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異世界に出戻りしました  作者: ころぽっくる
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諦めも大事です

寝落ちしてしまい投稿が遅れてしまいました。すみません。

ゴーリゴーリ。グツグツ。ボコボコ。ギュッギュッ。順調順調。一応言っとくけどこれは法に触れるようなことではないからね?ただのポーション作りだ。

迷宮から帰ったあの日以来、日課に新しくポーション作りが加わったのだ。正直店で売ってるものの方が質もいいので気は乗らないがこれも鍛錬だ。


あの日薬草の採取とゴブリン合計11匹を倒し無事に帰還出来、ギルドへの報告も滞りなく済んだ。そして

ゴブリン討伐によってEランクへの昇格が認められたのだ。せいぜい半人前という扱いではあるが、昇格となればやはり嬉しい。要するに初めての依頼達成と昇格に舞い上がってしまっていたのだ。

そして穴熊亭に戻り本日の出来事を報告する際、バカ正直に全部報告してしまったのである。そう、じいちゃんに自分の固有スキルを教えてしまったあの時のように。


その結果、盛大に怒られた。迷宮を探索して薬草を採取したあたりまでは皆普段通りだったのだが、9匹のゴブリンを発見して戦ったあたりで皆が顔をしかめだし、それに気づいたのは既に話を終えた後。

薄々分かってはいたが駆け出しの冒険者が9匹のゴブリンと戦うのはやはり無謀だったようで、そのままお叱りとお説教に移行となったわけである。

じいちゃんには思慮の浅かった部分をこれでもかと指摘され、ガラムさんもいつも通りの丁寧な口調ながら容赦のないダメ出し、アンナさんに至っては機関銃のように言葉の雨を降らせてきた。

おまけにアンナさんの形相は鬼もかくやという怒り顔、正直直視出来ないほど怖かった。

とはいえ無理はしないと約束したにも関わらず心配をかけてしまったのは事実なので、聞き流す訳にもいかずひたすら頭を下げ続けた。


どのくらい経っただろうか、声が聞こえなくなった事にようやく気づき顔を上げると3人が穏やかな顔でこちらを見ていた。

「色々と言いはしたが、お前が奴らに挑んだ理由はわかるしそれは誇っていいものじゃ。」

「この街にくる旅人がゴブリンとかに襲われるのは珍しい事じゃないからね。そういう人を安易に見捨てるような真似をしなかった事は大したもんだよ。でもね・・・。」

「それでも心配なんだよ、君がそこまで弱くない事を知っていてもね。だからキツイ言い方になってしまった。すまない。」

そうガラムさんは言って頭を下げようとしたけれど、俺はそれを止めた。

「謝らないでください、皆が俺の身を案じて言ってくれた事はわかっていますから。むしろ謝らなきゃいけないのは俺の方です。」

姿勢を正し、3人の顔をしっかりと見て改めて頭を下げる。

「心配をかけてすいません。」

そのすぐ後にカシェルちゃんが夕食の完成を知らせてきたので話はそこまでとなり、皆で遅めの夕食を取ってその日は終わった。


次の日、手伝いと鍛錬を終えてギルドへ向かおうとしたらじいちゃんに呼び止められた。

「どうしたの?」

「ちと話したいことがあるんでな、今日はここにいてくれ。話はガラム達も交えるんで昼過ぎになってしまうがの。」

何を話したいのかは分からなかったが、特に拒む理由もないので言う通りにすることにした。とは言えただ待つだけというのも暇なので手伝いをしながら待つことにした。


そして昼を大分過ぎた頃、指定された中庭にじいちゃん達と一緒に向かうとそこには既にテーブルと椅子、人数分のお茶が用意されていた。さっきまで仕込みとかやってたはずなのにいつの間に用意したんだろう。

そんな事を考えながらもとりあえず席に着く。そしてしばらくお茶を楽しんでいたらじいちゃんが話を切り出してきた。

「今日の話し合いはの、お前の戦力アップについてじゃ。」

戦力アップ?

「お前はそこそこの強さは持っとるが弱点も多いからの。今後も迷宮に挑む以上足りない部分を補っておく必要がある。」

「それって、魔法が使える仲間を見つけるとか?」

「それもある。出来れば傷や異常を治せる水か地、理想をいえば光の魔法を使える者がいいんじゃがそういう者は真っ先に誘われるから、仲間にするのは大変じゃぞ。」

まあ、回復手段の確保は大事だもんな。特に迷宮みたいな命懸けの場所に挑むならなおさらだ。

「まあ、そちらは置いといて。ワシが言っとるのはお前自身の戦力じゃ。とりあえずお前が弱点だと思う部分をあげてみてくれるか。」

弱点か、とりあえず思いつくのは。

「遠距離攻撃、かな。」

「間違ってはおらん。正確には攻撃手段が少ないというべきかの。お前の武器は刀と投擲のみ。相手が鎧のような硬いものを着込んでいれば攻撃がほとんど通じんし、複数を同時に攻撃にする術がないので相手の数が多いと苦戦は免れん。」

そこでアンナさんも話に参加してきた。

「魔獣や虚獣の中にも鎧みたいな体をした奴は多くいるからね。それに虚獣は違う奴同士でも連携してくるから複数を相手取れないのはかなりまずいよ。」

「硬いだけの奴なら(気)とか最悪(阿修羅)を使えばどうにか出来るとは思うけど・・・」

「相応の武器を揃え、スキルが十分に熟練しておればそちらはどうにかなるじゃろうな。じゃが複数で攻めて来る相手にはそれでは足りんじゃろう。」

確かに(阿修羅)の効果は5分しかもたない上その後1時間は能力が激減する、なのでその間に倒しきれなければその時点で負けが決まるだろう。(気)にしても無尽蔵というわけではないからこれに頼り切るのも危険だ。

「つまり複数の相手をどうにかできるスキルか何かを覚える必要があるってことだよな。でも今から新しく覚えるのは時間がかかりすぎるんじゃ・・・」

そう言うと何故かじいちゃんがニヤリと笑って言った。

「安心せい。覚えるのは一つ、(調合)だけじゃ。」


なんでもアンナさんは冒険者時代自らが(調合)スキルで作った薬や毒を塗った武器を投擲して戦うのが得意だったそうで、その中には手榴弾のように複数の相手を攻撃できるような物もあったそうだ。

とは言え初心者以前の俺にいきなりそんな物を作らせる訳にもいかないのでまずは基本のポーション作りから始めることになったわけだ。

暗殺者にまた一歩近づいたような気はするがもう考えない。死ぬよりはマシだと割り切ろう。




最近天気が乱れ気味だから体調に気をつけないとペースが更に落ちるかも知れない。

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