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第十四話・J所縁の品物を処分 □


 書棚整理をしていたところ、桐箱に入った百人一首が出てきました。廉価版、普及版のものではなく、ガチでいいものです。桐箱の上に直筆、毛筆で百人一首と書かれている。外観だけでもう高級感がある。Jからもらったものです。横領した汚いお金で。脱税したお金で。でもそんなこと、当時は思いもしません。

 当時の私はそれを使うのに気後れを感じ、遊ぶ時は安物の廉価版を使っていました。

 数十年ぶりに桐箱を開けるともらったままの美しい札が出てきます。私はとても複雑な気分で眺めました。もらった当時は素直に感謝していました。Jは私の幼いころからお菓子でも本でもなんでも買ってくれた。Jは母よりも気前がよく、「またお菓子を買ってもらったのね」 と母があきれ顔でいうぐらい。

 幼かった私はラングドシャが好きで、妹と共によく一箱ずつもらっていました。プラスチックの容器に薄いクッキーが薔薇の花のように並べられていたものです。Jからもらうお菓子は、その辺の駄菓子ではなく、スーパーで売っているものではない。すべてデパートの高級品ばかりでした。


 でも今はJに対して良い感情はまったくない。というより、吐き気がするほど大嫌い。昔のこととはいえ、通帳がないことの説明、母の実印をどういうことに使ったかの説明、なぜ母の口座に還付金が入ってその日のうちに全額引き出されているのか、また母の口座に定期的に数百万円の入金があり、必ずその日のうちに全額引き出されていたのか。特に祖父母から母がもらった土地に関して虚偽の相続税を告げて払ってあげたと嘘をついたのか……私や父母はその言葉に足かせをかけられ、父は週末をつぶして叔母Jの小作人になっていました。手伝った代わりにお米や野菜をあげたでしょとJは言うでしょうが、父はその状態に不満でした。父がしんどいとつぶやいても、母は相続税一千万円もJが払ってくれたからその分働いて返さないといけないと畑に追いやりました。

 父はJの畑で倒れた……私の怒りの源です。

 直接の説明を求めてもJの弟、六十才で亡くなった叔父Gのせいにする。ヒステリーを起こして話にならない。そのわりに周囲やJAには、私が祖父母の遺産欲しさに金融ADRをしたと説明する。


 私はこの百人一首の桐箱も中身も躊躇なく捨てました。Jからの品物はすべて嫌悪感があります。他もかなり捨てました。おそらくJは私の気持ちもわかっているはず。これがばれたら私だけではなく、世間からそういう扱いを受けるだろうと言うことをも。


 Jは全部わかっている。恐れている。だからどうでも私に悪者になってもらわないといけない。

 JAには横領の証拠自体はありません。JAも横領を告げても調査もしないと言い切りました。それ以前にJ自身が代表者であった時点で証拠隠滅済みでしょう。平成十年に十数か所の農協からJAに統合され、同じ場所でそのまま支店長になったときにも不都合なものは隠滅済みでしょう。そしてJAぐるみでJを庇い、私の訴えを黙殺する。

 元々母実家は旧家で農協時代の役員名簿には、私の祖父のみならず曽祖父の名前も一族の親戚もほぼ網羅という感じで名前が出ています。だからこそJの横領は隠ぺいしないといけない。Jの妹のFの暴露は計算外であったけれど、F自身も勘違いだ、聞き間違えだといって、私は悪者扱い。私は梯子を外された。

 Fの夫の会社もどの銀行も融資を断られた状態であってもJが私物化していた農協時代には堂々と不正融資できた。それは今でも支払われていない。

 JA機関紙の編集会社もJが私物化してJの実弟のGに経営させた。Gの死後はGの妻がやり、今なおJAとつながっている。

 そのJの横領が公表されるとJAの評判自体が落ちる。JC同士のつきあいも軽蔑をうけてしまう。叔母Jはそれを思えばどうでも私を悪者にするしかない。JAの庇護もあり、Jは安心して私のことを祖父母の遺産狙いで騒いでいると主張できる。

 叔父Gは六十才で亡くなったがその長男は、祖父母の死亡前にJの弟として縁組、次男はJの養子、そこまでしてJの汚らしい財産を次世代につないでいる。

 叔父Gの生前は贅沢ばかりしていました。彼は近大の学生時代から外車以外乗ったことはありません。二千万円もする黄色いポルシェも乗り回していました。キャンピングカーも持っていて週末には家族で遠出をしていました。JCにも関わり、有力者に取り入り、天神祭りには船渡御もできた。そういった船にはお金がかかります。良い場所に乗船するだけでもコネが必要です。お正月にはロイヤルホテルでの催しに毎年参加する。子供たちも当たり前のように海外留学をする。高校にあがるお金もなかった極貧から、すべてJの力でのし上がりました。Jが農協から横領し、それを隠すために私の母の実印や通帳を使って脱税し汚い手段で得たお金です。

 

 私がJに対する嫌悪感は今は私一人。Jは私のことは永遠に悪者にしておく。

 私はJAでもクレーマーになっている。濡れ衣もいいところだが、ここで書くしかない。くやしいし、哀しい。

 私にもその血のつながりがあることすら汚らわしい。農協の発祥から関わっていた曽祖父は草葉の陰で何を思うだろうか。終戦直後の預金封鎖で文無しになった状態でも、農協で縁故採用されたJ.

 どういう理由をJが吐いても母の実印や通帳を無断で使いまわしたことは間違いない。私の通帳も過去のものを一切出さないので調べたら平成になってもなお、私の知らぬ保険をかけられていた……多分私が死んだら黙って喜んで私の死亡保険金を総取りして同居の従兄弟たちにお金をあげただろう。


「これは限りなく黒いことに利用されていましたね」

 弁護士もJA関係者も断言しているのに誰もJに罪を問えぬ。ほんとにこの世はくだらない。


 私にここで書いてアップするということがなければ、私はおそらく精神を病むだろう。一人でもこの思いをわかってほしい。くやしい、Jを恨んでいる。そしてJを庇うJAにも。

 JAのホームページにある「組合員のために」 というスローガンは嘘ですね。いざとなれば組合員よりも、横領職員を庇うJAですよ。

 JAは、農林水産省管轄ではなく、金融庁管轄にすべきでしょう。金融業務なのに農林水産省管轄はおかしい。巷でJA職員の横領のニュースが絶えないのもこのせいではないのかと実感している。





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