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スラさんの転生先こつこつ生活記  作者: 蒼和考雪
異世界観光旅情
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087 森の中、長耳に出会った

森の中を進むのです。前に行った森とはまた雰囲気が違うなー。植生、動物、いろいろ。

しっかし、前は出会う頻度の少なかった魔物とそれなりに出会うな。

ちょっと前の馬車んとこに出てきた熊樹とかもそうだけど、けっこう強いのもいるみたい。

まあ私相手に勝ち目なんてねーのですがねーへっへっへっへー。

うーん、でもなんか人っぽいのもいる模様? でもこんなところにいるなら人型魔物かね?

まあ、なんでもいいですが。のそりのそり、私は森を征くのです。あの山に向けて。


んー? なんかこう、見られてる感強いなー。山の方に向かっていると余計に強まる。

なんやろね? 山に向かうのが駄目なんかな? でもなんで? さあ、知らね。

ということでなんか監視感強いけど私は無視しますよ。やれるもんならやってみやがれ。

そもそもスライムを監視するのもどうなのよ? スライムよ? 最弱生物よ?

そんなものをじっくり監視してもなー。まあ、実際には私強いスライムですけど。

まあ、この何かじっと強まる視線にストーカーっぽくついてくる人。人? それは無視で。

気にしてもしゃーないねん。会話できるわけでもねーですしね。

って? あれ? 何か飛んできたなー。






 この森は結界に守られている。そのおかげで魔物が来ることは少ない。とはいえ、強力な魔物に関しては話が違ってきて、そういった魔物がこの森の中に入って私たちの里に近づいてくることもある。そういった魔物に対処するため、哨戒やらなにやら、狩人として森に出向く私たちの仲間も多くいる。まあ、皆義務的に仕事としてするよりは、腕を磨くために率先して参加するんだけど。

 私はどちらかというと、お仕事としての参加。私の実力はあまり高い方ではなく、強くなる、技術を磨くと言うほど熱意があるわけでもない。まあ、上の人と比べると私はまだまだ若い、幼いくらいの年齢だから焦る必要がないと言うのもある。そういうことで一人のんびりと森の中を見て回っている。

 最近は寄生樹のとりついたトライホーンジャイアントベアーとかいう危険な魔物の誘導をして里の近くから追い払ったらしい。その魔物のせいで周囲の危険な魔物や強い魔物がどこかに行ったせいもあって、あまり熱心に見回りする必要もない。でも、やっぱり見回り自体は必要である。どれだけ弱くても強くても魔物は魔物、危険は多いし何を起こすかもわからない。

 そうして見回っているとスライムを発見した。スライムは最弱の魔物。自然に置いては分解者、あらゆるゴミとなるようなものを食べて消化し、最後には別の生き物に狩られ潰れて消える、そんな生き物。とはいえ、その消化能力は万能で増えすぎると危険な魔物である。まあ、最弱であるスライムは里に自分から近づくことはないので危険はないだろう。里の結界は弱い魔物は本当に寄せ付けない。でもそのせいでゴミの処理が面倒なんだけど。もう少し何とかならないかな。


 おかしい。あのスライムはまっすぐ里に向かって進んでいる。スライムは結界で里に近づくことはないはずなのに、どう考えてもおかしい。まっすぐ里に向かっている。それ以上に周りの魔物を倒しているのもおかしい。この辺りにいる魔物は当然それなりに強い。それをスライムがあっさり倒して食べているのはおかしい。最初の時はスライムがいる、程度に考えていたけどどう見てもまともなスライムとは思えない。

 それが里に向かっている。もしあのスライムが里にたどり着いたらどうなるだろう? この辺りの魔物を倒せるスライム、私みたいにああ、スライムか程度に思って、近づかれていきなり襲われるかも? そうすると死にはしないと思うけど、怪我とかするかもしれない。危険はある。

 野放しにするわけにはいかない。当然倒すことになる。スライムは弱点がはっきりしている。逆に言えばその弱点を狙わない限り倒すことはできない。それはほぼすべての度のスライムにも共通する事項である。だから、あの核を狙い……撃つ! 放った矢がスライムに飛んでいき、その体に触れ……えっ?

 矢は確かにスライムに飛んでいった。普通なら、それはそのままスライムの体を通って核を貫いたはず……なのに。矢が少しだけ、体にめり込んだくらいで、そのまま矢は止まった。そしてそれをスライムが掴んでいる。自分に飛んできた物を理解しているってこと? あ、スライムがこっちを……見て、いる? え? スライムなのに? スライムは知恵を持たない、本能で生きる無能の魔物。そのはずなのに、それが攻撃を感知してこちらに視線を向けている?

 本能的に駄目だ、これは危ない、危険だ、怖い、そう感じて逃げた。あのスライムは本当にやばいものだと思う。ああ、でも、せめてみられる前に逃げるべきだった。だって、逃げる先は私達の里。私の住む家もある所。ああ……大丈夫かな?






矢、ですな。そして改めて襲撃者の様子を見てみると、長い耳……うん、あれだ。

弓矢使ってるし長耳だからエルフかな? ふうむ? エルフがこの辺りにいるのか。

矢を放ってきたところ、魔物退治でもしているってことかね?

でもそれなら今まで攻撃してこなかったのはなんでかな?

強さの把握をしてたとか? わっかんね。

しかし、逃げたかー。まあ捕まえてどうにかするってつもりはないんだけどさ。

よくもわてを攻撃したなー。ぐへへちょめちょめしてやろうではないかがははー、なんて感じでもねーですし。

まあ、一遍襲われた時の恐怖を思い知らせてやろーか、とも思わなくもないけどさ。

一応わっち魔物ですし。ある意味そういう攻撃を受けるのはしゃーねーな、って納得はしてるのよ。

納得したから許すってわけではないけどね。

一応の許容と理解はしているので、まあ、一発くらいはゆるすよって感じ。

とはいえ、過剰に襲ってくるようなら対処を考える。

さて、逃げた彼女はどうすんのかね?

エルフの群れが大挙して押し寄せてきたら……そうね、魔法に注意。

久々に防御スキルを活用する機会が来るのかしら?

迷宮の魔物よりはエルフは強いのか、弱いのか。ふうむ。

ま、なんにせよ今まで通り先へと進むだけです……って、あっちは逃げて言った方向よな。

もしかしてこっちに彼女らの村とか街とか集落とかそういうのがあるのか?

なるほど。近づいたから攻撃してきたってことかな。

ううむ……そうなると基本こっちが悪目か。

まあ、そんなこと言われてもしらんっちゅーねんって話でもあるんだけど。

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