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第19節:お姫様を護送せよ

いや…ね……。

もうほんっっっと遅くなってスミマセン!!!

まぁ話の流れとかは出来てますんで!!ちゃんと書きます!!それではお楽しみください!!

私立美母呂高校。


今回の仕事の現場であり、俺が入学した高校だが問題を起こして直ぐに退学になった学校でもある。


「つかよぉぉ、そんなところに寄越すなんて嫌がらせかぁ!?バレたらどーすンだっつーの!!」


俺は自室で朝シャンを浴び、頭を吹きながら文句を垂れる。

部屋には迎えにきたというより遊びにきた龍兵がベッドでに寝転がりエロ本を読みながら適当に答える。


「だっははははっ!!嫌がらせかもなぁ!でもちゃんと意味があるンじゃねぇの?わざわざあの人がお前を送り込むってことはよぉ、ぜってぇぇ何かあるぜこりゃあよぉぉ。」


「他人事みてぇにいうなあんた。っつか仕事何時から?どんな内容だっけ?」


「っ〜…っとなぁ、確か仕事は学校終わってから…かな。あと内容は『天浪琴那』の…えと……保護?拉致?…まぁそんな感じの仕事だ。」


龍兵はまだエロ本を読みながら曖昧に答える。

時計に目を向けるとまだ10時になるかならないかの時間だった。


「まぁ…行けば分かるか…。」








美母呂高校の近くのコンビニの前にガラの悪い二人の男がダベりながら座っている。

ギャングチームの一員であろう、派手な格好をし、いかにも『ワル』を醸し出していた。


「なぁおいルーニー、この前の女よぉ、どうした?2人でマワしたあとだけど。」


ルーニーと呼ばれた男は頭をかき、思い出しながら言う。


「……〜〜っっしぅぅ〜〜…っえっとぉ……確か…あの後下のモン6人にマワさして……あの後どうしたっけなぁ〜あぁそだそだ!!ヤク打っておいてそのまま他のやつに売っちまった。まぁイイ金にはなった。」


