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捜索
本殿の部屋1つ1つを歩き回ったが椿は見つからなかった。
「アヤメ、今日はここまでにしておこう。」
彩芽の顔に疲労が浮かんでいるのを見てキカは声をかけた。
「また明日探しに来れば良い。」
「・・・・うん。」
キカに促され彩芽が戻ろうとした時、目の前を衛兵が横切った。
急いで駆けて行く何人もの衛兵に彩芽は衛兵を追ってに駈け出した。
その様子にキカも黙って彩芽の後を追う。
長い裾が足に纏わりついて衛兵の背中を見失いそうになりながら走り続けると人の群れが見えてくる。
もっと近づくと衛兵や神官達に床に取り押さえられた黒髪が彩芽の瞳に飛び込む。
「椿ちゃんっ!!」