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第三十六話・失言



 人間は口の中に斧を含むと言いますが、本当にその通り。政治家の場合は、いろいろなケースがあれども、そもそも職や地位を失うことを念頭に言う人は誰もいない。多分地位が高い驕りから庶民の思考まで及ばないのだろうと思います。また失言前後のセリフの切り張りでマスコミのニュースで煽られて落とされているケースもあろう。ニュースの最末端の受け手である私のような人間にはわからない。一般人には、ニュースの裏を知るのは無理です。

 というわけで。

 今回は、せめてもの知人や周囲、直接口のきく人からは失言だと感じたら、それをどうするか……というのが今回の趣旨です。人は口から出される言葉一つで、人の心を殺すことができるから。身体ではなく、心です。

 恐ろしいことに、受け止める人によっては反復や増幅機能がある。持続性がある。相手によっては失言だと感じたセリフは永久に無形で保存されます。この点、政治家は公では個人攻撃しないだけ、ましです。その分社会的な影響が大きいので、言葉には気を使えと言いたいです。


 過日地震がありました。こちらは無事でしたが、現地には知人もいますし、心配していました。ニュースでは傾いた家屋が映し出されている。

「ひどいわねぇ、踏んだり蹴ったりで気の毒だよねぇ」

 すると同居人がこういいました。

「きみは、ニュースには真剣だな。そしてこの世の終わりのような言い方をする。要は終末が楽しみなんだろ」 

 彼が皮肉家なのはもう二十年近く一緒に暮らしているのでそれは知っている。でも人の生死にかかわることなのに、その言い方はあんまりだと思いました。

 私が怒っていると、より怒らそうとする。悲しんでいるとより悲しむようなことをいう。その逆はない。彼は私の不快な感情をなぜいつもあおってくるのか。

 たとえば、大嫌いな叔母や母の習慣や仕草を指して、よく似ているよと言ったりです。それが許せなくて怒る私。軽く謝る彼。何度も繰り返されるこのパターン。輪廻ならとても嫌だ。

 それでも年取ったもの同士の結婚なのでまだ未成年の子供がいますし、何よりも真面目に働いてくれる。その上、叔母の不祥事が明るみになっても離婚はしないと言ってくれたので感謝はしています。

 でも地震ニュースに関しては、あまりにひどい言い方だと思ったので、今部屋にこもっています。


 さて先にも書いた通り、なぜ「怒りや悲しみを更にあおる人がいるのか」

 心理学上では以下の通り。断定されています。

① 相手より優位に立ちたい

② まったく心配をしていない

③ いじめの心理

④ 満たされていない代償行為


 どれをとっても、より私を悲しませる文面です。

 同居人の皮肉は、叔母の不祥事が露見してからもっと顕著になりました。私がどんなに傷ついているか理解しないのは、ひとえに私の不徳です。彼にとって私は魅力のない人間という表れでもある。

 私こそ彼の何の役にたっているかと思えばそれは胸張って言えない。子を産んだり家事をしたことで威張るつもりは毛頭ないし、やはり仕事のストレスがたまっているのかなと感じる。

 とかく災害にあわれた人々のニュースで喜ぶ人が一体この世のどこにいるのでしょう。他人であれば、その人を視界に遠ざけたらそれですみますが、こういうのもモラハラというのか。

 今後最後まで連れ添っていく自信がなく、私もまた人生に惑っている人間です。つまり、私の言いたい事 ⇒ ⇒ 今の失言、取り消して。いや、取り消しても忘れないからね……ということです。


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