123 エルフの里、再訪
この街は見覚えないなあ。
まあ、もう何年何十年何百年もたってるなら変わっていてもおかしくないかー。
それとも、あそこじゃない? まあ、エルフの里に近いからってあの最後の街っても限らないか。
まあそもそも私スラさんはあの女の子の抱き人形だったのであまり外には出られていないのですが?
っていうか魔物があちこち歩いていると言うわけにもいかないしねえ。
そりゃまあ当然だろうと言う話です。
うーん、でも? そうね、こっからでもそれなりに山は見える。
まあ、あれだけ高い目印山ならみえるわな。
だけど結構遠い! まあ、森に入っていればエルフの里につくでしょう。うん? ちょっと待って?
別に自分エルフの里に行くことが目的ではないよね!?
そうそう、もともとの目的はクルシェさん所に行く気。あの時計塔の街だね。
まあ、よくよく考えたらあそこにクルシェさんがいるのは確実ではない。
生死の問題ではなく。そう、もう何百年?
実際どれだけ年数がたったかわかんないけど、すでに引越ししててもおかしくはないのよ。
何処が住みやすい、どこが住みにくい、あそこがいい、ここがいい、あそこが悪い、ここが悪いそんなのを探している可能性もある。
とはいってもこの世界移動はしづらいかならな。彼女吸血鬼やし。
夜しか移動できない吸血鬼は街から街への移動は大変だ。
まあ、馬車で日光遮る手立てはありだろうけど……
それでもやっぱり面倒は多いよな、食事とかも考えて。
できなくはないだろうけど……まあ、そのあたりは何でもいい。
向こうに彼女がいないかもしれないが、いるかもしれない。
だから行ってから考えましょう、まずはあの高い山へ!
エルフの里にぶち当たるかもしれないルートです!
いや、ぶち当たるかもしれないかとは言ったけども。
本当にぶち当たるとは……まあ、途中でいくらか攻撃受けましたけど?
まあ、前みたいに魔法とかぶっ放されることはなかったね。
っていうか、エルフって長寿だから、昔のこと憶えている人もいるかも?
そうそう、前にも来たことあるもんね!
いや、来たことあるかどうかはぶっちゃけ記憶が定かではないのですけど?
いや、エルフの里自体に入った事あるけど、ここがそのエルフの外であると言う確証はないのです。
っていうか、別にエルフの里に用はないわけだし。
別に里をスルーして別ルートから行ってもいいのよね。
襲われたのは色々癪だけど別にエルフの里を通る必然性があるわけではないし……
そういうわけなので、とりあえずその武器向けるのやめてもらえませんか?
「なっ!? 誰だ!?」
目の前のスライムです。私一応念話スキル持ちなので。
自分からあまり念話しないので忘れがちですけど。
「念話スキル……だと? 確か、この里にもそのスキルを有する者がいるはずだが……それをお前が?」
ええ。私スライムですけど、頭は悪くないので。
こう見えてもいろいろとスキルをお持ちなのですよ?
ですので、とりあえずそうやって武器を向けられるとこっちも不安です。
別に襲う気はないので向けるのは止めていただきたい。
「信用できるか。なるほど、スキルを使い私と話せるのは認めてやってもいい。だが、お前がこの里を襲わないともかぎらん」
まあそっか、それももっともな話だよねえ……
別にこっちも里事態に用事があるわけではないんだけど。
「ならばなぜここにいる。とっとと去れ」
はい、別に去ってもいいです。私の目的地はあの山ですので。
「神山だと!? お前、一体何を目的にしている!」
いや、単に移動ルートなだけだけど……
いや、上まで登らないと遠くまで見えなくて、目的地わかんないからさ……
「そ、そんな目的であの山に登るのか!?」
いかんのです?
「あの山は神聖な場所、そこにただ徒に登るなど、許せるはずがないだろう! ここで始末してくれる!」
むう、交渉失敗……? 殺しはしませんが、容赦なく倒して眠ってもらおうかなっ!
「待てっ! そこまでにしろっ!」
「っ!?」
おおう?
「ちょ、長老!?」
「久しいな。スライムよ……私はお前のことを覚えている。別個体……とも思えん。かつてこの里を通ったことがあるだろう」
おおう。多分ね。ぶっちゃけあの時は普通に通っただけだから覚えてないですのでわかりませんが。
確か攻撃を受けたこととか今回みたいなことがあったのと、あと念話できる人と会話したことかな?
当時自分は念話スキルを持ってなかったから、そっちのエルフさんの念話スキルでだけどね。
「ならばやはり通ったことがある、あのスライムなのか…………まさかまたこの里に来るとは困ったものだ」
そう言われてもねえ……
別に、山に向かうだけだからここを無視して別の道から行ってもいいんだけど?
「……そうはしなかった。その理由は?」
まあ、襲われたので見に来ただけですよ。またエルフの里かー、って気分なだけで。
「そうか……」
何か困ったような反応……まあ、なんでもいいですけど。ところでもう行ってもいい?
「いや、今回で里の者がお前に攻撃を仕掛けたのは二度目だ。ゆえに、それの謝罪と言うことで一度里に少し滞在してもらいたい」
ほむ? 謝罪ねえ……闇討ちとかしない?
「しない……いや、私としては、お前があの神山に登ったということもあって、話を聞いておきたいのだ。何があったのか、どのような山であったのか」
自分で登ればいいのに。
「我々はあの山を神聖なものとしている。ゆえに我々が登ることはない……が、やはり気になるのでな」
まあ、別にいいですけどね……
「そういうことだ。このスライムは客人として扱う」
「ですが……」
「気にするな。別に特別な扱いをするわけではない。私が少し預かるだけだ」
それはそれで対応に困るのではないでしょうか? まあいいけども……
それじゃ、少しお世話になります。最近なんかあちこちで話することが多いなあ。