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炎帝と私の日常

「今日は何をしていた?」

「キョウハ、ベンキョウ。ホン、ヨンだ。」

私がお酒に強いと知ったキカは彩芽ちゃんと3人で行った酒宴の翌日から私を晩酌に招待し、それが日課となっていた。

まあ、1人で飲むよりは誰か居た方が良いんだろうしね。

ついでの言語学習の一環として『今日の出来事』を報告するのも習慣になりつつある。

お陰様でヒヤリングもトーキングも順調に進化していると思う。

まだまだカタコトだけどさ。

「ツバキ様、お持ちいたしました。」

「アリガトゴザイマス。」

侍女が持ってきた白い塊が入った器を受け取り、正面に向かい合って座っていたキカの隣へ異動して器の中身を見せる。

「何だ?」「コレ、豆腐。」

郷愁というのかな。

無性に日本の味が恋しくなって、好物でもなかった豆腐が食べたくなった。

しかし、ホリファの世界にあるわけもなく。

家庭科で作った時の記憶を頼りにこの世界の食材でどうにか作った豆腐っぽいモノを作ってみた。

「ツバキが作ったのか?」

「ハイ、ツクッタ。タベロ。」

小皿に小さく取り分け、塩を少し振った豆腐を渡す。

豆の汁は意外と簡単に絞れた。

でも、固める苦汁が良く分からなかったので寒天的なやつで固めただけの豆腐もどきなのだが、なかなか上手に出来た。

ので、大変お世話になっているキカにも振舞うことにしたのだけど、自分が作ったものを人に食べて貰うのはやはりドキドキする。

「・・・・そんなに、見られると食べにくい。」

「ア、ゴメンナサイ。」

緊張で見過ぎていたようだ。

「―――へぇ、豆で出来ているのか。」

「コレモ、ウマイ。」

揚げたニンニクチップ(っぽい野菜)と唐辛子(っぽい辛い野菜)を油につけた食べるラー油風のやつを豆腐もどきの上にかける。

「酒に合うな。」

おっしゃるとおり!おつまみに最高!

美味しそうに食べるキカの姿に安心してホッと息をついた時、グイッと腕を引かれ頬に何か触れる感覚がした。

横を見るとキカの顔が焦点の合わない程近くにあった。

「美味かった、また作れ。」

離れていくキカの顔に満足気な表情が浮かんでいた。

「くくく、顔赤いぞ。」こちとら日本人は乱りに他人と身体接触しないんじゃ!と言いたいのに話せる言葉が少なすぎて言えないので意地悪に笑うキカを睨むぐらいしかできない。

ああ、語彙力の無さが恨めしい。

いくら欧米化している現代人でもほっぺにチューとか、普通に狼狽えるからっ!!

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