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第14節:86

前回からかなり間が空きましてスミマセンでした!!次のバトルの構成を練りますのでしばしお待ちくださいませ!!

………暗い…。



血の匂いがする…。



向こうには、血にまみれた男の子…。



――ああ、これは夢だ。



これは過去の夢だ…。忘れることは出来ない…、忘れてはならない夢…。

最も忌むべき記憶だからこそ最も鮮明に思い出される。



私の手を見ると私の手も血にまみれている。



暗い地面に転がっている死体………。



「君は…君は今の自分をどう思ってる?」



暗闇の中一人経っていた男の子が私に話しかける。私は戸惑うしかなかった。



「え…?どういう…」



私がその質問に答える前に男の子は話を続ける。



「あの日、あの時から君の人生は人の命を吸い続けている。今はその自分に疑問を抱いているはずだよ?『なぜ私は人を殺さなければいけない?人を殺さなくても生きていけるはず。』とね。」



「そ…んな…。」



相変わらず男の子の質問にはこの答えしか思い浮かばない。

しかし私は男の子の言いたいことはわかっている。



「でもこれは君が選んだ道じゃなければ望んだ道でもない。『ここ』しかなかった、『この世界』しか道がなかった。ならばここで強くならなければならない。理由は要らない。疑問も要らない。」



奥底の心中を察しられたような感覚。この子は私の秘中を簡単に見抜いていた。



「もういきなよ。いくんだ。帰れよ。まだ『ここ』はお前には早すぎるだろ?」



回る…。この(とこ)しえの暗い空間が。私が回るのではなく、世界が回る…。(とこ)しえの暗い空間が。












――声がする…。


よく知っている声だ。私にとって最もなじみの深い声。






「ここに高級そうなチョコレートがある。馬頭のお見舞い用とは別の俺の買って来たチョコレートだ。チョコ一つの大きさと箱の面積を考えるとどう考えても最初は12個入っていた。俺の記憶でも最初12個入っていた記憶がある。さぁて、俺はさっきチョコを3つ食べた。12−3で残りは9個のはずだ。さて数えてみよう。1,2,3,4,5,6,7…あれ?2つ足りねェェェ。どーいうこったよこれはよォォ〜?俺の引き算の仕方が間違ってるのかぁ?なぁおい『陽介』、『龍兵』?」


