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062 王者の赦し

何つータイミングで進化来るねん? アナウンスさん狙っとるんやなかろーね?


『ほう。進化だと?』


あっ。そういえばなんか念話でこっちの心の声聞こえてるんだったっけー!?

ああ、でも流石にアナウンスさんの声までは聞こえないですかね? えっと、進化先わかります?


『お前の言うあなうんすさんとやらは知らぬ。我が分かるのはお前の思考のみ』


ふむ。ってことはアナウンスさんは竜王さんみたいに一種の念話に近いもので連絡してるのかな?

そのあたり自分でもさっぱりですが。うーん……まあ、神様とかそっち系よな、やっぱ。


『我も一応神に近い立場であるのだがな』


え? でも竜王さんって迷宮の主とかそういうのですよね? 神様っぽくないし。

っていうか、神様ってもっとこうとんでもないってーか、どうしようもない存在ですよね?

迷宮の主って一応倒せる存在ですよね?


『うむ。我を殺すことは可能だ。お前ではまず不可能だがな』


あ、はい、わかっております。

別に倒したいとかそういうのじゃなくて、要は神様っぽくないと言うか。

もっとこう、普通の存在じゃなくて滅茶苦茶やばい存在なのではという思いなんです神様って。

ほら、自分みたいにスライムに魂を宿すとかそういうのができるのが神様じゃないでしょうか?


『確かに我にそういうことは出来ぬ。あくまで神に匹敵する、というのが迷宮の主の在り様よな』


神様クラス、かあ……やっぱ迷宮とその主ってとんでもないのねえ……


『ところで。話を戻すが、お前は進化とやらをできるようになったのか?』


あ、はい。一応はそういうことみたいです。

アナウンスさんがいつも進化のことを教えてくれるのですが。

ちょうど、たった今、ついさっき、進化できるようになったみたいです。

種族はカイザースライム……ええー? ちょっと待って? エンペラーの次はカイザー?

エンペラーもカイザーも皇帝なんですけどー? 確か、そんな感じだったと思うんだけど。

なんで名称と意味合いが重複しとんねや? 誰よこの名前考えたの?


『そこを気にするか? 名前など気にしても仕方があるまい。我とて竜王としか名乗れぬのだぞ?』


竜王は良い方だと思いますが……単純明快ながらもわかりやすくて強さもはっきりしますし。

いや、別にカイザーとかエンペラーが悪いと言うわけじゃないんです。

意味が重複しているのが嫌なんです。

ほら、竜王さんだって次進化したらキングドラグーンとかになったら微妙でしょう?


『我は進化することはないはずだが?』


仮にです! 竜王はドラゴンキング、次がキングドラグーンだったら王竜とかそんな感じで。

名前の位置入れ替えただけ、とか王の別の呼び名を名前にしただけとかいやじゃないです?


『そんなことを気にしてどうする? 名よりも己を誇れ。強さを誇れ。そうすれば名など意味はない』


あ、はい……


『それよりも、だ。進化できるようになったのだろう? 余興だ。進化とやらを見せてもらおう』


え? いや、別に進化するのは構いませんが、余興? え、見世物にすんの?


『ここに侵入してきたことの罪をお前が進化する姿を見せることを代価に打ち消しとしてもいいぞ』


マジで!? まあ、ある意味ちょうどよかったってところなのかな!? ありがたいッス!


『カイザースライムに進化できます。進化しますか?』


あ、進化の催促来ました。仕方ありません。竜王さん、すぐに進化しますけどよろしいです?


『うむ。見せてみよ。我も種の進化を直接目の当たりにするのは初めてでな』


わかりましたー! アナウンスさん、進化お願いします!


『進化を開始します』











「はあ…………緊張感がないというか、命の危機に会ったことを自覚していないのでしょうか? まあ、ヒュドラを退治したところで進化は出来たのですが……流石に何日もかけての激闘を続けることで体力気力を減らし勝ちを拾うというのはとんでもないですね。予想外と言うか、想定外と言うか……ふふ、凄い人ですね。そういう所は流石と褒め称えるべきなのでしょうか? おかげで進化の通達が遅れましたよ? おかげで命拾いした感じでもありますね」











ふう。進化終わたー! って、結局何も変わってねーんだろーなーって思いますけどねー。


『本当にな。光っただけで見た目は変わっておらぬではないか』


あ、竜王さん。まあ、見た目は大きくなるくらいでの変化しか今までありませんでしたし。

そもそも大きくなることに関しても圧縮でかなり大きさ制限しているので。

なので大っきくもなりません。

だいたい大きくなったらこの場所がぶちゃーってスライムで広がって竜王さんも飲まれますけど?


『その時は容赦なく燃やし尽くしたがな』


ひええ。まあ、とりあえず進化見せましたが? 別段面白みもなかったと思いますけど、どうです?


『確かに面白いことは何もないがな。しかし、実際に進化を見せてもらったのだ。前言を翻すことはせん』


あ、そうなんですか。とりあえず命の安全は確保されたし。


『しかし、いつまでもここにいるつもりではなかろう?』


そうですね。もともとここまで来たのは修行と言うか強化と言うか、実力試しと言うか。

迷宮の外に出ても安泰でいられる実力を確保したいから、という理由ですし。


『お前の罪を赦そう。お前は自分の望み通り、迷宮を出るがよい。そして世界を見てくるのだ』


はい、そうします。


『そのまま強くなれ、いずれ我のようにもなるだろう。その時を楽しみにしているぞ』


はーい……でも、まあここに戻ってくるつもりはないですけどね。

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