ルーニーはシンナーで溶けた歯でカカカッと乾いた笑いで話した。


「ウクッ!クカカカカ!!またかよ!またお前、前もナンパに失敗した女ムカついたからボコッてマッパで渋谷に捨てただろ?お前さぁ…あ、ちょっタンマ。デンワ。」


男はマナーモードの携帯をポケットから取り出し電話に出る。


「もしもーし?」


男は軽く、電話の相手を確認せずにいつものように電話をとった。

しかし、相手は意外な人物からだった。


「カマロか?」


「うぉ!ウァ、ウァラウァラさん!チャスッ!」


カマロと呼ばれた男は


慌てて挨拶をし、ルーニーに相手がウァラウァラということを伝える。


「ども〜…今日は…どうしたンすか?」


カマロは嫌な顔をしているがウァラウァラに悟られないよう話し方に気を付けて喋りだした。


『カマロ…お前ンとこの学校に天浪琴菜っつーやついるだろ?』


「は?まぁいますね。髪白いから目立ってますし。しかも中々いい女っすよ。」


『知ってンなら話は早ぇぇ。お前ら5・6人位でそいつさらえ。』


「はぁ!?」


カマロは驚きと不満の混じったような声を出す。

ルーニーもウァラウァラが何を言ったのか気になっている。


「ちょっ!いきなりっスカ!?どーやって!?なんかやったンすか?」


『口ごたえすンじゃねぇよ。いいからさらってこい。さらったら俺ンとこに電話しろ。』


「……〜っわかりやした。失礼します。」


カマロはそういって電話を切った。


「あ″〜〜クソ!ビッチ!ファック!インポ!!」


カマロはウァラウァラに悪態をつきまくった。


「おい、ウァラウァラのやつなんつってた?」


「美母呂によぉ、髪白い女いンじゃん?俺らでそいつさらえって。」


「っカ〜〜〜!!メンデェェェ〜〜!!」


ルーニーもめちゃくちゃ嫌そうな顔をする。


「だよなぁ〜、あの野郎、バックにヤクザいるからって調子こきやがって。」


もちろんウァラウァラのバックにはヤクザなどではなく巨大な組織が控えているのだが公にできないこともありヤクザと語っているのだろう。


「ンでどーする?」


カマロはルーニーに質問する。

ルーニーは無い頭で必至に考え口を開いた。


「……〜とりあえずよぉぉ、ウチンとこの一年にまかせときゃいいだろ。俺ら3年が行くと不自然じゃん?」


「つかオメーは自分がメンドいからだろ?まぁでもそれいいな。じゃ一年に拉致らせて俺らが報告でいいな?」


「ウン、いいよそれで。」


カマロとルーニーは立ち上がり学校に向かっていった。





「なぁなぁ、陽介よぉぉ、今…何時だ。」


「今は…1時。まだ午後の授業やってる時間。」


俺と龍兵はコルベットに乗って美母呂高校の近くのコンビニで待機していた。


「…今回の仕事ってな〜んか、しっくりこねぇ感じがするな。女さらうのに俺らでって。」


龍兵はダルそうに呟いた。

俺は半分寝惚けた感覚で龍兵の言った言葉を聞き流した。


「あ〜…そうか?まぁどうでもいいや。要は天浪琴那を連れてきゃいいンしょ?」


「まぁそうだな。……いや、そういやよぉぉ、お前って『ダイアナ・ロス』って知ってっか?」


「……いや、知らん。そいつがどうかしたのか?」


龍兵の顔を見ると何か思案しているような真剣な表情をしていた。

顔の前で手を組み

「ん〜…」と唸っている。


「どしたン?龍兵?」


「今までの仕事よぉ、タイラントが関わっていた仕事は全て!!全てあいつらが先回りしてたよなぁ?」


「あ…!?まぁそう言やぁそうだな。それとダイアナ・ロスと関係でも?」


「いやな、去蝶さんがさ、今回の仕事を俺にまかせる前にこう言ったんだよ。『最近ダイアナ・ロスが暗躍してるから気を付けて』ってな。」


龍兵はさらに顔をしかめ、そんな龍兵に俺は一つの質問をしてみた。


「つまり…そのダイアナ・ロスってのはタイラントの一員かタイラントに肩入れしていて、日輪の仕事の情報やらをタイラントに渡している…みたいな?」


「多分な。んでここからは俺の憶測だけど多分今回はそのタイラント絡みだと思うんだよなぁぁ。俺はよぉぉ。だから先回りして、先に天浪琴那を保護しようと思うんだ。」


「まさか学校に乗り込んで拉致るのかよ!?」


俺は龍兵の考えを悟り驚いて叫んだ。


「ハッハハハハ!!行くぜ陽介ぇぇ、俺の″力″で姿を隠しゃ不可能じゃあねぇぇー!!乗るよな?」


「…あんたさぁ、馬鹿だけどそーいうぶっ飛んだところが好きだよ。乗ったぁ!!」


俺は目を完全に覚まし銃を用意する。

龍兵とタッチをして龍兵は学校まで車を走らせた。






「ミコ〜お昼食べよ〜!」


そういってミコに近付いてきたのはいつものミコの友達だった。


「ゴメン!!ちょっと待ってて!今日弁当ないからさ、購買で買ってくる!」


ミコはそういって駆け足で教室を出て廊下を疾走する。

途中降り階段があるが持ち前の運動神経で一気に階下まで飛び下りた。


「ヨッ!!タッ!!」


足に来る衝撃を巧く分散させ激戦地区である購買へと走った。



ドン!!



