表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スラさんの転生先こつこつ生活記  作者: 蒼和考雪
異世界観光旅情
84/132

084 従魔のスキルと少女事情

少女に抱きしめられて馬車の旅。うーん、何もすることがないぜ。

ゆらりゆられて馬車の旅ー。少女に抱かれて動けないー。退屈退屈退屈だー。

ん? 冒険者が寄ってきて……なんか言ってる。この子に渡してる?


<すらむー> <食べて>


おうふ。何か指示が来たぜー。しかしわっちがこれに従う理由はないのです!

まあ、少女の顔を曇らせるのは趣味ではないので食べますけどね。これはこれで不安だが。

今まで動きを見せてないから一応安全っぽいって思われてるかもしれないけど。

食べると動きになるからなー。

しかし食べるしかないのです。少女の頼みですので。こう見えても女の子に弱いので!






 本来、シエラは従魔のスキルを持っているわけではなかった。従魔のスキルは魔物と仲良くならなければ得られない。それゆえに、普通ならばスライムを抱きしめているだけではシエラは従魔のスキルを得ることはできない。むしろ逆にスライムに襲われるのがふつうである。しかし、このスライムは特殊である。前世を持ち、それゆえに意思を持ち、彼が人間に害意を持たない性格であったがゆえに、少女に抱かれ大人しくしていた。

 それゆえにシエラはスライムに仲良くなろう、仲良くなろうと接し、その結果従魔スキルを得ることができた。だが、スキルというものは最初はそれほどの強さではない。どんなスキルも最初は弱いスキルであり、使えば使うほどスキルの強さ、強度は上がっていく。彼女が得た従魔スキルであれば、普通のスライムならば問答無用で言うことを聞かせることはできただろう。少女にそこまでの意思はないので効果がないのだが。

 しかし、それはあくまで普通のスライムの場合。彼女の持っているスライムはどれほどの強さかと言うと、ヒュドラを倒せるくらいに強い。更に言えば、種族的には最終進化一歩手前の進化種である。そんなスライムに彼女のスキルで言うことを聞かせることはできない。だが、スライムには意志がある。それがまた功を奏することになる。

 そもそもなぜ従魔スキルで言うことを聞かせることができるのか? スライムなどの生物は自己の意思を持たず、本能で生きるものである。シエラの持っているスライムは別にしても、普通のスライムはそういうものだ。それにどうやって言うことを聞かせることができるのか? それは従魔スキルでスキルを持つ者の意思を伝えることができるからである。意志を持たない生物ならばそれは一種の強制力を持つ。それゆえに、スライムなどを従えることができる。逆にスライムなどとは違い自己の意思を持つ魔狼などは強制力である程度従うが、自己の判断などができる。従魔スキルに完全に従わないなどもできる。そのあたりはスキルの強さ次第だろう。

 つまり、スライムが意思を持つゆえに弱い従魔スキルでもシエラの意思を伝えることができ、スライムはその意思を汲んで従っているのである。それを周りはスライムに従魔スキルが効いているように見えるだろう。実際にはまったく違う。なので彼らの安心は実際には全く安心ではないのである。

 なお、シエラの従魔スキルはスライムに全く効いていない。しかし、スライムに作用していないわけではない。彼女の持つスキルは全く効果のないまま持っているスライムに作用し続けている。これがどういう意味を持つかと言うと、成功しない失敗しているに関わらずスライムにスキルが発動していると言うことである。また、スライムを従えることは出来ずともある程度言うことを聞かせることができるということで成功扱いになる時もある。それらのことから俗にいう経験値的なものがスキルに入り、スキルの成長ががんがん行われている。今の少女であれば、下級の魔物の多くを無条件で従えさせることができるだろう。それは彼女の年齢では破格のスキルレベルである。






眠ってるときも抱きしめられてるのよなー。はあ、なんとか脱出したい……

ああ、力が強く。まあ、押し返すことはできるけどさー。でもなー。


<寂しい> <一緒にいて>


寂しい、か。一応両親も一緒にいるって言うのにな。でも、俺を見つけた時とかは一人だったっけ?

なんというか、この子こう、あまり構われていないんじゃ?

愛がないとか虐待とかではないと思うけど。

うーん、商人の人やその嫁さん、別の事で忙しいとかで基本的にこの子放置気味なんじゃ?

もうちょっと構ってやればいいのに。

そうすれば俺を抱きしめてこんなこと言うこともなかったんじゃ?

まあ、そのあたりは個人の事情もあるんだろうな。旅商人やっているのも理由があるやもしれん。

もっともそんなこと俺には関係ないんだけどな。なにせスライムですし。

寂しい、か。そうだね。ずっと旅で友達も碌にいないんじゃないかなー? 子供同士の友達とか。

じゃあお前友達になってやれよって声が聞こえてきそうだが、でもなあ……魔物は魔物だ。

別にこの子にずっとついていくのもありかもしれんが、そういうわけにもいかないよな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