日常
異世界に来て早1か月。
世話係の侍女を2人付けてもらい、これまた支給されたホリファの平服、長いプリーツスカートの上から前で重ね合わせるひざ丈の上衣を帯で結ぶという結構動きやすい服にも慣れ。
ある程度の会話が出来るようになりましたキラッ☆、とそこまで都合の良いことは無く。
単語で自分の意思を辛うじて伝える事が出来る程度でしょうか、トイレ、お風呂、食事ぐらいは。
そうだよね、すぐに必要最低限の会話が出来るなら宇宙飛行士の応募資格に日常会話に困らない英語力って書かないよね・・・。
そいうことで、まだまだ文字も読めない私はずっと部屋にいてもゲームもない、本も読めず、言語学習以外はする事がないので、現在生活をしている賓客室の周囲を散歩することが日課になっていました。
彩芽ちゃんも忙しいため、顔を見ることもありません。
そういえば彩芽ちゃんはどれぐらいイベント消化しているんだろう?
途中までは4人同時進行可能だし、誰ルートを選んでいるのか気になるかも。
ちょいエロの風帝リュウオウルートも良いし、甘々な水帝ソウハルートも好きだったな~。
ヤンデレ隠しキャラに入っていなけりゃいいけど、あれは選択間違えると世界が崩壊してしまう。
今、ゲームの中にいる身としては世界崩壊だけは切実に止めてほしい。
今度彩芽ちゃんに会ったら確認してみよう。
いつもと同じコースを歩いていたら生垣の下で小さい何かが光っているのに気がついた。
近づいて屈み込み、奥の方でボンヤリと光る物へ手を伸ばす。
それは指先ぐらいの小さな赤い石だった。
うっすらと光って少し温かい。
周りには同じような石は見当たらなかった。
ルビーのように綺麗だったから私はその石を持ち帰る事にしたのだが、それが騒動に繋がるなんて思いもしなかった。