牛頭は今7つしか入っていないチョコレートの箱の中身を俺と龍兵に見せてくれた。

おいしそうなチョコだ。しかし牛頭の言うとおり7つしか入っていない。


俺と龍兵は澄ました顔で病院の中の一室、馬頭の部屋の椅子に座っている。

牛頭は俺と龍兵の顔を覗き込むが決して眼を合わせたりはしない。


妙に怖い。圧迫されている。

牛頭が取り調べると取調べではなく尋問されているような感覚に襲われる。


「いや〜不思議っすね〜。チョコが二つもイリュージョンしてしまうとは。でもなんで俺らを取り調べるんですか?」


「ほんとほんと。でもまぁ全部じゃなくて良かったじゃないですか?そして右に同じく何で俺らを疑います?」


俺と龍兵は知らず存じずを通していた。

牛頭がトイレに行っている間、この病室には俺と龍兵とのとと恩羅(うら)しかいない。

しかしなぜか牛頭は俺と龍兵のことを怪しいと思っている。

…実際怪しいのではなく俺と龍兵がホシなのだが……。もちろんそんなことは口が裂けてもいえない。



「ほぉ〜。そうかそうか。わかったよ。わかった。ならちょいと調べてやろうか?お前等の腹かっさばいてよぉ?運がいいなお前等、ここが病院で。」


「……何やってんの…?あんた等?」


ちょうど馬頭が目を覚まし、牛頭と俺と龍兵の中に割って入る。

コレは話をそらすチャンスだ。


「お〜馬頭さん!!目ぇさめたんだ!?牛頭さん、馬頭さんが目ぇ覚ましましたよ!!」


俺はちょうど龍兵に詰め寄る牛頭に話しかける。


「おお!!馬頭!目ぇ覚めたか。お前よぉ、一日中眠りっぱなしだったんだぜ?出血多量。腕動くかよ?」


牛頭は急に笑顔になり馬頭の腕を指差した。

馬頭はネメシスにもがれた左腕を半開きの眼で見る。

しっかりと、変わりなく左腕は治っていた。人差し指をクイクイと動かしたりグーパーをしたり小指から順に握り締めたりと指の動作を確認する。


「大丈夫。ちゃんと治ってるしちゃんと動く。恩羅、ありがと。」


馬頭は半開きの眼で優しそうに笑い窓の外を見ていた恩羅に礼を言う。

恩羅は肩までかかったセミロングの髪をなびかせ微笑んだ。

馬頭や去蝶と違い優しそうな聖母を思わせるような女性だ。


「どういたしまして。もう半日したら完全にくっつくはずだから。無理しちゃダメだよ?」


笑いあう美女二人の会話を牛頭が遮る。


「まぁ馬頭よぉ〜、起きたばかりで一つ悪いんだが…。」


先ほどとは打って変わって真剣な表情になる牛頭。

のとは窓の外を見ているが間違いなくこちらの会話を聞いているだろう。

牛頭は近くにあった三本足の椅子を引き寄せ腰掛ける。


「お前…ネメシスと戦りあったんだってな…?まぁあいつの強さとかはどうでもいい。今重要なことは。」


のとは窓の外を眺めるのをやめ窓枠に両肘をかけ牛頭の話を聞いている。


「『タイラント』が『マートゥリサイド』と繋がっているかわかったか?」


「『マートゥリサイド』?」


俺は初めて聞く単語に首をかしげた。


「マートゥリサイドってのはね、」


俺が一人でいぶかしんでいると隣で阿防の声がする。


「日輪やタイラントと同じ非公式の無法の集団だよ。ヨーロッパ最凶の組織だからね、その戦力はかなりのモンだよ。ちなみに名前の由来は皮肉にもキリスト教発祥の地でイエスの母『マリア』を殺す集団として名前がつけられた。」


「あんた本当にこの世界のことについては詳しいよね。なんで?」


馬頭がベッドの中で感心したように阿防に尋ねた。

阿防は大麻の葉を巻きタバコにするために紙に包んでくるくると巻いて適当に答えた。


「ん〜?あ〜ソレはね、羅刹が教えてくれるの。でも私もこの世界については全部が全部知ってるわけじゃない。色々教えてくれるけど教えてくれないこともあるよ。」


そういって巻きタバコを―大麻を―完成させ火をつけようとする。

が、馬頭がソレを見て少し口を開いた。


「阿防、ここ禁煙。」


「あ、そっか。ごめん。」


阿防は火を消し、作った大麻をポケットにしまう。

俺は阿防に一つだけ質問する。


「…?羅刹って誰だ?」


「私のもうひとつの人格。いろいろ知ってけどなんか重要そうなことは教えてくれないんだ。ケチンボなんだ。でもタイラントはマートゥリサイドとは繋がってないはずだよ。確か。羅刹が教えてくれたんだ。元々非公式の組織が手を組めば公になって行動することになるからって。」


