101 て<エラー!><エラー!><エラー!><エラー!><エラー!>う
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<承認。進化要件を満たしていま……エラー!>
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<進化は対象が覚醒している時に認められます。現在対象は>
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<神格顕現より介入。対象の意識の有無に関わらず進化要件を満たしているため進化を実行できます>
<対象の進化状態は現状最高位です。これ以上の進化は本来不可能です>
<神格顕現を有していま>
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<スキル項目に一つ空欄を確認しています。神格顕現を付与できます。付与しますか?>
<対象への神格顕現の付与はあなたの権限では付与できません。上位神格に許可を>
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<神格顕現を付与します。同時に対象の進化を行います>
<対象は現在『スライムリーダー』です。神格顕現を付与、『スペリオルスライム』へ進化します>
<対象は神格顕現を所有。世界に降り立った神格として扱われます>
<現在において世界上に存在する神格は存在しません。許可も行われていません。速やかな世界上層への引き上げを行ってください>
「ふう……ようやくできました」
一人の女性がある一つの世界、彼女の関与するべき世界を見下ろしている。彼女はスキルの付与を行う権限を持つ天使の神格存在。俗に……正式には<ワールド>と言われる存在であり、俗に神と呼ばれる存在だが、その中でも格としては世界に無数に存在する生命、意思存在達に干渉する権限を持つ一人である。その中でも彼女はそれなりに高い方、まあ神様全体ではおおよそ中位くらいの存在と言える。
そんな彼女が何をしているのか。世界下層、彼女らの関与するべき世界への干渉である。関与ではなく干渉、すなわち本来望ましくない形での関わりである。神としては本来やってはいけないことである。もっともよっぽど世界に悪影響があるようなことでもなければある程度はお目こぼしされるのだが、それにしても彼女は少々やりすぎだ。なぜなら世界のシステムに干渉しているからである。先ほどからうるさいほどにエラーを吐いているのはそのためだ。エラーを吐く、どこか機械的だがあくまで表現的な問題である。
「これで……ふふ、これで……ああ、でも、こちらに引き上げるのは手間がかかります。どうしましょうか……」
「こーら。なーにやってんの」
「っ!!!」
突如彼女の後ろに何者かが現れる。彼女と同じ、世界上層に存在する神格。
「あ、あなたは……!」
「まあったく。ちょーっと今回あなたやりすぎよー?」
「ご、ごめんなさい……」
「ま、別に咎めるつもりではないんだけどさー。えっとー、あー、この子か。ふーん、気に入ったの?」
「っ…………」
まごまごとしている女性。後から現れた上位神格者は別に女性を咎めに来たわけではなく、少々世界に対する攻撃的干渉、エラーを吐くような過度、本来ならば許されない過剰干渉を感知してきたのである。ぶっちゃけこの世界の管理を行う神でも最上位級である。彼女以上の神格は一応いるが。
「なるほどなるほど。転生者か。いーや、微妙に違うかもね。でーも、これ気に入ったのかー。おー、スライム、最低最弱から最上位進化、いやいや、どーやら今回の干渉で神化が行われたかー。まあ、資格は十分備わってたとはいえねー。流石にちょっとやりすぎかなーって思う所だけどもー」
「……だめ、ですか?」
「ううん。別にいいわよー。気にする程度の事でもないしね。この子が神格としてその力を振るえるとしても、私達のような管理者側には就けないし。あー、そうだそうだ。こうしておかなきゃ問題よねー」
<対象の神格顕現を設定します。<管理神>、<世界存在>、<神格者>。条件不一致、<管理神>、<世界存在>には設定できません。条件一致、<神格者>に設定できます。条件一致が一つであるため自動的に<神格者>に設定されます>
「はいはい。これでいいわ。ああ、でもこちらに引き上げなければいけないんだったかしら」
「はい……それをどうしようかと」
「ふーん、直接の伝達もできるだろうけど……縁があるわね」
「縁、ですか?」
「リーダー、最上位に進化したときに従属、眷属関連の種族能力を有したせいね。おかげで上位者がいなくなった下位者を支配してる。無意識だったからゆえの強制支配、それも相手の上位者を倒したことによる簒奪に近いわね。なるほどなるほど」
スライムはある吸血鬼を倒し、その吸血鬼が配下としていた吸血鬼の支配権を有している。その繋がりは離れた今でも、眠りについた今でも残っている。その縁がいまだに吸血鬼との間にある。これに関しては相手側の心情もあった。支配者として相手を認め、相手を信頼していたからこそその縁が残り続けていた。
「ふんふん、吸血鬼だから長生きするみたいだし、こちらに伝えましょうかー。神託扱いで、この吸血鬼……クルシェって子に主のあのスライムのことを伝えなさい。それで、あの子が目覚めたら保護して神山へ連れてくること。あそこにはまだこちらとの繋がりのある神地が残ってるしね」
「はい」
「それと、あの子に関してだけど」
すっ、と上位神格の女性の目が細くなる。注意勧告である。
「私達の立場の条件、それを満たさない限り、こちらに来るだけの資格、神格の強さを有していても、あの子の神格への格上げを認めない。こちらに来るまでにそれを達成できていない場合、今後にちょっとペナルティもつけるから覚悟するように」
「……条件、ですか?」
「それは神様として当たり前のことだから、あなたは気が付かない、わからないかもしれないわ。でも、それは前提条件に等しい。もし駄目なら、ちょっともう一回やり直してもらうから注意してね」
「……わかりませんけど、頑張ります」
「うんうん、がんばってねー」
上位神格者は現れた時のようにふっとその姿を消す。どっと、女性から冷や汗が流れた。
「はあああ…………し、死ぬかと思いました」
言いすぎ……とは言えない。実際彼女は少々世界のシステムに干渉しすぎた。下手をすれば神格としてやってはいけないことをやっていると消し飛ばされる危険すらあっただろう。
「まあ、これで……とりあえずは安全ですか? 言っていた条件はわかりませんが……多分、満たしてくれます、よね?」
少々期待しすぎである。相手は単なるスライムにすぎなかった存在なのだから。
「とりあえず、神託から……クルシェと言いましたか? 女性ですよね……まあ、世界下層に縁を残して、場合によっては行き来するのもありです。現地妻と言うやつですか? もしくは、場合によってはその子を部下、眷属、従者などにして引き上げてもいいですし……ふふ、まあ、私はそこまで嫉妬深いわけではないですから。そのくらいは男の甲斐性として認めてあげますよ」
完全に上から目線である。一体何が彼女をスライムに惚れた女にしたのか。っていうか、神様それでいいのかと言いたい。まあ、この世界に限らず色々な神様がいる。どこかの神様はちょっと目を向けただけで嫉妬し相手をぶち殺したり、どこかの神様は美人と見れば獣に化けてまで襲いに行ったり。そういう神様に比べればいい方なのだろうか。まあ、そもそも彼女は世界管理を行う神なので畏怖されるべき象徴としての神とはまた違うのだが。




