゆるカルト宗教の餌食にならなかったのは、母自身の行動範囲が極端に狭かったから。つまり出不精だったから。誘われても集会に行くのが面倒、朝早く起きて出かけるのも面倒だといって全部断っていました。また母の体型が100キロ近くあり、誘う側も母の扱いが面倒そうと思われていたふしがあります。

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