「キャッ!!」


曲がり角で勢いよくミコは人とぶつかり腰を床に強かに打ち付けた。


「〜ッ…ァッタァッ〜!!す、スイマセン…」



ぶつかった相手は一年の中でもかなりタチが悪い連中だった。

援交やクスリにまで手を出しているという噂のあるクズだ。


「いってぇ。気ぃつけろや。…つかおい。こいつ天浪ってやつじゃね?」


「え?マジマジ?丁度いいじゃん?カマロさんが言ってたし。さらう理由ができたじゃん。」


「けって〜〜い。えっとさぁ、天浪、ちょっと付き合ってくんない?いいだろ?お前からぶつかってきたんだし。」


連中はミコを囲むように人目のつかない所へと連れていった。

ミコは震えて声が出なかった。

心の中には自分はレイプされる恐怖があった。

連中の一人が携帯を取り出した。


「あ〜カマロさん、天浪捕まえましたよ。どうします?…あぁ分かりました。校舎裏っスね。」


震える体を連中に掴まれミコは校舎の裏まで連れていかれた。


「まぁそんなに怖がんなって。別に俺らでレイプしようとかじゃないからよぉ〜。」


ミコは全然声が出なかった。

拉致されたのは初めてな感じがする。

感じがするというのは前にも拉致されたような感覚があったのだ。


「お〜ちゃんと連れてきたんだ。えらいえらい。」


程なくして更にタチの悪そうな二人組が来た。

多分この二人のどちらかが先程電話で話したカマロだろう。


「おっおお〜!マジで髪白すぎっ!しかもかなりカワイイじゃん。なぁカマロ?」


一人の男がミコをまじまじと見つめる。


「おい、お前ら。もう帰っていいぞ。」


カマロと呼ばれた男はミコを連れてきた連中にそう言って追い返す。


「さて…お前にはここに来なければならない理由はない。でも俺らはお前をさらわないといけない理由があっからよぉぉ。残念だけど素直にさらわれてな。ルーニー、逃げないように押さえとけよ。」


