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スラさんの転生先こつこつ生活記  作者: 蒼和考雪
再来旅路神成活
105/132

105 スラさんは馬鹿

「……今日も特に問題はないな」


 いつもいつも、雨の日も雪の日も風の日も迷宮の入り口付近に立って何も起きていないことを見守る。普通の迷宮ではこういうことはあまりない。何故なら普通の迷宮は多くの冒険者が侵入し、迷宮内部にいる魔物を狩り安定した状態だからだ。いや、そもそも普通の迷宮はある程度迷宮内部の魔物の数は一定を維持する。迷宮内部で魔物が増える要因は魔物の繁殖によるものだ。普通の迷宮は繁殖する前に数を減らす。

 もっとも、ここの迷宮は普通の迷宮と違う。何が違うのかと言うと、普通の迷宮においては掃除屋として迷宮内の魔物の死体を食べ、残骸処理としての役割しか持たないスライムがこの迷宮の主体の魔物となっているからだ。別に他の魔物がいないわけではないが、上も下も横も、あらゆる場所にスライムの群れともいえるくらいの数が存在する。まあ、スライムは知恵の無い生き物であるから積極的に群れて襲ってくると言うこともないわけだが。

 普通の迷宮くらいの数ならばともかく、この迷宮のスライムの数は恐ろしい。数に任せ魔物を襲いその数を増やす。スライムは普通の生物のように雄と雌がいなくともスライム一体だけで単独で繁殖可能だ。食事さえあれば。

 大体の場合魔物が増えても攻略するために侵入している冒険者が増えた魔物を幾らか倒し間引き……とは違うが、その数を減らすのだが、この迷宮にはその冒険者の数が少ない。スライムは何でも食べる。金属も、鎧も、武器も、あらゆるすべてを食べる。この迷宮でもしも事故って死んだら死体も残らないし武器や防具も残らない。この迷宮では死にたくないな。さらに言えば、武器や防具の損壊もかなりの頻度となる。スライムは得られる成果も少ないし、何とかこの迷宮を攻略しようと思っている冒険者以外の侵入は基本的にない。

 そういえば、この迷宮は昔この辺りを掘って一獲千金を目指したらしい奴が発見したらしい。掘り出したせいで発見されたなんて傍迷惑な話だ。まあ、そうやって発見されなくてもいずれは表に出てきたかもしれないけどな。それによって迷宮の発見が早まったらしい。そいつらは実際にそこにあったらしい財宝を目当てにここを掘ったそうだ。しかし、実際にあったのは迷宮だったわけだ。だが、そんな話があるせいでこの迷宮には一番奥に財宝があるんじゃないか、という話が今でもある。それを目当てに侵入する奴も時々いる。まあ、そういうやつはスライムに油断して死ぬか、装備をボロボロにして這う這うの体でこの場所に二度と来ないかだな。今攻略しているのはこの迷宮攻略に装備がいらないタイプの冒険者だ。


「ふう、しかし。やっぱりそうそうスタンピードとかねえよな。今日も異常なし、何も問題ない一日だ!」


 スライムによるスタンピード。まあ、スライムは何でも食べる。迷宮内部にいるスライム同士でも、別種なら食い合うくらいだ。だからほとんどの場合外に出ようとはしてこない……だろう。多分。確実なことは言えない。まあ、出てくるにしても、スライムは動きが遅い。なので出てきた時点で即報告だ。たくさん出てこようが、複数の冒険者で範囲魔法でも使えば十分殲滅できる。ゆえにそこまで不安はない。

 まあ、ずーっとここで立って見守っているだけって言うのも大変だけどな!






きょうはくもりでした。たいようはでていません。おーのーれー。

畜生! 気分よく外に出られるかと思ったら!

太陽は登ってても雲に隠れてるよ! お天道さん顔見せやがれっ!

まあ、しかたないよね。天気は水物雨模様。いや、曇りやん。

自然の力にはスラさんとなった私でも敵わないのです。

あー、海流で流されたのを思い出す。あれも自然パワーだよな。

まったく、これだから自然ってやつぁ……

しっかし。迷宮からスラさんが外に出るのに監視員一人か。

まあそもそも竜王さん所にはいなかったっけ。多分いなかった?

いたかもしれない。いなかったかもしれない。一々覚えていねーです。それはまあ、どうでもいいことよね。当時の自分もうちょっとなんとかしろ。

監視員さん、スラさんでているのですがいいのですか?

放っておいていいのですか? って言うか見つかってませんね?

まー! 当然よねー! 今私擬態スキル使っているんだもの、そうそう見つかるわけないじゃない!

見つかるかもしれねえ。擬態スキルも万能ではないのよ。

もしかしたら見つかるかもしれないんだからこういう挑発やめよう、自重しよう?

さて、外に出たはいいけれど。どこに行こう……まずはあちこち見回るか。

高い所に登って。ちょうどここ山だしねー。


というわけで、山の頂上です! いやー、高いねー。道中のことは忘れよう。

じっくり登るのは面倒なのよねえ。

スラさんだからいくらでも道中にある危険から環境から崖崩れとか無視できるけど、危険なのよ普通は?

それにしても、スラさんはまた高い所に登るですか。

あれか、馬鹿となんとかは高い所に登りたがると言う。

誰が馬鹿やねん! いや、自分で言っているんですけど。

そっかー、何かと高い所に登る癖があるが、自分馬鹿だったかー。

なんというか、否定しきれない所があるのが悲しい。

まあ、別に馬鹿でもいいよ別に。馬鹿でもさあ。

とりあえず……どこに行こうか? あそこの街にでも向かう?

それともあっちの小さな村にでも? 街だな。

村に行ってもしゃーないねんです。やっぱあれだよ、村とか観光に向かないって。

メジャーな見て回りたいところがないんだもん。小さいし。

いや、小さいことはいいことだけど。何がとは言わないよ?

論争はいやだ。あれだ、好きな方に行けばいいねん。

……思考がぶれている。もう少しまともに生きる事を考えなさいな。ほら、しゃきっとする。

と、いうわけで。スラさんは街に向かうのです!

向かってどうしよう……どうしよう……マジでどうする!?

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