059 竜を墜とすスライム
さて。竜を倒し竜を食らい成長したこの私の姿をみよー! ってまあ、そんなことを言ってもね。
根本的な問題の解決になっていない気がする。何がって、竜の背中に乗っても意味はないんだよ!
ヒュドラへの攻撃手段をどうにかして開発しないと意味はないんだよ!
ヒュドラ相手は他の竜とは勝手が違うんだから……いっそ体内に入ったろか?
うん、まあスライムだしそういう手法も一つの手だとは思うんだけど……問題は毒と消化力。
こっちの酸性能力以上の消化酸を持っている場合確実に負けて食われる。死ねるね。
それに毒を吐き出す以上、毒腺とか毒袋とかもある。体内に毒が蓄積されている可能性もある。
一応自分毒への耐性はあるんだろうけど、それはあくまで消化能力としての意味合いで。
ブレスで溶解させられたように、毒素そのものに強いと言うわけではない。
要は溶解毒とかがあった場合は確実に耐えきれずに溶かされると言うことである。きついわ。
つまり、外部からの攻撃による攻撃手段が必要。通常の竜相手だと背中でオッケーだけど。
ヒュドラは背中にも首を向けられるからねー。消化にかかる時間も竜以上。厄介厄介。
今までの竜との戦い方では駄目よ。地上にいるか空中にいるかの違い以前の問題。
つまり背中に乗って戦うなってことね。まあ頭の位置はヒュドラと空中の竜で違いは少ない。
だから空中にいる竜にダメージを与える手法を開発すればそれはそのままヒュドラに応用できる。
まあ問題は色々とあるんだけど。まずその手法を開発する点からして大問題だしね。
スライムが簡単に強大な竜種を倒す手段を開発できるなら苦労しねーっての。
とはいえやるしかないのでいろいろ試行錯誤。今まで得たスキルを応用してなんとかするしかない。
具体的には圧縮と変化だね。圧縮解放は今でも使っているけど攻撃的な運用はあまりできていない。
なぜかと言うと、解放の限界があるから。現状では解放できる範囲指定が微妙であること。
あと、解放した場合の伸びの問題がある。一応かなり伸びるんだけど、途中で勢いは落ちる。
部分的な解放だと圧縮から解き放てる体が制限されるみたい。まあ、それなら近づいてやればいい。
目や頭を狙う。特に目は重要、狙い目。目だけに。いや、おもしろくないねー。
実際目に伸びた体を突き刺せられれば大きい。目は生物の体でも守り切れない柔らかい部分だし。
とはいえ、普通の圧縮解放でどこまで届くかって話でもある。貫ければ大きいんだけど。
そこで重要なのが変化。今までもいくらか運用してきていたけど毒性を持たせたりできる。
まあ、主に酸性と粘性を高める役割が主だったわけだけど。それ以外もいろいろと試すしかないね。
ふっふっふっ…………長い長い修業期間を終え、私は帰って来たー!
竜を相手にするのも構わないけど色々試すならやっぱりちょっと前に戻るのもありかな。多種多様。
まあ、最終的に竜相手に実践的にお試しするしかないわけだけどね! 耐久生命力的に!
実際様々なファンタジー生物がいるから扱うべき性質の参考にはなるよ。
まー、結局竜に通用しなきゃ意味はないんだけどね! そういうことで竜相手に最終調整行きます!
跳躍、空中跳躍。二段じゃなくて三段になるだけで性能が馬鹿違いですよ。
跳躍のあとにもう一回跳躍できるってだけで大きいのに、その後の調整もできるのは大きいね。
そのまま、伸ばしてどーん! 圧縮解放で体を伸ばして竜を叩き落とす!
単に伸ばして突くのも良し。他にも上から伸ばして重力下でぐわーんと地面に押しつけるのもあり。
まあ、ヒュドラ相手だとどうかな。普通の竜には有効っぽいんだけどね。
目を突けば落ちてくれるし、頭を叩きつければその勢いで地面に。
うん、竜が弱いんだ。竜は本来強い生物なんだけど、基準先があのでっけーヒュドラさんだから……
思えば自分の体もかなり大きくなっちゃったよね。最初のスライムのころが懐かしい。
エンペラースライム、皇帝の名にふさわしいくらいにとってもでっかいスライム。
ちょっと完全な圧縮解放は試してないけど下手すればエリア一つを飲み込みかねないくらいの総量。
まー、そこまで伸ばしちゃうと炎なりなんなりで焼かれたり削られたり。
そもそも相手が飲まれてくれない。元に戻しちゃうと結構厄介なのよね。
まあ、この階層なら森ごと草原ごと恐竜ごととかできるけど。
自分の所業を考えるとでっかいスライムって災害規模よな。
慎ましやか生きるならもう食わなくていいけど。
とはいっても、同じ災害規模でも私スライム以上の災害規模なヒュドラさんとかいるけどな!
あっちの方が規模も強さもやばいっての。
しかし私もスキル持ちですから、それなりにやばいだろうけどね。
さて、竜も何とかできるようになった。まともに戦う……とはいっても、そこまででもないけど。
ふふふ、ヒュドラさんと自分のどっちが強いか勝負じゃー! これは精神と本能の戦い!
どちらが最後まで戦い続けられるか、その勝負になるだろうね……
ふふふ、意志の強い方が勝つのだよ。