ルーニーはミコの肩に手をかける。

震えが止まらない。

誰でもいい、助けてほしい。


「な…なんで…?私…を…?」


足にも震えが来て立っているのがやっとだった。

しかしカマロはミコの質問に答えず、携帯を取り出し、電話をかける。


「もしも〜し、ウァラウァラさん?さらいましたよ。………はぁ!?こ、こっち来るンスかぁ!?いや、マズイってことはないっスけど…。」


カマロは困惑したような表情し、電話の相手から指示を受けていた。




「お〜お〜!人目のつかない所に連れてきたなぁ。ご苦労サン。」


突然、カマロでもなくもう一人の男ルーニーの声でもない声がした。


「な?陽介。やっ〜ぱりウァラウァラが絡んでたろ?」


「おお〜当たり〜だな。あんた勘が良すぎだ。まぁこっちとしては都合良いけど。」


カマロとルーニーは驚きしばらく硬直していたがすぐに我を取り戻し、カマロは龍兵の胸ぐらを掴む。


「ンだテメェ〜?何しに来て…」



ザクッ



「えっ…?あ…れぇ…?」


龍兵はカマロの太股にナイフを刺した。


「邪魔だっつの。気安く俺に触んなタコ。」


「ギャアアァア!!いってぇぇぇ!!イデェ!!」


俺はもう一人の男、ルーニーに走って近付き、顔面に飛び膝蹴りを放った。


「ヴ…ン…!」


ルーニーは低い声を漏らしその場で倒れた。

俺は腰が抜け、震えている女の子、天浪琴那を見下ろす。


「ウ…アァ…!」


俺は声を押し殺して泣きじゃくる天浪に手を差し出した。


「泣くなって。俺らはお前を殺しに来たわけじゃあねぇ。ただ…お前を連れてこいと言われただけだ。着いてこい。」



しかし天浪は立ち上がろともせずただただ震えているだけだった。

だがそれも当然か。

いきなり拉致られてまた他の人間が自分を拉致ろうとしている。

信用できないのは当たり前だ。


「…ったくさぁ、手間取らせんなよなぁぁぁ。」


俺は天浪の手を掴み、立ち上がらせ、俗に言う『お姫様だっこ』をする。


「暴れンなよ。ぜってぇに。」


俺は目の前にある天浪の顔を見る。

…瞳が白い。そしてかなりカワイイ。


「ハ…ハイ……。」


弱々しく顔を赤らめながら天浪は頷いた。


「おう陽介!早く行くぞ。こんなとこ見られたらメンデェだろ。」

「うい。今行く。」


俺は学校の外に停めてある龍兵の車であるコルベットの後ろの席に天浪を放り込んだ。


「行くぞ。」


龍兵は車のエンジンをかけ校門を出た。





「う…ぐぁ…いってぇ…。クソッ!」


カマロは足を押さえながら携帯を取り出し電話をかけた。


「ウァラウァラさん…スイマセン…天浪がさらわれました…」


『あ?オメェ等がさらったんだろが。何言ってンだ?』


ウァラウァラは不思議そうにカマロに聞き返す。


「はぁ…俺等でさらったんですが…変なやつらにまたさらわれました。金髪と紅い髪の二人組が…!」


『紅い髪…!?のやろう!!龍兵と御守地か!クッソがぁぁぁ!おいカマロ!!いいか?今から俺の言う通りにしろ。お前のギャングチーム〔カーカス〕でやつらを捕まえろ!いや、足止めでいい!車はコルベットだ!カーカスの連中に伝えておけ!!』


ウァラウァラは急いでそれだけ言うと電話を切った。




「なぁ…お前の『眼』って…それ…『白い』よなぁ…albnoか?」


俺は助手席で身をのりだし天浪に聞いてみる。


「……違う…。生まれつき。」


「へぇ…そうか。……つかお前、俺のこと知ってる?」


俺は不意に、唐突に天浪に聞いてみた。

何故自分でもそんな質問をしてみたのか、まったくわからなかった。


「え…し、…しりま…せん…。」


「あそ。」


俺は期待を裏切られたような顔をして助手席に戻る。


「あ〜龍兵…。スピード上げたほうが良い。なるべく事故らないような運転でな。ウァラウァラの野朗、もう追いついてきやがったぜ。」


龍兵はバックミラーに目をやる。

後ろからは黒のオープンカー使用の”コブラ”がコルベットのあとをきっちりとつけていた。





「龍兵〜!!病院でのカリはきっちりとここで取ってやる。シャキーラ!!追いつくぜ〜!」


「アイアイサー。でもねウァラ、殺すのはぁダメ。生け捕りよ。特に陽介は…ね。龍兵は私が個人的に貰う。」


シャキーラはアクセルを踏みコブラのスピードを上げ、ぐんぐんと距離を縮める。





「『ムスタング・コブラ』い〜い車乗ってんなぁぁ〜。ダメだ陽介、『コブラ』は400馬力近くある。スピードはあっちのほうが上だ。」


「じゃあぁよぉぉ〜。あっちは『事故る』ようにすりゃいいんだろぉ〜がよぉぉ〜!!」


俺は窓から身を乗り出して『フール』と『サイレントマジョリティ』を取り出す。

この2ヶ月、反吐が出るまで身体を鍛え、手が動かなくなるまでフールとS・マジョリティを撃ち込んできたのだ。


ドン―ドン―ドンッ!!!


二つの銃を交互に撃つ。

しかし、相手の運転が上手いのか、弾丸は道路に穴を開けるだけだった。

不意に龍兵が俺の体を車内に戻した。


「ナニすンだよっ!!」


「テメェはマヌケかっ!?パンピーに面割れたらどーすンだ!?それに銃を撃って事を大きくしてんじゃあねぇ!!」


車を走らせながら龍兵は俺を一喝した。


「なら逃げ切らなきゃ駄目だろーが!!お前が追い付かれるっつったんだぜ!?」


「わかってる…っつの!!」


龍兵はハンドルを切って行きなりドリフトをし、

対向車に激突するスレスレの所を走る。

後ろでは信号が赤から青に変わり、ウァラウァラ達の行く手を阻んでいた。



「やるっ!!振り切ったか!?」


「多分な。つかさ、俺スゴくねぇ?なぁ!?」


「スゲースゲー!やるじゃんかヨ!!」


俺は運転している龍兵と拳を合わせる。



ビキッ!バキ!バキバキッ!ガシャァンッッ!!


