053 幻想の迷宮を超える
さあさあさあ! ずーっと第十一エリアにいたと思うけど、もうこれで全突破!
そういうことで第十二エリアに突撃だーい!
まあ、そんなに張り切るようなところでもないだろうけどなー。
第十二エリア。十一エリアと比べると普通のエリア。
一、二、四なんかと同じ普通のラビリンススタイル。
とはいえ、ここまでくると出てくる奴らに違いがある。
スライムもなんか虹色の光り輝くスライムだし。
あれー? ビッグはここは無理だけど、ヒュージくらいならいけるんじゃねーの?
って思うんだけどね。
でも、そっか。ヒュージでかいもんね。
こんなラビリンスエリアにヒュージがいたら床壁天井一面スライム。
それはやだもんねー。だから多分、特殊で強いスライムを用意しているってことだろう。
スライムの役割はここでも変わらず微生物的な分解者的な役割。
しかしここのスライムは襲われない様子。
強さ、というよりは襲うことにメリットがないんだろう。あの虹色ちょっと怖いし。
え? 我輩近づいたらどうなるかって?
逃げられますよ。残念ながらなー。そんなに帝王が怖いか。
さてさて、この第十二エリア。
エリアとしてはこれと言って目玉のない退屈なエリアですが、敵は違います。
グリフォン、ヒポグリフ、ユニコーン、ペガサス、バイコーン、ラミア、マンティコア、サラマンダー。
ファンタジーに名だたる魔物やら聖獣やら何やらオンパレードです。ゴーレムとかもいるね。
人型獣型問わず、ファンタジーに出てくる魔物が闊歩しているのは少々怖いね。
今までとはまるで違う。
何と言うか、普通に魔法使ってきそうなんだよね。
魔法系統は物理干渉系は平気、あの属性攻撃が怖い。
天使や竜を相手に経験してわかったけど、ああいう本当にこの防御能力を無視できるのは厄介!
核狙いされたらこっちも正直死ねるからね。
ああいうの、ちゃんとした肉体があれば防げるんだろうけど。
とはいえ、流石にこのエリアに来て彼らと戦わないと言う選択肢もない。
ってーか、そこまでやばくもない。
実際のところ、魔法攻撃されたら確かにやばいのかもしれないけど、こっちの方が先手を打てる。
それに防御スキルもあるからそこまで極端なことにはならない。
擬態で目眩まししながら襲って終わり。
正直言わせてもらうと、第十一エリアのボスラッシュはやばかったからね。
こっちはさほどの問題よ。
何せ、やばいスキルがある可能性はあっても倒すのが楽。
相手に発見されるよりもこっちの発見の方が早い。
ボスみたいに目の前に出てくるわけじゃないから隠れられるのよ。それが一番楽。マジで。
まあ、群れはちょっと怖いかな? でもここは基本的に単独で動いてる。どういうことだろう?
そして第十三エリアへの道を発見する。とはいえ、ここまで来た時点ではそれは恐らくの仮説物。
というのも……第十三エリアへの道は扉でふさがれている。
広いエリアの先の扉、そしてその前には魔物。
三つ頭の巨獣、巨犬。そう、俗にケルベロスと言われる存在なのです!
こんなところで門番やってんな!
まあ、ケルさんは門番やっているのが正しいはず。確かあれ、神話でもそうだよね?
ケルベロスは有名どころだから色々な作品に出張してることもあって由来元ネタ忘れかけるよね。
しかしまあ…………正直言ってあんまり怖くはない。っていうか、これまでのところがやばかった。
ぶっちゃけ竜もいるし、巨鳥人もいたし、蛇腕人獅子もいたし。あっちの方がぶっちゃけやばくね?
でも、まあ、神話の存在であるケルさん。ファンタジー御用達のケルさん。意外と出ないケルさん。
実は創作においては同じ神話でもやばい筆頭で氷属性付加されることの多いフェンリルの方が出番多いよね。
まあ、三つの頭、恐らくは全部が炎を吐けたりするんだろうな。
もしくはそれぞれで別々の能力を使えるとか。
魔法担当や物理担当がいるとかもあり得そうだし。まあ、とりあえずやり合うか。先に進もう。
まず、広場に出なければいけないのはこれまでのボス戦とそれほど変わらない。
そういう意味ではやりやすい。
こちらに気づいてもすぐに襲い掛かってくることはない。どうやらやっぱり門番的役割なのかな?
この階層、今は人間がいない様子なのでこちらに来る前になんとか倒させてもらおうか。
しかし、どうする?
一気に襲い掛かってもいいが、それはそれ怖いな。
こちらの動向に目を配っていると言うことは反撃がな。
まあ、こちらには防御スキルもありますし、それを使いながら一気に、跳ぶ!
三つ首がー!? やばいー!
ええい! 炎、氷、雷の三属性か!
なんでこの属性が基本の属性みたいになってるんですかねぇ!?
精霊的四属性信仰はどうした! もしくは六属性!
光と闇の属性もあったろうが! いいけどさあ!
防御スキルはこれまでかなり使ってきて強力になっている。
一度に攻撃が向かってきたのも都合がいい。
三回の攻撃を受けるのと、一回の攻撃を受けるのでは負荷が違う。
もちろん威力は変わるだろうけどね。近づきさえすれば、あとはどうとでもなる。
背中に飛びつければ、あとはもう煮るなり焼くなり好き勝手。
何せ、スライムさんは叩き潰されても防御力高いからなー。
まあ、流石に体が炎とかだときついけど。
でも、まあこれで背中への攻撃能力があったら厄介なんだけどね? 流石に犬にそれはない。
竜でもやったけど、攻撃できない場所にさえ取り付ければ、あとはもうどうとでもなる。
じわじわ体を焼きながら、溶かしながら、体の内側に入る。
えぐいかもしれぬがこれが自然の掟。弱肉強食。
流石にケルさんと言えども、この場で生きている以上生命体の節理には逆らえない。
心臓焼けば生き物は死ぬ。
と、いうことでケルさん撃破った!
それと同時に扉が開いていくぜー。いや、マジで門番だったのね。
この先は第十三エリア……第十五エリアが最終エリアだとするなら、もう少しでラスト手前か。
流石にそろそろクライマックスかもしれん……だがしかし、だがしかしー! まだまだいけるぞ!
ふははははははははは! やーってやるぜー! やーってやるぜー! 俺ならいける! 余裕だ!
無理だ! 第十三エリアどうなっとんねん!?




