第十話・高校生にもなって、いじめで停学 ← バカ
差しさわりがあるので人数や性別、状況などを変えています。
子供の学校での話。秋休みで寮から帰ってきたのはいいが、二階の自室でゲームばかりしている。ご飯の時だけ降りてくる。頭に来た私は「ちょっと、なにかしゃべってよ。学校でおもしろい話、ない?」 と聞く。するとぽろっと出てきたのが「先週さあ、クラスメートたちがいじめで停学になったよ」 です。
内気であまりしゃべらない男子一人に対して、女の子四人プラス男の子二人が中心になってやったらしい。
「高校生になって、いじめ? 相手がおとなしいという理由で? 発端はなに? 告白してふられたとか?」
「違うよ、いじめられたのは、いい子だよ。ちょっと仕草が目立つ子だけど」
「仕草? どんな?」
なんでもきっかけは、暑い時に和風の扇子を持ってきてそっと仰いだことだという。
「そんなことでいじめるの。今どきの時代に学校で扇子を持参してあおぐなんてカッコいいじゃないの、逆にファンがつくろころだよ、推しポイントだよ」
「また母さんは、ヘンなことを言い出す。単純に珍しいから、それで動画を勝手に撮ったりしてさ」
「動画……今どきの子はみんなスマホを持っているからなあ……男子でも扇子であおぐのは棋士さんがよくやってるよ。カッコいいのに」
しかし、その子の場合は動画など撮られ、怒ったとか。それが生意気だと女の子も引き下がらない。グループを作って集団であからさまないじめを本格的に開始したらしい。言動を笑ったり、こづいたり、暴力行為こそないが地味にやられていたのだろう。その子も相手が女の子なので反撃もできず、無視していたらしい。私の上の子のように不登校にまで行かなくてよかった。でもだんだんとひどくなってきたので、見かねたうちの子を含め生徒たちが担任に相談した。そこからクラス会議になった。動画などの確たる証拠と証言、その子といじめっ子たちの聞き取りも含めいろいろあって、いじめっ子の親も学校に呼ばれて停学処分になった。こんなしょーもないことで時間を取られた高校の先生たちも大変です。いじめで快感を得るのはいじめっ子自身や家庭に問題の根っこがあるだろうが。
停学を言い渡されたいじめたっ子たちは教室内で「ちくったヤツだれだっ」 と怒っていたという。反省してないですね、コレは。
元々偏差値が低いところだが、うちの子はやりたいことがあったため入学した。クラスメートの一部が、ひまつぶしに授業中でもゲームをしたり、堂々とお菓子を食べる子がいるという。先生たちも注意しないという。自主性を重んじてだろうが見放されているとも思える。動物園みたいだ。
昔なら十五才で元服で大人扱い、女性も生理が来たらすぐ結婚の話が出たが、令和の時代は違う。でも、こういう人と変わった行動をするから、内向的であまりしゃべらないからという理由でいじめて快楽を感じるならば、根本的に人間が壊れている。しかも類を友を呼ぶで集団で。
高校生ともなれば根本的な矯正は自らの気づきがないとダメだろう。家庭、教育環境、友人の誰もが率先してそこまで導けない。責任もない。十六才といえば、体力気力とも充実してこれから世の中に飛翔していこうとする年齢だ。老境にいる私から見れば眩しく輝かしい立場だが、いじめっ子たちやその親はその大事な時期に停学になったとて何も考えないのだろうか。
言葉が通じても感情が通じない人々がここにもいる。
入学式後に、先生が教壇で説明をし、保護者達が後ろに控えているというのに一部の女生徒が騒いでいました。子に、もしかしてあの子たちか? と聞いたらビンゴでした。顔だけは若さに輝いて綺麗でしたが、新生活にあたっての緊張感もなく騒いだこと、先生から注意を受けたときの態度もハイハイという感じでした。根底から協調性がない印象です。ああいう子たちが高校生になっても小学生がやるようないじめをするのかと思います。内向的な子、障害を持つような子が受け入られないと感じる原因になるし本人にも気づきがない限り一生そのままでみっともないです。なんとかならないかと思っている。