その時丁度後ろから何か、破壊したような音が聞こえた。

振り替えるとウァラウァラとシャキーラの乗ったコブラがピッタリ後ろに、先程よりも距離を縮めて付いていた。


「向こうも…スゲェ。奴ら店ン中通ってショートカットしやがった…。」


ただただ俺は相手に凄いと思うの通り越し呆れるばかりだった。


「奴らも必死なんだろーよ。必ず天浪琴那を捕まえる気だ。それか…殺すか。」


ふと後ろを振り向くと後ろでは天浪は不安と恐怖のせいで声を押し殺し泣いていた。



……同じだ。



裁判で有罪にされムショに入ることが確定した自分と天浪がダブっていた。

言い表せない恐怖と不安。そして理不尽に自分の人生をこのよう変えた運命への、神への怒り。


俺には天浪の気持が痛いほどわかった。

わかるだけにこいつ、いや、この娘だけは死なせたくない。護りたいと心からそう思った。


「龍兵ぇぇ!!向こうはもうなりふりかまってねぇゾ!!天浪護るンならよぉぉぉ〜、こっちもなりふり構ってらンねぇだろぉぉ!!」


「はずすンじゃねぇぞ!!絶対に!」



俺は窓から身を乗り出し銃を構える。

だがすでにコブラはかなり近づいていて、狙うのは容易かったが追いつかれる危険があった。


「ッソがぁぁ!!あぁもう畜生!クソッ!陽介ぇ!!高速に乗る!それまで奴ら近付けンじゃねぇゾ!!」


「高速乗るまでの時間は!?」


「20分ちょい!」


俺はS・マジョリティを連射し、とにかくコブラのタイヤを狙った。

だがコブラのタイヤは特殊性なのか、弾は当てってもバーストさせるには至らなかった。


「あ〜ウゼェ!!やっぱフールじゃねぇとダメか!!」


俺はS・マジョリティを車内に放り投げ、とりあえず車内に戻った。


「何やってる!やるなら早くやれよ!!″力″使ってよぉぉ!」


龍兵はイライラしながら俺に言う。


「″力″使ってるっつの!!でもよぉぉ、あいつ等の車、銃が効かねぇンだぜ!?」


丁度その時、龍兵が車のケツを流し、広い工場地帯の道路に入った。


「ショートカットだ。こっからのほうが高速に乗るのも早ぇしな。」


「それに目立たねぇしな。」


俺は身を乗り出して今度はフールを構える。


だが後ろにはもうコブラは居なかった。


「な…っ!?」


どこへ消えた?先回りされたのか?

そんなふうに考えをめぐらしていると瑠宇兵の叫ぶ声が聞こえた。



「陽介ぇぇぇ!!!横だぁぁ!畜生がぁ!!追い付かれたぁーーっ!!」


龍兵側の車体の横にはコブラが並んでいた。




「ギャッハッハッハッ!!よぅ龍兵ぇぇ!久しぶり。」


何故先程まで後ろにいたコブラがコルベットに追い付いているのか?

あの女の″力″だろうか?

疑問はあるが今はやつらを引き離すしかない。


「危ない『サメ』には鎖をつけとかないとなぁぁ!」


ウァラウァラはそういって鎖をコルベットの車体につける。


「これで逃げられンぜよ。なぁシャキーラ、こいつらやるぞ!」



万事休すか…。


俺は心の中でそう呟いた。


だが次の瞬間、操縦が利かなくなったのか、コブラは急にケツを流し、急停止した。

同じくコルベットもコブラにつられ急停止する。



コブラのタイヤはバーストしてとても走れるような状態ではなかった。



天の助けか、いや地獄からの使いか。



牛頭が刀を抜いて目の前に立っていた。


「アメリカンヒーローってよぉぉ、ちょーどこんな感じで登場するんだよなぁぁ。グッドタイミングってやつか?」


牛頭は肩でポンポンと刀を弾ませながら軽い口調で言う。


「牛頭サン…な、なんであんたが…!?どうしてここが…?」


龍兵は驚きを隠せない様子で牛頭に質問した。


「ここにいる理由は去蝶に言われたからだよ。万が一のことだと、あと場所が分かったのは俺がお前らだったら確実に道を最短距離にして高速に乗るだろうと思ったから。早く行け、行けよ。ここは俺が食い止める。」



