051 巨鳥人との絶戦
ふっふっふー。苦節うん十年……いや、そんなに時間は経ってないけどね。
しかし、ボスラッシュに挑むこと数十回。いや、数百回?
まあ、それなりに楽に倒せるとは言え、成長に必要なのがどれだけか……
ま、実際には百数十ってところじゃね?
数は数えてないけど、そもそも蛇腕人獅子相手前からやってるからなー。
実際の数なんてわかったもんじゃない。大体一体や二体でなく五体種類がいるし。
まあ、そういうわけで色々と食べてきたよ! たくさん食べてきたよ!
ちょっとはましになったんじゃないかな!
やってみなきゃわからないとはいえ蛇腕人獅子相手と比べると単純な力の差がやばいからなあ。
地力を上げると言うだけじゃなく、スキルの強化も必須ですしなー。
あ、ついでに。蛇腕人獅子を相手に何度か戦っています。
倒せはするけど、やっぱり面倒な相手ですね。
さあ、そういうことはおいておくとして! 巨鳥人を相手に戦いますよ!
多分きつい相手になるだろうけど!
部屋に侵入してすぐに羽の雨が襲ってくる。これはどう考えても洗礼だね。
まともな防御力がないと相手できない。
最低でもこの程度の防御は必須、ということなんだろう。
まあ、防げるだけだとあの腕での攻撃で一撃だろうけど。
まあ、羽はおいしい餌ですね。
こっちが攻撃を防ぐと相手はそれがわかるのか、それ以上に何もしてこない。
そしてそれ以上に相手は動こうとしない。なんというか、座ったまんま。
でも近づくと攻撃をしてくる。腕による一撃、それが降ってくる。
以前も防御貫通して来たけど……今度はまともに防ぐぜ!
防げたけど、やばいってあれ! 逃げるから! はあ、結局ダメじゃんよー?
防御なしで防ぐことはできた。でもやっぱりあの爪の一撃はやばい。
うーん、何とかする手段はないか?
単純に何とかしたいならば新スキルを得るのがありだろう。
とはいえ、何が有効か。これ以後も有効か。
スキルは今後のことを考えるとあまり極端なものはとりたくない。汎用性重要、絶対。
んー、既存スキルでどうにかならないかな? 弾力性を高めるとか、あとはつるつるすべすべとか。
ではもう一回! 挑んでみましょう!
一番最初はやっぱり洗礼の羽の雨。でもこれ前もやってるよね。三回目。
もしかしたら入ってきた相手を正しく認識していない可能性もあるのではないですか?
もっとも、認識してないからって何だって話だけどなー!
まあ、相手の脅威を正しく認識しないのはいいかも。
場合によっては相手に有効打を加えてから逃げることになるかも知らんしね。
そういう場合、忘れてくれる方がいい。
羽の雨を飲み込みながら近づく! 腕の攻撃を受けるがー、つるりん!
ふははははは! すべすべ大作戦!
変化も、ずーっと一つの変化しかできないと言うわけではなく、ある程度性質の合わせ技もできるぜ! 多分!
いや、元からできたのかもしれんがね。
もしかしたらできる上限とかそういうのもあるのかも知らぬし。
攻撃が逸れるなら、問題ない! やっていける! どえっ!
つ、潰れる! やばいー! 穴、穴を掘れ!
ああ、そういえば迷宮で穴掘れぬ!? いやー! にーげーるー!
はあ、はあ……そういえば虫のような手だけじゃないの忘れてたわー。死ぬかと思った。
手で押し潰してくるとはやるじゃん? いやー、きついっすよこれ? 相手強くね?
人間でこれに挑めとか言われたら、まだ竜の方がマシってそりゃなるって思うレベルでやべえっす。
竜は竜でやっかいだけど、まあ一点特化よりも幾分かマシ。
総合八十点より一教科百二十点の方が恐ろしいよ?
でも、まあ……っていうかさ? そもそもまともに相手をすることを考えない方がいいのでは?
相手が強いから真正面から真っ向ぶつかるように戦う必要はないよね?
俺ってバカじゃねーのー!?
いや、まあ、別に陰からこそこそ攻撃しようってわけじゃないよ?
殴り合いみたいのではないってこと。
顔面に一発、キッツい一発を連発で一気に近づいて入れる的な、そんな感じ。
さあ、本日三回目! 何度死にかけるかわからないけど、やってやらあ!
最初に来る攻撃はわかっている。だからこそ、できることもある。
入ったと同時に一気に圧縮解放で近づくぜ!
羽の雨、勢いはあるけど攻撃力はかなり低い雑多な攻撃でしかない。
それらをまともに受けず、つるつる逸らす!
一気に近づいて、相手の懐に入る!
まあ、ここでも相手の攻撃の届く範囲だけど、それがどうした!
あの振り下ろす勢いで自分の体に攻撃は出来まい!
できたとしても、こちらだって回避や防御ができるさ!
そもそも、視界的に見下ろさなければどこにいるか確認しづらいよね!
まあ、触感で分かるのかもしれんが。
ふっふー。だがね、触れる感覚、蹴る感覚は感じた所でそこを狙ってももういないのだよ!
跳躍二回目! 圧縮解放による押し出しで一気に頭に跳ぶぜ。
さあ、ここからだ! つかめ口! つかめ鼻! 体の穴に入り込むのだ!
これだけでかくても毛穴から入りこむのは難しいけどまあ鼻や口なら容易よ!
気分的にやだけど!
流石に体の中に入り込んだ相手にはどうしようもあるまい?
でかいのがあだになるよね、こういう場合。
一寸法師だって腹からちくちくされて倒された。
人間だってアメーバにやられることだってある。寄生虫もいるし。
ふっふー。地獄を見せてやる。
焼いて溶かして、時間をかけてもその全身喰らいつくしてくれるわー!
と、言うことで。なんとか巨鳥人を倒しました! まじでキッツい相手です!
でーもー、でかいゆえの弱点もある。
ふはははは! はあっはっはっはっはっはっ! ふわーはははははは!
悪の三段笑いってどんなのだっけ?
全部食べつくしました。ふう、これで今までの消耗分がチャラ、いやそれ以上に強くなったんじゃないかな?
『エンペラースライムに進化できます。進化しますか?』
おお! これはちょうどいいタイミング! 勝利の祝杯かな? ふっふー。
まあこんだけでかいの食べればそうもなるってことかなー?
まあ、なんでもいいですけどね! 進化しまーす!
『進化を開始します』
「あれ、絶対に倒すことを想定しているとは思えない配置なのですが……いえ、そもそも迷宮には迷宮の主より強い魔物は配置されません。前提としてあれを倒せない限りは最後の相手を倒すことは無理、と言うことになるのですが。それを考えると少々意地悪な配置のやり方でしょうか? でも、よく倒せましたね……サイズ差が逆に功を奏したとはいえ、スライム種でよく倒したものです。動き回る相手では無理だったとは思いますが、それでもやはりすごいものだと思います……転生者は全然強さの性質が違いますね」




