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第八十三話・母と細木数子さんとライブドア株

※ 敬称略させていただいています。

故細木数子氏のご冥福を祈っています。



 株の話からいきます。大昔は証券会社は保険会社や銀行と並び、駅に近い便利な場所にいくらでもありました。ネットが浸透していない昭和時代と思ってください。当時はメールなぞはないので、証券会社に直接足を運ぶか、電話するかで株の売買の注文を出していました。大口の客は証券会社の方から足を運んでもらい「この株はいかがでしょうか」 という勧めに従ってお金を出していました。

 株は玄人筋がやるもの、株は怖い、株で家を取られた人がいる……こういった目線も根強くありました。少なくともわたしの家庭ではギャンブルと同じ扱いでした。

 ですのでわたしの目線では、株は閉じられた世界です。でも成人したころから普通の一般人も株をやるようになってきました。ちょうど昭和から平成になったあたりからかな。給料が少なくても株は買える。千株単位でなくても百株でも十株でも。一般人でも買えるように証券会社も敷居をぐっと下げてきました。

 素人用の株入門雑誌も創刊され、漫画やイラストを多用してこれなら買えると思わされました。そう、一般大衆の参加により、株の世界も変わったのです。ちょうどバブルもあり、株は誰がやっても儲かる時代です。一般人の若い女性も株をやり始めました。

 バブルはすぐに崩れ、株で儲けられる人は少なかったのですが、情報入手が容易な立場にいる人はそれでも大儲けできました。

 損をしたのは何も知らない、株の世界では単なる搾りかすの素人です。大衆がニュースで大騒ぎしている間に玄人はそっと売り抜ける。そういう世界です。そういうことをわたしに教えてくれたのは誰あろう、タレントのホリエモンさんです。当時はライブドアの社長で堀江貴文と本名を名乗っておられました。もちろん昔から今にいたるまでわたしとは面識はありません。しかしわたしは潰れかけていた時期のライブドアの株に肩入れして買い付けました。

 なぜか。多分堀江氏ご本人も想定外の理由です ⇒⇒⇒ 私の母が細木数子の信者だったから。そう、大殺界信者。全盛期のころの細木数子は堀江氏を絶賛していました。だから細木教信者の母も堀江氏を大絶賛です。

「あの細木数子さんがいうから間違いない。日本を背負って立つ人らしいから株を買うなら今のうち」


 母親の細木数子への尊敬っぷりはすごく、親戚の生年月日を把握しているので大殺界などが近づくと警告したりしました。もちろん長女の私にも悪いことがあると、ホレ見なさい。あんたの生まれだといつも◎月、△月、×月に悪いことがおきる。

 私が足を怪我したりすると、それこそ鬼の首をとったように、「見なさい、細木さんのいう通りになった」 という。

 書いていて改めて腹がたったが、当時は母に洗脳されていたのでわからない。母の予言(イコール細木さんの占い)で怪我をするとやはり当たったと不安になり、母の勧めに従って神社にお払いに言ったりしました。母もそうですがわたしも相当なバカです。

 でも当時の細木数子の番組は勢いがあってとても面白かった。それは認める。細木さんには日本の将来を憂える真面目な発言もあり、結構真剣に番組を見ていた。

 しかし、ゲストの若いタレントさんに上から目線で地獄に落ちるなどいうのはどうかと思っていた。


 そのうち、細木数子への狂信に心配した叔母たちが「反・細木数子」ともいえる暴露本を買ってきて母に「読みなさい」 と無理やり読ませました。そりゃ何があっても細木さんの占い通りだという母ですもの。親戚もへきえきする。

 反・細木数子本ですが、六星占星術は基礎を考案した人から汚い手段を使ってお株を奪ったというもの。嘘か本当かはわたしにはわからない。

 しかし、なんにでも洗脳されやすい母は、その本で細木数子への尊敬度はややダウンした。それでも、年末に翌年の六星占星術本を買うのはやめない。私の分まできっちり買って今日は悪い月の悪い日だからとわざわざ電話で忠告したりする。もう頭おかしい。

 ライブドアの株の件では皆様御存じのとおり紙くずになりました。これで本当に目がさめたので、株には一切さわってないです。そのうえ安愚楽牧場でも被害者になってしまい、わたしは本当にお金には縁がないです。母のいうわたしの守護霊は貧乏神と仲良しなのでしょう。終わります。


 母は細木和子さんがテレビに出なくなると霊能者に傾倒しました。母は自分というのを持っていないから頼りになる指針をくれる人間が好きなだけです。わたしは貴重な若かった時代、かような母の人形であった自分を恥じています。






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