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第七話・美容整形の話

 生物学上女生として生まれた以上はやはり美人になりたいと思います。なぜなら人間は自身が美しいと思う対象にはそれが生物無生物にかかわらず、良い感情を持つし持たれるからです。美醜はそれぞれの好みもありますが、一般的に美しいと思うものは似通っています。

 生物学的には問題ないもののこれを書く私もまた残念ながら美人ではありません。幸い令和の現在は美人にもいろいろあり、個性重視。何よりもユニークフェイスという言葉の認知度も高まった。社会的には誰しも昭和時代よりも生きやすいとは思う。

 幼いころ、私は母から「十人並み」 と言われて育ちました。一部の口の悪い子からは「ブス」 と言われました。妹の方が美人だと比較もされました。私は元々聴力が人より劣ることで自己評価が最低だったので、そんなものだろうと思っていました。

 長じて私は通学できる範囲で一番遠い大学に行きまして同時に行動範囲が広がりました。美人の知人と一緒にビストロに入ると店員が彼女にだけ愛想よかったりを経験しています。知人はそれを逆に迷惑に思う気質の人で、知らぬ人に声をかけられるのも嫌だし、お店でもメニューにないサービスをつけられるのも困るという。でも初対面で美人を見ると、どの人も笑顔になる。その美人は私と一緒に行動してくれるだけあって、気取らずに美人であることをどう思うかを聞かれるままに答えてくれた。それも感じがよくて、美人の上に性格が良いのって最強だと思っていました。私はその美人と並行して歩き、道行く男性の視点が全部彼女の方に向くという貴重な経験をしています。だからといって美人になりたいとは思いませんでした。ただ私は自身の表情が乏しく陰鬱に見える自覚はありました。

 そのため働くようになると補聴器代は別にして親には内緒でお金を貯めました。奥二重の目をはっきりとさせました。つまり美容整形ですね。三十年以上前の話で、今よりは整形と言う言葉はタブー視されネット検索の言語すらない時代に私はそれをしました。幸い腕の良い医師とご縁がありトラブルなく過ごせたのは運がよかったです。もちろん今なお後悔もしていません。

 確率的に初対面の印象があがったらしくやってよかったと思いました。親しい人たちには伝えていたので、いいねと言われました。イラクサだったのは、単なる顔見知りにすぎぬ年上の女性の態度たちでした。ついでですので、この話をします。

 それは病棟婦さんのグループでした。わざわざ地下にある職場に用もないのに、私を呼び出しました。そして皆でじっと私の顔面を眺める。今でも覚えてますが「やっぱり目が変わった」「大きくなってる」 と口々に話し合って私に背を向けて去っていきました。目の見学に来ただけで私への会話はゼロ。気が弱いなりに、私はそんなことをされて相当に気がささくれました。職場の人は見て見ぬふりをしていました。今でもあの病棟婦さんたちのしたことは法的には無罪でも許せない思いです。

 でも私にもひけめがあって「どういうつもりですか」 と反論でもできなかった。当時は親からもらった容姿を自らの意志で変えるのはタブーだとされていたからです。加えて自己確立もしていなかったため、頭の悪い愚かな人々にそこを悟られバカにされたと分析しています。

 逆に職場内や病棟内の医師や看護師の方が普通に接していましたのでこのことも強い印象を残しています。頭のいい人は話題の選択も自然でした。独身女性の先輩のうち一人だけが手術料金と出血量をしつこく聞いてきた程度ですみました。


 美容整形を公表したある人は、「初対面の他人に不快感を与えてない」 とわかって感動したと言いました。私は彼女の気持ちが痛いほどわかります。親からもらった顔や体を傷つけてというのは、他人に容姿のことで攻撃を受けることもなく、違和感をもたれることのない人の勝手な主張です。

 特に私は補聴器使用者なので耳の悪いあの子、と通っており、加えて母が補聴器を使っているのはわからぬようにと言う人だったので自己主張なぞできる人間ではありませんでした。

 今では一般不特定多数の人々の視線を跳ね返すほどの強い自我を持っていきたいと考えています。でも、もう遅いでしょうか……いいえ、そんなこと誰が決めたのですかと思いたい。

 昔はメディアに出なかったユニークフェイスと言われる人々の主張、そして昔からあったいわゆる感動ポルノ番組。雑誌やネットでも目につく美容整形の広告を見るごとに人生の価値観はなんだろうと我とわが身で問う。

 容姿で悩んでいる人はどこでもいると思いますが、美容整形をやるなら、他人の意見を入れず自分で決める事。どんなに容姿を変えても自分の心だけは変わらない。それを見越しておくこと。美容整形後も私がやられたように「変えた、変わった」 と鬼の首を取ったように騒ぐ人もいますから。

 それでも後悔しないなら美容整形外科にチャレンジする価値は十分にあります。私はそういう人を応援します。これから美容外科の門をたたく人はぜひ頑張ってください。

 




 実際にやるなら、医療上のトラブル、訴訟沙汰も結構ありますので情報の収集と医師の選択は慎重にしてくださいね。


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