帝王達の談話
次の季節祭について話し合いを持つため4人の帝王と彩芽は神殿内の政務室へ招集されていた。
定刻より早めに部屋に着いた風帝リュウオウが入ると、すでに水帝ソウハの姿が室内にあった。
「リュウオウにしては珍しく早いですね、振られましたか?」
「開口一番にそれはないだろ。」
水帝ソウハは透き通る白銀の長髪に薄青の瞳を持ち、男性でありながら女性と見紛うばかりの美貌をしている。
ソウハの辛辣な言葉に憮然とした顔をしているリュウオウは緩い癖のある茶色の髪に少し垂れた瞳が柔和な雰囲気を醸し出しており、性格も外見に反しないのだが好色が過ぎることもあり神官の頭痛の種になることも多かった。
時を置かずして地帝コクウも入室してくる。
「あれ?リュウオウが居る。振られたの?」
「コクウ、お前もか。」
癖が無い金の髪と猛禽類を思わせる金の瞳を持つ地帝コクウは現帝王達の中で最年長なのだが、丸みのある幼い顔立ちと小柄な体格から一見では成人しているようには見えない。
「後は、彩芽とキカだね。」
コクウは室内を見渡す。
「マセキの存在にも驚きましたが・・・キカの態度が一番驚きました。」
「ああ、俺も同意見。」
「僕も。」
3人の脳裏に浮かんだのはあの日、彩芽と同郷だという黒髪の娘が魔石の力を見せる準備をするのを手伝うキカの姿だった。
しかも、たどたどしい娘の言葉を理解しようとしている様子すら伺え、短気が玉にきずの炎帝は見当たらなかった。
傍若無人なキカが他人に世話をされども、雛鳥を育てる親鳥の如く甲斐甲斐しく世話をするなんて想像すらしていなかったのだ。
「あのキカだからなぁ・・・あいつ、閨でも自分では動かないらしいぞ。」
「え~、奉仕させるだけなの?ありえなーい。」
「あなた達、品がないですよ。ですが・・・男として最低ですね。」
ここで彩芽が入室してきた為、話は中断となった。
「どうかしたの?」
「なんでもない『です、よ、ぜ』」
「?」