日常に戻ったら
一応、投稿時間帯が物語と合うように、予約投稿してみてます。
小さな画面の向こうから聞こえる、彼の声。
いつか、この非日常が日常に戻ったら一緒に行ってみたいレストランの話。
今日は家でどう過ごしていたかの話。
最近観た、ネット動画の話。
「そういえば、ちゃんとごはん食べてる?」
「大して作ってないけど、一応食ってるよ」
彼は笑いながらそう答えた。
「あ、その感じだったら、インスタント麺とかばっかりなんじゃないの?」
「まぁ、昼はそういうことも多いかもな。夜とか暇だから、自炊したいけど」
「普段からあんまり料理しないから、何を作ったらいいか分からないんでしょ」
「そう、それ」
同棲してたら、作ってあげられたのに。とか妄想してみる。
そしたら、こういうとき寂しくないかも。
「あ、そうだ! 今、冷蔵庫には何があるの?」
「あーえっと、ちょっと待ってよ……」
電話の向こうで冷蔵庫を開ける音がした。
「……が、置いてある」
「うーん、そっか。じゃあ……」
途中から、お互いハンズフリー通話にして晩ごはんを作りながら喋ることに。
ちょうど、私の家の冷蔵庫にも似たような食材があったので、同じメニューを作ってみることにした。
こうやって過ごしてみると、工夫してみるのもなんだか面白いかも。
スマートフォンの画面がどこでもドアみたいに、彼の部屋と私の部屋を繋いでいるようで。
出来上がったペペロンチーノと、ナッツ&ベーコンのチョップドサラダ。
私の部屋の皿と、画面越しの彼のを見比べながら、身近なファンタジーを感じた。