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スラさんの転生先こつこつ生活記  作者: 蒼和考雪
異世界観光旅情
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079 報告と報酬と

海の中、人魚たちの街とも言える彼らの住んでいる場所、彼らの海に戻ってきたのです。

まあ、戻ってそのまま長老のところに報告ーっというわけで来たのはいいんだけどねー。

あれだ、なんていうか、すごくあっさり戻ってきたから内容を信用されていない。

連れの人魚さんが色々と長老さんに言ってくれているんだけど、信用できないの一点張り。

そもそも人魚さんの報告も人魚さんを脅して言わせれば成立する、という言い分。

まあ確かにそうなんだけどさー。じゃあなにをもって報告すればいいのか、ってことになるだろう。

確かに何か適当に体の一部でも回収してもってこればよかった、というところではある。

そのあたりスラさんが悪いかもしれぬわ。

でも、人魚さんの報告を信じられないで通すのはどうだろう?

まあ、向こうとしてもこちらがあっさりと倒したのを認めたくないのか、認められないのか、ありえないと思うのか。

なんでもいいか。こっちとしては別に倒して感謝されたいわけでもないし。

とりあえず、念話に介入。おーい、お二人ともー。


『なに!』

『……なんじゃ?』


二人で言い合ってても仕方ないじゃない。こちらは頼まれた魔物を倒した。

でも、そちらさん、長老さんの方は信用できない、ってことでしょ?


『そうじゃな。スライムがそこまで強いとは思えぬし、あまりにも早すぎる。それにこの者も無事だ』


傷ついてたら戦ってるってのもあれだけど。スラさんが守ったからってのはあるけどね。

そもそもそこまで言うならば確認に行かせればはっきりするんじゃないの?


『今いなくなっているだけやもしれんじゃろう。倒したのではなく一時的に追い払った可能性もあろう』

『っ! 流石にそれはないでしょうっ!』


まあまあ、落ち着きんしゃい。確かにあり得なくもないけど、じゃあ何?

ずっと確認できるまで待てと?

こちらとしては別に構わない所ではあるけど。


『……ふむ。しかし、あまりスライムであるお前さんにうろつかれるのものな』


文句あるなら別にいいよ。

そもそもこちらとしては感謝が欲しいわけでも、何か大層なものが欲しくて倒したわけでもないの。

こちらがしてほしいのは自分を地上に連れていくこと。それ以上のことは望んでいない。

別にここの人魚を従えたいとか、価値のある物をよこせとか、そういうものは特にないのよね。

自分がうろつくのヤダーっていうなら、そのまま地上に連れてってくれればいいじゃない。

報酬として地上に連れていくのも、おいているのも邪魔だから連れていくのも大差ないでしょ。

魔物に関しては退治されていればそれでいいわけだし、戻ってきてもまた自分たちで倒せばいいだけだし。


『……そうじゃな。確かに、スライムであるお前さんがいなくなったところでこちらに不都合はない』


じゃ、それでお願いします。こっちは別にここに居座りたいわけではないので。


『お前が連れていけ。連れてきたのはお前じゃろう』

『わかりましたっ! 行こっ!』


おおう…………将来的に大丈夫かなー、この子。ああ、長老さん。


『なんじゃ?』


俺が善人でよかったね。


『ふむ?』


自分が魔物を倒した事を信じているか信じていないかは知らないけどあの数の魔物を倒したのです。

お供の足で人魚さんがいたとしても、彼女を無傷で守りながら、向こうさんをこの短時間で全滅。

さて、それがただのスライムでできる事でしょうか?

そして、それだけのことができるスライムの強さはいかほど?

あの魔物がこの場所を襲うのと、この私スライムがこの場所を襲うの、どちらの方が危険だろうね?


『………………』


別にそんなつもりもないけどね。強さの程で、どちらが襲ってきた方が危なかったかな。

こちらは別に報酬欲しいわけでもないから別にいいって話なんだけどさ。

もし、色々欲しがってたらどうだろうね。

だからさ、俺が善人でよかったね?


『……………………』


じゃ、そういうことで。地上までの足をお願いします、人魚さん。






『なに、あの態度! あなたがあの魔物倒したのに、全く信用しないで!』


まあまあ。そういうもんでしょ。倒したかどうかなんて直接その場にいないと分かんないし。

言っている通り、脅されている可能性だってありえないとは言えないわけで。


『でも……』


向こうとしては、別にどちら手も良かったんだろうね。

ただ、いちゃもんつけて報酬を支払いたくない。

恐らくはその程度の理由でしょ。まあ、自分スライムだからそういう点では信用ないしなー。


『それって……酷い』


まあ、スライムとか底辺魔物の扱いなんて普通はそんなものじゃない?

まあ、こちらとしては別に居座りたいわけでもないし。

だから地上に連れていくことであっさりお別れでよかったのよ。最後に脅しておいたしねー。


『脅し?』


こちらがいい奴でよかったな、ってさ。

もし私が悪い奴なら、こいつら許さん、ぶっ殺! ってなって壊滅だね。


『…………』


出来ないと思う?


『ううん、思わない。あなたなら……できるよね』


うん、できるよ。まあ、水中だから逃げられる可能性は高いだろうけど、街は一切合切消滅するだろうけど。


『…………』


まあ、そんなことできる相手は怖いわね。だから地上へ。ほれ、早く連れてきなさい。


『うん』

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