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041 竜の炎を抜けて

ワイバーンたちの住むこの特殊な洞窟エリア。

もはや巣とも言ってもいいくらいにワイバーンたちが多いこの場所。

この場所は他の場所と違って少々特殊な造りだ。何が特殊かって言うと、それはもういろいろ。

今まで横に行くようなスタイルだったのに、上に上るような道筋。

まあ、下に降りる階段エリアあったけどさ。

魔物の存在。この場所にはワイバーンがいるけど、逆に言えばそれ以外の魔物はいないに等しい。

スラさんはいる。

いる生物も、魔物というには動物的な大きな野生動物種、大鼠から大熊まで自然の生物がいっぱい。

そして、エリアの状態。

洞窟とは言うけど、そもそもワイバーンのような空を飛ぶ生物が住みやすくなっている。

環境的にも上に上る道も橋などを除けば壁に沿って、飛行する生物の邪魔をしないような構造だ。

ワイバーンの巣の一部は柱の上だったりするしね。

突き出た巣にそうそう他の生物が到達できないようにもなってる。

そういうこともあってこの第十エリアはワイバーンたちにとって最高の楽園に近いエリアとなっている。

まあ、それには恐らくワイバーン以外の魔物がいないのも一つの要因だろうね。

野生動物じゃ勝ち目ないし。


だが。当然ながらそんなに都合よく行くわけではない。

何故ならここは迷宮である。人間が来るのだ。

その人間も、この第十エリアまで来るのは結構な上位者だ。

八、九と過酷なエリアを抜けてこれる剛の者。

ワイバーンもそんな冒険者、それも一人や二人でない複数人を相手にするとなかなか厳しいものとなる。

見ている限り、ワイバーン一体だと冒険者側に完全に軍配が上がる。

二体でもまだ冒険者、三体以上でも。

正直冒険者ってこれほど強いのかって思うくらいに彼らは強い。

やっぱり戦いを挑まなくてよかったわ。

しかもワイバーンと戦っている時もなんかこっちを見ている節がある。

いや、マジで怖いんで止めてください。

ぶっちゃけた話、ワイバーンが複数体、群れで来ても冒険者たちは倒しきれそうにはない。

それくらいに強い。いや、マジでどんだけ強いんです?

ワイバーンってそこまで弱くないよね? 有象無象じゃないっしょ?

まあ、餌次第で強くなれる、力を得られる、経験値的なあれがあるならこの場所は第三くらいで低いけどさ。

それを考えても、ワイバーンの群れで冒険者を倒せないってことはないよね?

まあ、一応倒せないわけじゃないっぽい。

ただ、冒険者側も馬鹿ではない。

当然群れで追ってこられれば逃げたり隠れたり、場所を変えて群れを引き離したり。

要は一斉に襲い掛かってこれないようにすればいいだけ。

炎を吐いてくるけどそれは対抗手段がある。

ただ、まあそれでもたくさん来られるときついようなので、彼らはこのエリアをできるだけ早めに抜けている。

ワイバーンも結構入れ替わりが激しいのか、危険な対象としては見られていないのか一斉に襲うということはない。

群れで襲い掛かるのはある程度戦闘の過程があってからのもの。

ワイバーンに対抗する前に駆け抜ければいいみたい。


さて、なぜこんなことをわざわざ語るのか。

冒険者たちはずっとこの場所にいるわけではない。だから覚えられない。

しかーし! ずーっとこの場所にいてワイバーンを襲って狩るある存在がいるわけなのです。

ぶっちゃけ俺だよ! ワイバーンを狩りまくって食べてる俺がいるんだよここには!

奴らにゃ脅威度マックスよ!

卵、幼生、大人だってそれなりに狩っている。

まあ、ワイバーンの巣だからといって全部のワイバーンが仲間じゃない。

それにここは迷宮、減っても補充する仕組みはある。

自然的にワイバーン同士の争いもある。だから問題ないんだけど。

でも、自分たちを襲ってくる脅威に関して。

彼らは意外と目敏いと言うか、感知度が高いと言うか。

まあ、そもそも今までずっとワイバーンを襲ってきたからそれを何度も見られていたんだろうねー。

おかげで完全にこいつはやばい、殺しておかなきゃあぶねえ食われる!

ってなったのか。排除の動きが活発。


ええ、今私はワイバーンの群れに襲われております。ぴぎゃああああああっ!






自分にとって一番やばいのは炎。ワイバーン相手にするうえで一番やばいのは炎。

しかもあの群れの数よ?

物理攻撃はいくらでも何とでもなる。

そもそも、サイズ的に小っちゃい自分を相手に複数のワイバーンが襲い掛かれない。

ゆえに、ワイバーンとまともに戦おうとした場合、基本的には一対一となる。

戦闘的にどちらかと言うとこちらが有利。

向こうは物理攻撃が通用せず、炎もある程度耐性をもって耐えて耐えながらこっちが攻撃してぶっ倒すわけで。

攻撃手段は圧縮を利用した解放による反動跳び上がりで体当たりして巻き付いて変化で酸を使ったり。目潰しもあり。

さらに言えば、口の中に入ってパーンってやったり、目から脳方面へと酸で焼きながら伸ばしたりもあり。えぐい。

流石に竜相手だと圧縮による引きちぎりはきついかと思ったんだけど。

胴体は無理だけど翼や足などの末端は何とかできる。

まあ、そんなふうに相手がワイバーンでも様々魔な攻撃手段が通用するのです。

ただし一対一に限る。

複数体を相手にする場合は別。

まあ、そもそも向こうがいくらいようが単純戦闘で複数体を相手取ることはない。

ならば何をするかと言うと、炎を吐いてくるのである。それも無数のワイバーンが。群れ全体が。

いくら炎耐性があると言っても完全耐性ではない。

耐性であって無効ではない。かなりの熱量でずっと焼かれりゃ死ねる。

そんな中どうするかって言うと、逃げるか倒すかするしかないってことなんですよ!

だけどね、倒すのは無理!

一体ならなんとでもなるけど、これだけの数が……

見えるだけでも十数頭はいるこんな状態でどうしようもないッスわ!

だから一気に駆け抜けるのです次のエリアまで!

まあ、こんな状況だから人間は流石に近寄ってこない!

仮に近寄ってきても、これだけのワイバーンがいる状態、追われりゃ逃げる!

突っ込む気はないけど!

彼らも死にたくはないから群れでぎゃーぎゃー炎吐きながら寄ってきたら逃げるよね! 多分!

気にしてられんわ!


と、地獄を味わいつつも……何とか第十エリアを駆け跳ね飛びながら抜けたのでした。まる。

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