「…なるほど…な。羅刹が言うんだから間違いないかもな。よし、とりあえず俺らはホテルに帰るわ。完治したらウィンチェスター社長に挨拶して日本に帰るから。」


牛頭はそういって椅子から腰を上げる。

俺と龍兵と恩羅はそのまま病室を出て行った。

のとは後ろからついてきた。






「…病院の臭いってよぉ〜マジで鼻に来る。きつい。」


のとが病院の外に出て大きく外の新鮮な空気を吸う。

先ほどまでずっと無言だったのはこのせいか。


「のとよぉ〜。のと、のと。だからお前ホテルで待ってろっていったじゃん。」


龍兵は笑いながらのとの頭を撫で、意地悪そうに言う。

のとの身長は低い。160くらいなので十分頭を撫でれる。


「お前は俺をのけモンにしたいンかよ。俺だってちゃんと見舞いに行くっつーの。」


「でもよぉ、のとぉ〜。お前の服装はアメリカ人さんの目引いてンぞ。」


のとの服装ははっきりいって古風?だ。

薄い和服を着て、たけは短い。左肩部は露出しただ袖は長い。下の服装はシャツなのだがやはりかなり異質だ。


「オ〜サムライ〜!」「ビューティフル!!」


などご当地の人々にとってはとても好感をもたれている。

中には写真を撮る奴までいるから手に負えない。


「別にこん位いいじゃん?つか陽介ぇぇ〜。お前、去蝶が俺にくれた服に文句言うンかよォ〜?」


「別にンなこと言ってねぇだろォーがよぉ!!誰もよぉ。つか牛頭さん、とりあえずどうするンスカ?馬頭さんの傷が治るまでホテルで待機っすか?」


俺はのとをなだめ牛頭の方へ向き直る。

そして怒るのとを恩羅はまぁまぁとなだめていた。


「ん〜まぁそうなるな。とりあえず日本に帰るのは馬頭が万全な状態じゃないと。まぁ小型のジェット旅客機が用意してあるからな。俺らの装備じゃ検問にひっかかっちまう。」


牛頭は皮肉そうに笑う。

俺は「へぇっ」と適当に返事をしあたりを見回す。


「あ、どうせ待つならビデオ借りてきましょうよ。ホテルで見るンすよ。」


俺は通りの向かいにあるレンタルビデオ店を見つけそれを指差す。


「あ〜まぁそれもいいなぁ。どうせ半日何もしねぇんだし。」


牛頭はそれを承諾してレンタルビデオ店へと入っていった。

俺と龍兵も後に続く。

のとは数人のアメリカ人に写真をせがまれていた。



中に入るとさすがにアメリカのレンタルビデオ店は日本と雰囲気が違う。

なんていうか派手だ。

そしてそこで俺は『あるもの』を発見した


「ちょっ!ちょっと龍兵さん!!龍兵さん!!来てくださいよ!!」


「どうしました陽介さん!?何を見つけました!?」


俺はそのレンタルビデオ店の一角で棚の下のほうなったあるビデオを見つけた。

龍兵が興味津々で近づいてくる。


「これ!懐かしいでしょ!?ハムナプトラならぬ『ハメナプトラ』ですよ!!」


「おお!!なんじゃこりゃ!!アメリカにもあったンかよ!!これ借りよう。」


俺と龍兵はソレをかごの中に入れる。

店内を見回し牛頭とのとと恩羅を探す。


「お、いたいた。牛頭さん何借りたンすか?」


「あ?俺はこれだ。」


そういってかごの中に入れる。

かごの中をのぞくと『羊達の沈黙』が入っていた。


「私はこれかな。」


恩羅もかごの中に入れる。

俺は店内をもう一度見渡し阿防を探すがどこにもいない。


「龍兵…、これやっぱり返してこよう…。俺返しに行ってくるわ。」


俺はかごの中にあったビデオを返しに行くついでに阿防を探すことにした。

さほど広くない店内なのですぐ見つかるだろう。


だが病院までは一緒にいたはずの阿防がいない。どこに行ったのか?店内すべてを回ってみるがどこにもいなかった。


とりあえずビデオを棚に戻しショウウィンドウの外を見ると、阿防が電話をしているのが見えた。

しかしそれも少しの間だけですぐに受話器を戻し店内に入ってきた。


「…何やってんだ…?電話?知り合いでもいンのか?」


阿防は何食わぬ顔で牛頭と合流する。

俺は牛頭たちのところに戻り、会計を済ませて一緒にホテルへと向かった。









「あ〜早く帰りてぇなぁ〜!とりあえず日本に帰りてぇ!!なんか落ちつかねぇぇぇ!」


深夜、ホテルで俺は借りてきたビデオを見ながら大きく欠伸をする。

部屋には阿防と恩羅しかいない。


「まぁ明日には帰れるって。とりあえずはさ。」


阿防はベッドに腰掛け一緒に映画を見ながら眠そうに言う。

俺と阿防は護衛である。恩羅は唯一の治療が出来る”力”を持っているので恩羅が死んでしまっては日輪にとって大きな損害となるからだ。


「でも…馬頭は大丈夫なのかな?この機に敵に襲われたりしないのかな?」


恩羅は心配そうに言う。

今馬頭は負傷している。もちろん戦うことは出来るだろうがソレでも戦闘力の低下は著しい。

なので今は牛頭たちが病院に向かっている。


「アッハハハ!!大丈夫っしょ!あいつ等が居れば馬頭が死ぬことはないと思うよ。」


阿防は軽快に笑う。

恩羅は「だといいけど…。」と安心できないような表情を浮かべる。

しかし俺たちが行っても何も変わらない。今は恩羅を警護しなければならないのだ。


「まぁ恩羅さんよぉ、まだ馬頭さんを襲いに来る奴がいると決まったわけじゃねぇンすから。何もないことだけ祈っときゃいいんじゃないスか?心配しすぎっすよ。」


「いや、多分来るよ。『ネメシス』を何とか退けたとはいえ馬頭も手負い。確実に殺してくる。」


阿防は真剣な表情で、しかしどこか余裕のあるように言った。


「何でお前はそう不安を煽るように言うかなぁぁ〜?今俺が心配を取り除くように言ったのによぉ〜?」


俺はうんざりしたような目で阿防を見る。

しかし阿防はくすくすと笑いおかしそうに俺に言う。


「アンタも心配しょ〜だねぇ〜。だからあたしが言ったじゃん。最初にさぁ『あいつ等が居れば馬頭は死ぬことはない。』って。あいつ等がちゃんとやってくれるって。それとも牛頭たちが負けるとでも?」


