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スラさんの転生先こつこつ生活記  作者: 蒼和考雪
異世界観光旅情
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072 スライムの川流れ

ああー、スライムが川を流れていくー。清流の小川をー。いやいや、流れよっわ。

もっとこう、でかい川はないのー? アマゾンとかのでっかいのー。ないかー。残念。

河川工事とそういうのはされているのかしら?

意外と自然なままとか? まあ森に入ってまではしないか。

一応前に街で入った川はきちんと整備されていたしそういう所は河川工事とかやってるんだろうな。

しかし、もしかして大きい川になるようにはなっていないとか? まあありえなくもないかも?

一応流れのまま進んでみよう。全身浸かる程の川じゃなくて小川レベルでも別にいい。

まあ、そのまま普通に進むよりも楽だからねー。本当は山にある激流レベルが欲しかったけど。

そういえば、外国にある川って基本的に緩やかで大きい所が普通なんだっけ? お隣の大河とか。

自分のところにあるのはそれこそ急流川下り的なかなり流れの早い所ばっかりだとか。

まあ、今の自分はほぼ前世のことなんて覚えてないですけどね! ずっと迷宮暮らしだもの!

記憶の反芻もせず紙なんかにも書いていないでずっと戦って暮らせばそりゃ基本的なこと忘れるわ!

まあ、そもそも覚えていたところでどうしようもないって言うのもあるけどねー。

自分の名前も家族の名前も住んでいたところも昔の記憶も、憶えていたところでむしろスライム生活には邪魔かな。

うーん? でもちょっと忘れすぎてる? まあ、いっか。今の自分はこの世界のスラさんだもの。

さあさあ、そんなことよりも川を下っていきますよー! 目指せ海! 行ってもしゃーないけど!










 ある国では他の国よりも厳しい掟、教え、法律、戒律が存在する。この世界において聖国とも呼ばれるある国において、魔物とは滅ぼす敵であり、それらを食することや利用すること、その皮や牙などを用いる事すら禁止されたとても厳しいルールが適用されている。

 この世界において魔物は動物に等しい立場で存在する。むしろ、動物と変わらない立場と言ってもいい。その肉は食料に、皮や牙、爪、骨などは道具に、内臓などの体の部位は物によっては薬になるし、保有する毒なども活用できる。そうでなくとも魔物は飼育して家畜のようにすることもできるし、捕らえ従えることで乗り物とすることもできる。馬車の馬の代わりにもなるだろう。

 魔物は本来動物よりもはるかに体力があり力がある。まあ、動物も種によっては魔物よりもはるかに強いが、魔物の方が利用価値は高いと言える。そんな魔物を聖国は敵視し、それらの素材の利用すら許さない。

 それでも聖国はかなり強大な国家である。理由としては、その魔物素材を許さないことから魔物素材を無効化、無力化、消滅させることができるから。また、彼等の持つ特殊な結界により弱い魔物は排除できることがあげられる。聖国において魔物被害は限りなく低い。国を守る結界は弱い魔物は通さず、強い魔物もその力を抑え感知する能力を持っている。そうであるからこそ、彼らは国としてかなり有力な立場を持てる。対魔物において聖国は非常に優秀なのである。


「せ、聖女様っ!」

「どうしましたか?」


 聖国に存在する巨大な聖堂。聖国における宗教は少々独特と言うか特徴的と言うか、他とは違う宗教を持つ。そして聖国はその宗教の総本山でり、その宗教における寄付も膨大である。当然ながらその宗教の権威として大きな聖堂が建てられるのは当然と言える。もちろん単にお金を使って豪華にするだけではなく、対魔物における仕組みや魔物により親を失った子の保護、家族が傷つけられた者の保護や看護、治療なども行う。

 その聖堂にはほぼ毎日聖女と呼ばれる聖国、およびその地の宗教において最も重要な存在が控えている。その権威としても、スキル的な宗教的な技能力的にも彼女の存在は重要であり、同時に彼女は起きた出来事を常に報告され知り、それらに関して調査したり対処したりする上位者の立場としての役割も持ち得ている。かなり忙しく大変な物だろう。


「ま、魔物の侵入が」

「まあ。それは大変ですね」

「た、大変なんてものじゃっ! 上級ですよ!?」

「…………それは大変ですね」


 上級。魔物の区分において上中下の三種類に分けられているが、聖国の結界に侵入できる魔物は中級から。それでも、その中級の魔物ですら弱体化で火球相当に落ち込むことを考えれば侵入されてもそれほど危険ではない。だが上級以上となると話は難しくなる。

 魔物の区分は上中下の三種類だが、厳密に言えば上級の上に魔王級がある。この魔王級と言うのは迷宮の主レベルの魔物であり、当然ながらそんな魔物が世界を闊歩していることは少ない。しかし、それに匹敵する強さを持つ魔物自体はそこそこ存在する。しかし、迷宮の主であるとわかっている魔物以外の魔物は強くても、強すぎる場合の明確な区分ができない。ゆえに一定以上の強さは上級として扱われる。

 ちなみにこの上中下の区分だが、魔物二段階目までが下級、四段階目までが中級、五段階目以上が上級である。魔王級となると八段階目、最終進化相当の実力であると認識されている。まあ、こういう細かい認識はあまり普通の冒険者は知らない。

 さて、今回の方向にある上級区分。これに関して聖女は目を細め鋭くして話しを聞く。上級は先に言ったとおり、五段階目以上の強さ。最大で迷宮の主一歩手前の強さまで含む。冒険者で言えば上級以上がどれほど必須になるかわからないくらいの強さである。それが入って来たとなると、弱っても中級相当に落ち込むか、弱体化しても上級相当の強さを有するか。かなり面倒な話となってくる。


「現在対処に動かすことのできる人員は?」

「下級はいくらでも……」

「上級以上、最低でも中級から」

「はい! 上級だと……八名です!」

「少し前に頼んだ仕事に出払ってますからね……戦うことを考えると中級を可能な限りださないとだめですね……」


 冒険者基準での強さ換算、上級相当の強さを有する聖堂に努める騎士、教徒はそこまで多くない。信心深くとも能力が高いわけではない。侵入してきた魔物の事を考えると難しい状況である。しかしそこに追加の報告が入る。


「報告です! 魔物が外へと逃げたようです!」

「へっ?」

「…………どういうことでしょう」


 結果として戦うことなく魔物は去っていった。

 その後、詳しく色々と詳細な調査をする。結界に反応がありどれほどの強さの魔物が侵入したのか、それはわかっているのだが、その存在を誰も見ていない。魔物はどこからきてどこに行ったのか。聖女が出来得る限り考えたが、その結果考えられたのは空を移動している魔物が引っかかった説、水中を移動する魔物が引っかかった説の二つである。


「それにしても上級レベルの魔物が……?」


 その二種類の可能性はあるのだが、しかし魔物の強さ的にもっと目撃者がいてもおかしくないはず。それゆえに可能性が他にもあるとしか思えないのである。まあ、普通は誰も予想しないだろう。魔王級の強さを有する、圧縮によって小さくなったスライムが川をゆったり流れながら移動していた、などとは。

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