「牛頭さんっ!!アリガトウゴザイマスッ!」


俺は立ち去る寸前、牛頭にお礼を言った。

牛頭は振り返りはしな勝てたが手をプラプラと振って応えた。


「……お前が…俺とシャキーラを食い止める?まぁ出来るだろうな。お前なら。命と引き換えによぉぉ!!」


「まぁ待てや。俺は食い止めると言ったが…ありゃ無しだ。やっぱお前らブッ殺すわ。先ずは女だな。」


牛頭は刀の切っ先をシャキーラに向ける。


「あ?私?アンタ何言ってンの?」


シャキーラは怪訝そうな顔で牛頭をにらみつける。


「だからつまりよぉぉ、お前はまず脱落ってこった。おっと…もう遅い。」


シャキーラの背後には馬頭が刀を抜いて斬りかかろうとしていた。


「ハッ…!?」


シャキーラは急に表情を変え、常人離れした速さで馬頭の刀を蹴りで止めた。


「お久しぶり、シャキーラ。」


「馬頭…久しぶり。偉いわね。名前覚えてるなんて。」



鉛を仕込んだブーツで刀をはじき、馬頭とシャキーラはお互い距離を取った。


「タイマン…これで張ってるだろ。ウァラウァラ、『足止め』されないように気を付けろよ。」


「ギャッハッハッハッハッ!いいなぁ、こりゃあよぉぉ!ハルフォードの命令やるよりお前らブッ殺すほうがまだいいぜ!!しっかりと足止めしてやれよ!」




−−視点が変わりその頃の龍兵たちは。


「さぁて、龍兵よぉぉ。どうすンよ『こいつら』。」


周りにはガラの悪いギャングチームの奴らが車を囲んでいた。

70人近くいる。


「どーするって…そりゃお前ぇ、俺が相手するしかないだろ。」


「は…!?マジかよ!!いくらアンタでもこの人数は…!!」


俺が必死に止めようとするのを龍兵は制止した。


「まず第一に!ここはケンカ馴れした俺が行く。第二に俺は姿隠せるからな。危なくなったら逃げるって。それに…ギャングチーム相手のケンかなんて久しぶりだからさぁ。」


そう言った龍兵は笑っていた。

俺は龍兵と車を降り、運転席側に回りこんだ。


「まぁあんたらが何したか知んねぇけどヨ。上からお前ら殺せって来たからよぉ。悪いけど。」


連中の一人がニタニタと笑いながら龍兵の顔を覗き込む。

不意に龍兵がそいつの髪を掴み突き出した膝に思いっきり顔面を叩きつけた。


「行け!!陽介っ!!」


龍兵は俺を運転席に入れ、車に近付く奴らを片っ端から叩き伏せた。


俺はアクセルをおもいっきり踏んでコルベットを発進させた。

前にいた奴らを2、3人撥ね、龍兵を残し高速まで車を走らせた。



龍兵は軽めの上着を脱ぎ、タンタンとその場で軽く跳躍して身体をほぐしながら言った。


「さぁ来いよクズ共。でもなぁ、こン中の半分は確実に殺してやンぜ!!」




俺はただただ無心に、車を運転させた。

それは意外に簡単で、ゲーセンでやりこんだ経験が生かされていた。


曲がり角で広い裏路地に入ると30m程先に一人の男が立っていた。

町でぶつかった、あの黒いラバー製のコートを着た蒼髪の男だった。


「流れ的に…間違いなく敵…だよなぁぁ。ま、パンピーなら勝手に退くだろ。轢かれたくなかったらな。」


俺はアクセルを踏んで更にスピードを上げる。

後ろでは天浪が身を縮まらせて震えている。



車はどんどん近づいていく。男が退く気配は無い。

むしろその逆で、手にした刀をするすると抜いている。



20m……15m…7m…3m……。



男のハイネックのコートがすべて開け、顔が露出した。

その顔に俺は驚愕した。覚えのある顔だった。

顔に『13』とタトゥーが入っていても髪や瞳が蒼くなっていても俺にはわかる。

そう、もう二度とこいつとは出会わないと思っていたのだから……。『兄弟』の中で唯一相成れなかったヤツがそこにいた。



「誠也……!!」



多分ジェイデッド=誠也と思っていた方も多いかと思われます。さぁてと。

今回の話はアクション多めで行きますので表現が乏しい場合や分かりにくい場合も有るかと思われますがそこは皆様の想像力にお願いします。

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