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人を騙すことが悪いこととは限らない

結局、何の打つ手も考える事もできずに俺は村長の家に泣きながら帰った。


「どうしたんだいレイタ。何があったんだい?」


「ダヅゲテ~、ごのままだとダモサクがダモサクが~うがあああ」


―――


「無理ですね。もし息子さんの言うとおり病魔に取り憑かれているのでしたら、どんな薬も解呪の魔法もこの方には効きません」


病魔は実在した。


薬師のおじさんが言うには、精神が病んでしまった人間は長い時間をかけて病魔という魔物を自分の心から生み出して自分に呪いを掛けてしまう事があるらしい。

異世界から転生してきた俺にとってはそんなものはあり得ない。

だが、この世界には魔力というものがある。母ルモモが商人と駆け落ちしてから5年。思えばタモサクという男は孤独だった。


その5年間の間、彼はもしかするとルモモが帰ってくると信じていたのかもしれない。人を愛したからといってその人から愛されるわけではない。思えば村長の家の居心地の良さに気がつくと本当の家族のように村長の家に居着いてしまった俺にも責任がある気がする。

母ルモモが新しい家族を選んだように俺もまた新しい家族を選んだがタモサクは違った。

帰ってくることのない妻と帰ってこない息子のことを彼はずっとあの家で一人で待っていたのかもしれない。


精神が病んでる故に薬も聞かず、自らが自らに呪いをかけてる故に解呪することができない。

もしこの呪いを打ち消す方法があるとすれば精神が病んでしまった原因をどうにかするか、本人の息の根を止めるしか無いらしい。

後者の方法はとても簡単だが、本末転倒だから論外である。


タモサクの精神が病んだ理由

もしルモモが帰ってきたとしたら彼の心は癒やされるのだろうか?


当たり前のことだがルモモを連れて行ったあの商人はもうこの村に来ることはなかった。

風のウワサでは二人仲良く別の国に旅立って行ったらしい。


仮にこの国にまだいたとしても母ルモモは見つけ出すことはまず難しい。これは駄目だな。タモサクじゃないが俺も諦めの境地だ。・・・・・・・・・・・・諦めんなよ、俺。


―――


「タモちゃんタモちゃん、起きて起きて」


「!!!!!! ・・ルモモ、お前帰ってきたのか!?」


「ううん、今更帰れるわけないじゃない。私が貴方に何をしたのか忘れたわけじゃないでしょ」


「忘れるよ、お前が・・お前が帰ってきてくれるなら・・俺は何だって忘れられる」


「そんなに私の事を愛してくれていたのね。馬鹿だね私、こんなに愛されていたのに子供までいたのに、それを捨ててあの男の元に行っちゃったんだから・・」


「いや、お前は何も悪くない。だから、なー?やり直そう!レイタと3人でまた家族として暮らそう」


「ごめんね、タモちゃん。それはできないの。例え貴方とレイタと許してくれてもそれは無理なの」


「な、何故だ!ああ、そうかまだあの男と・・」


「違うわ、あの後ね。あの男と外国に行ったけど。私捨てられたちゃったの。」


「だったら・・いいじゃないか」


「だから無理なの、だって私もう死んでるんだもん」


「そ、そんなはずは・・」


ルモモは黙って手を差し出す。タモサクはその手を取ろうとしたが取ることができず、通り過ぎてしまった。


「あ・・あ・・・ああああ・・ああ」


「そんな顔しないで、私は馬鹿だったからろくな死に方しなかったけど。貴方には幸せになって欲しいの」


「だったら死んでてもいいから、ずっと側にいてくれ」


「ごめんねタモちゃん、もう時間がないわ。だから最後にこれだけ言わせて」


「最後って・・」


「新しい奥さん貰っていっぱい子供産んでたくさん長生きして頂戴。あなたがそんな人生送ってくれないと、あの世で私泣いちゃうから・・」


「わかった。俺、幸せになるよ。だからお前はあの世で笑っていてくれ」


「うん、ありがとう。神様ありがとうございます。お待たせしてすいません。じゃあねタモちゃん、必ず幸せになってね。きっとだよ」


そう言うとルモモの体は光の粒に分解されながら天上に向かい消えていった。


死のカウントダウン(00:01:36)

死のカウントダウン(00:01:35)

死のカウントダウン(00:01:34)

消滅


―――











名前:レイタ(8歳)

クラス:生霊使い・幻術士

HP:6/26

MP:453/15389

状態:寝不足 頭痛 吐き気

技能:生霊術Ⅵ 投擲Ⅱ 魔力操作Ⅱ 幻術Ⅲ


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