表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

いつもの日常

俺の名前は片瀬淳哉。東京第一高等学校に通う一年生だ。習う内容は対UE戦闘、AUEユニットの構造などUEに関することばかりだ。幼いころから親父に格闘術仕込まれてきたが、その理由は「暴れ馬システム」を埋め込まれることが決まっていたからだ。それはAUEユニットの制御ユニットを人の脳と直接つなげることで機動に恐るべき自由度を持たせるものだった。ただ「暴れ馬システム」のデバイスは脊髄につける必要がありほとんどが植物化した。だが俺は成功してしまった。

「なんで成功しちまったんだか……」

「あ、お兄ちゃんおはよー」

目の前に妹の清美の顔がある、()()()()()()()

「なにしてんだ?」

しかし妹は「えへへ」とだらしなく顔を崩すだけだった。ため息をつき俺は布団から出る。下に降りて朝ご飯を準備する。

「飯食ってさっさと行くぞ?」

「お父さん今日も帰ってこないね」

どうせまた研究所だろうな。

「じゃ、いただきます」

「いただきま~す」

二人で朝飯を食べていると清美が不意に口を開く、

「お兄ちゃんって彼女いるの?」

「いないよ。できるわけないぞ?」

「そ~~ぉ?」

清美はにやにやしながら

「い~~や?」

と意味ありげな視線を送ってくるのだった。

「ごちそうさま、いくぞ?」

「あ、まって~」

俺は急いで席を立ち、学校へ向かう。朝からあくびをしながら。

「よう、片瀬食物繊維不足か?」

出会い頭に食物繊維云々言ってる変なこいつは友人の……いや、小学校からの腐れ縁松下渚、身内以外でまともにしゃべれる唯一の男だ。

「は?」

「『なんだこいつ馬鹿じゃねえの?』みたいな目でみるな!」

「よくわかったな、その通りだ」

そして隣で奇声を上げ始める。これでも俺と同じ第一高校の生徒だから驚き。

「GW終わっちまったなぁ~~~~」

渚がため息をつく。

「私はうれしいよ、だってみんなに会えるんだもん!でも、お兄ちゃんと別の学校だからさみしいかな」

そして清美を見てもう一度溜息を吐く。

「お前はほんっと羨ましいやつだな!こんなカワイイ妹ちゃんがいるなんてよ!うちの香音なんか反抗期でな」

理不尽にも怒りの矛先が俺に向いてきた。朝からこいつは忙しいやつだ。

「私はお兄ちゃんのこと大好きだよ!」

清美が俺の腕に飛びついてくる。わが妹は年齢(俺と同じ16歳)のわりにいろいろ育ちすぎているので耳から脳みそが解け出てきそうだ。

「なぁ~~~~~~~!!ラブラブっぷりを見せつけんなぁ~~~!!」

「ラブラブだなんて……そんな……」

清美が俺の後ろに回って背中にぴったりくっついてくる。というかさっきから取り残されている気がしてならないのだ。

「お前ら何やってんだ。というか清美、お前こっちだろ?」

「あ、ほんとだ、じゃあね!早く帰ってきてよ~!」

清美が手を振って別の道を進んでいくのを二人で見送りまた歩きだす。

「お前やっぱ幸せ者だな、あんなかわいい妹がいてよ」

「お前いつまでそれ言ってんだ、しかも毎日」

「なにがしあわせものだって~~~?」

後ろから二人の間に入ってきたのは佐山実だった。女子にしては高い背丈に癖のあるロン毛、男勝りな口調から「姉貴」と呼ばれることもあるらしい。彼女は「ニシシ」と笑い俺たちに肩にうでをを回して来る。

「はい、これなーんだ?」

打てしそうにする彼女の手には一枚の写真が握られていた。それに写るメイド服姿でスカー地の裾を掴んでプルプルしている女の子を見て渚が呟く。

「これもしかして小林か?」

「あったり〜〜〜〜」

小林というのはショートカットに眼鏡というの言うところの地味子だ。眼鏡を外すと案外可愛いのかと感心したのもつかの間、その隣に座って偉そうにしているロン毛のちょび髭のおっさんに俺の目がいった。

「こいつ、お前だろ?」

「わかった?」

すぐにわかってしまった。手が混んでいるのか中途半端なのか。

「もう!実ちゃん!その写真見せないって約束だったのに!」

怒りながら近づいてきたのは小林綾音その人だった。そして怒られている実はというと悪びれた様子もなく「ごめんごめん」と謝っているが綾音は「うん、いいよ」とすぐに許してしまった。それでいいのかお前、すると視線に気づいたのか彼女は俺を見て

「片瀬くん、おはよ」

「ああ、おはよう」

と返す。いつもこんなくっそつまらん日常でいいのにKGBや王室諜報隊がちょっかい賭けにくるから邪魔で仕方ない。お前らよっぽど暇人かと常々思う。といつのまにか学校についていたようだった。

「渚、行くぞ」

「おお、そうだな、んじゃな〜〜」

第1高等学校には様々な学部があり俺と渚の操縦科、AUEユニットの操縦を学ぶ。他にも整備補修の整備科、ユニットの構造などを学びアイデアを形にする技研科などがある。

「今更学ぶことなんかないというのに」

「なんか言ったか?」

「いいや?」

「ならいいけど」

俺が戦い始めておよそ四年、今まで何人殺してきたかもう数えられる人数ではないのは確かだ。しかも俺がこの学校にいられるのもあと少し、ノブリウム機関を搭載したAUEユニット母艦が完成したら俺もそっちに配属されることだろう。なんかさみしい気もするが気のせいだと思っておく。ともあれ今はまだ学生、今の生活を楽しむとしよう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