二話 魔族、昨日を振り返り命懸けで階段を降りる。
いい加減に現実逃避をやめようか
何でデスカウンターが1になってるんだろう?
昨日何かしたっけな...
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「アルマ、誕生日おめでとう!」
「おめでとう!」
「ありがとう、お父さん!お母さん!」
「アルマの為にお父さん達がとっておきのプレゼントを買ってきたからな、早速開けてみろ。」
そう言って私の前に出されたのは三重に封がされた
黒い箱だった。
明らかにおかしな箱を開けると、掌と同じぐらいの
魔力の結晶、いわゆる魔石という物が入っていた。
「これって...魔石...だよね?魔石って人差し指ぐらいの大きさじゃなかったっけ。」
「お母さんと一緒に町を歩いてたら開店したばかりの骨董品屋があってさ、中に入って色々見てたらそれを見つけてな。アルマは前に大きな魔石食べてみたいって言ってたのを思い出して買ってきたんだよ。」
魔石とは、魔族、魔物が死亡した時に形成される魔力の結晶のことである、魔族の場合形成された魔石を
亡骸と一緒に埋葬するか、子供等に食べさせる事が一般的とされている。
魔族は透き通った結晶を形成するのに比べ、
魔物は光に当てて見ても全く透けないのが特徴とされていて、
魔物の魔石は大量に売られていて弱い魔物の魔石はおやつとして、強い魔物の魔石は緊急時の魔力補給用として売られている事が多い。
せんべいのようだったり飴玉のような味をしていたりして美味しいのだ。
「確かに昔食べたいって言ったけど...これ相当強い魔族の魔石だよね、私が食べちゃっていいの?」
「いいのよ、アルマに喜んで欲しくて買ってきたんだから。あまり高く無かったしね。」
「お母さん...ありがとう!早速食べてみるね!」
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これは…やっぱりあの魔石に何か問題があったに違いない。
「早くお母さんにこの事を伝えないと!」
くそぅ…あと一度しか死ねないってなった途端にベッドから降りる事すら怖くなって来ちゃったぞ…
ベッドから降りる時にバランス崩したらどうしようとか顔洗う時に転んで頭打ったらどうしようとか…
「ここが…最後の関門か……」
無事に顔を洗い終えた私はお母さんの居るリビングに向かおうとしたが、私の部屋は2階でリビングは
1階にあるのである。
意気揚々と下に行こうとした私を一瞬で絶望させたのは、2階から1階に繋がる階段だった。
「一歩ずつ、一歩ずつ、ゆっくりと……」
怖い!凄く怖い!昔転げ落ちた時はデスカウンターがあったから助かったけど今はそうもいかない!
「やった…私は……乗り越えた。」
そして約5分かけて私は階段を降り切ったのである。