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異世界に出戻りしました  作者: ころぽっくる
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ファーストコンタクト

ようやく仲間を登場させられました

「どれがいいかな・・・。」

目の前に並ぶ品物をじっくり見極める。正直物の善し悪しを見極められる程目が肥えているわけではないが、だからといって手抜きをするわけにはいかない。

そうやって質の悪い物を選んでしまえば自分の首を絞めることになるのだから。

「決まったかい?」

そう声をかけてきた店のおばちゃんにもう少し見せて欲しいと頼むと、苦笑しながらも頷いてくれた。

「まあいいさね、冒険者が野菜の目利きをするところなんざ滅多に見れないしね。」

おばちゃん、俺はツチノコか何かですか?


今朝冒険者ギルドに行ってみたら、皆の様子がおかしかった。道具の確認をしていたり、地図を眺めながら話し合ってたりとやってる事はいつもと変わらない割に妙に空気が物々しい。

気になったので受付の人に聞いてみると、

「地下5階でゴブリンキングの存在が確認されたんです。そしてジェネラルが10体程で、総数は500に届くかも知れないとのことです。」

予想以上に大事だった。

幸いCランクのパーティがいくつか依頼を受けているそうなのでおそらく大丈夫だとは思う。

しかし地下4階の探索が終わって5階の探索を始めようとしていた矢先にこんなことが起きるとは思わなかった。しょうがない、今日は帰るか。


・・・暇だ。ゴブリンキング出現のせいで迷宮に行けないし、じゃあ穴熊亭の手伝いをしようとしたら既に仕込みやら掃除やらは終わってた。ガラムさんはのんびりしてていいと言ってくれたが、どうにも落ち着かない。そんな俺を見かねたアンナさんによって散歩のついでに買い物をしてこいと追い出された。まあ、やることが出来たのはありがたいし、ついでだから質のいい物を見繕えるように頑張ってみるかね。


そういう経緯で俺は野菜とにらめっこしているわけである。しかし予想以上に難しいな、薬草とか毒草ならそれなりに見極めがつくようにはなったんだが。

「あの~。」

ガラムさんやカシェルちゃんはよく見分けがつくもんだよ本当に。

「もしも~し。」

って誰だよ人が悩んでる時に。少しばかりイラつきながらも振り向いた先にいたのは、こめかみの辺りから一対の角を生やし炎のような赤い髪をポニーテールにまとめた鬼族の女性だった。


可愛い、どこかあどけなさを残した可憐な顔立ちとタレ気味の目を見て最初に浮かんだ感想がそれだった。

「えっと・・・どうかしました?」

不思議そうに掛けられた声でようやく我に帰った。どうもこの人に見とれていたらしい。

「いや、何でもないです・・・。それより何か用?」

見とれていたと素直に言える訳もなく、恥ずかしさに頬が熱くなるのを感じながら言葉を返す。

「その、随分熱心に見てたので気になって。」

ああ、おばちゃんと同じってことか。

「世話になってる人に頼まれたんだ。どうせ買うならいいやつが欲しいからさ。」

「そうですか。あの、よかったら私に選ばせてくれませんか?」

「え?」

突然の申し出に驚いて、まじまじと相手の姿を見てしまう。俺より頭一つ分程高い身長と引き締まっていながら出るところは出た女性らしい体を金属で補強された革鎧で包み、武器らしき物を背負ったその姿はどう見ても冒険者だ。

しかも鎧には幾つもの傷があり、それなりの経験を積んでいる事をうかがわせる。

「出来るの?」

正直野菜の目利きとは無縁に見えて思わず尋ねてしまう。

それを了承ととったのか、

「任せてください!ところで、買うものはそれだけですか?」

と笑顔で聞いてきた。勢いに押されて他の物も教えると、直ぐ様選別に取り掛かりあっとゆう間に会計まで済ませてしまった。それも見分け方を分かりやすく説明しながら。

おばちゃんがいい目をしてると言っていたからその見極めは正しかったのだろう。


「ありがとう、助かったよ。」

買い物を済ませて店を出た俺は改めて彼女にお礼を言う。それに彼女が答えようとした時。

「ユウナ、用事は済んだの?」

そう声がかけられた。声のした方を見ると、そこにはまた一人女性が立っていた。

肩のあたりで切り揃えられた栗色の髪、笑みを浮かべれば間違いなく男の目を引きつける整った顔立ち、そして見事にバランスのとれた肢体。頑丈さを重視した旅装束に身を包んでいるのにそれでも人の目を引きつける、そんな美人だった。

「あ、ごめんなさいシェリルさん。今終わりました。」

「なら行きましょう。冒険者ギルドを探さないといけないんだから。」

「はい!というわけで私行きますから。」

俺がそんな事を考えている間にも話は進んでいく。冒険者ギルド?

「冒険者ギルドを探してるのか?だったらこの道を真っ直ぐ進んで、最初の十字路を右に進めば見つかるよ。」

買い物を手伝ってくれたお礼のつもりで教えると、ユウナと呼ばれた人が「ありがとうございます!」

と言いながらすごい勢いで頭を下げ・・・。

ガインッ!

な、なに・・・が・・。

突如頭に響いた衝撃によって俺はあっさりと意識を失ったのだった。



ユウナ


「ちょっ、ユウナあなた何してるのよ!?」

親切に道を教えてくれた男の子に頭を下げた途端、何やら鈍い音とシェリルさんの慌てた声が聞こえてきました。何って、道を教えてくれたお礼をしたんですけど。

「よく見なさい!あなたのメイスの柄が当たって伸びてるわよ!」

え?ああ、ホントだ!?どうしよう、またやっちゃった!と、とにかく手当しないと!

と思ったらもうシェリルさんが取り掛かってました。お手数をおかけしてすみません。

「いいわよ、あなたのドジには慣れてるから。」

ため息をつきながら言われてしまいました。実際似たような事を何度もやらかしてるので反論もできません、うう。

「終わったわ。タンコブ程度で済んで良かったわね。」

シェリルさんはそういって男の子を私に預けてお店の人に話を聞き始め、男の子が穴熊亭で暮らしていることと、そこまでの道、そして穴熊亭から冒険者ギルドへの道を聞き出しました。

「私は先に冒険者ギルドに行ってるから、あなたはこの子を穴熊亭まで送ってきなさい。これ以上トラブルを起こさないでね、出来るだけでいいから。」

はい・・・。

これが私達とノブユキくんの出会いでした。この時はまだ、一緒にパーティを組んで迷宮に挑む事になるなんて想像もしていませんでしたけれど。





これから賑やかになる、かな

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