阿防はベッドでおっさんみたいに寝転がり、俺を指差した。


「……ないな。」


頭の中にあの面子を思い浮かべ少し考えて答えを出す。

のとの実力はどれほどか知らないが少なくとも龍兵と牛頭がそう簡単に負けるはずがない。


「だっしょ〜?まぁ無事に帰ってくるまでとは言えないけどさぁ。とりあえず待っとこうよ。」


俺はそういわれて何故か自分でも納得し大きく欠伸をしながら「そだな。」と答え待つことにした。












深夜―もちろんその日の深夜だが病院では異常事態が発生していた。


「夜の病院と夜の学校どっちが怖ぇ?お前は。」


病院の一階受付で3人の男が話し合っている。歳こそ若そうだが異常なまでの雰囲気を持っているのは確かだ。

当直の看護婦だったのであろう、しかし今となっては血まみれの死体となって病院の床に転がっている。それも数は5〜6人。

男達は別段ソレを気にもとめず、ソレを横目に歩いている。


「夜の病院だな。なんたって死体が地下にあるらしいからなぁぁ。絶対なんか出るって。じゃあベノム、お前、自殺するときは拳銃自殺かクスリで死ぬかどっちがいい?」


一人の男が真剣に話す。


「はぁぁ〜?んなもんクスリだろぉ。綺麗な状態で死にたいじゃん?どうせ死ぬならぁ〜。」


ベノムと呼ばれた男はさも当たり前のように言う。

もう片方の男は「あ〜なるほどぉ」とベノムの答えに納得したようにうなずいた。


「おい、お前等うるせぇ。別に死んだ後のことなんてど〜でもいいだろぉがよ。」


イライラしていたもう一人の男がうんざりだという感じで二人に吐き捨てるように言った。

見覚えのあるこの男。黒髪の短髪、目の下のくま、頬には『4』という刺青。

そう、ウァラウァラである。


「人間死んじまえばどうせ終わりだろ。」


ウァラウァラは曲がり角を曲がり階段を上る。

もう一人の男は階段を上るウァラウァラの後ろで言う。


「でもよぉ、人間完全な状態で死なねぇとあの世に逝けないんだってよ。エジプトの王族がミイラになるとき五体満足じねぇといけないらしいし。」


「あのよぉぉ〜、たとえ五体満足で死んだとしてもドゥーキー。お前はあの世に逝けねぇぇ。地獄に落ちるぜ。もち俺もベノムもな。」


「それもそうだ。なぁドゥーキー、諦めろ。何で死んだってかわりゃしねぇぇ〜。つ〜かウァラウァラさん、なんか今回女を殺るそうじゃないっすか。」


ベノムは欠伸をして目をこする。

ドゥーキーも懐から写真を出しベノムに渡す。


「これ、この女。なんかよぉ、ネメシスさんとやりあって生き残ったんだとよ。んで今こいつも痛手を負ってるから確実に殺すために俺ら3人ここに来たってこと。」


ドゥーキーは馬頭の写真を指差す。

そして今ちょうどこの3人は2階の踊り場に出た。


「へぇ〜、ほぉ〜。…なんかよぉ、ドゥーキー、俺ら3人で女殺すってさぁぁ〜、『レイプ』するみたいな感じじゃね?」


ベノムは馬頭の写真を見ながら半笑いでドゥーキーに話しかける。

ドゥーキーもウァラウァラも笑いながらベノムのふった話に乗った。。


「ハハハハ、抵抗できない女を無理やり犯すって感じだよなぁ。今の俺らってよぉ。最低だ。」


深夜の病棟にドゥーキーの卑下た笑い声が響く。


「つかこんなイイ女殺すなんてなぁ、勿体ねぇよなぁぁ。あ〜お前等覚えとけよ、『女は殺るもんじゃねぇ、犯るもんだ』ってなぁ。」


ウァラウァラも二人に教えを説くかのように言う。

しかし、この会話も3人以外の声によって中断された。



「あ〜うるせぇぞ下衆ども。そーいう会話はよぉ〜、家でお友達同士でやってろ。」


2階の病院のホールの暗闇から出てきたのは牛頭だった。

刀の鞘を握り締め、腰掛けていた長いすから立ち上がる。


「お〜ぅテメェか、ウァラウァラ。なんだ?女殺すのに3人でいくなんてよほどチキってンのかぁ〜?」


「なんだ…オメェか、オールバックのでこッぱち野朗。女守ンのに一晩中居るつもりかよ。めでてぇ野朗だな。」



一瞬で張り詰める空気。先に動いたのは牛頭ではなくウァラウァラでもなく、ベノムだった。

懐から取り出した銃をまるで西部劇のガンマンのように撃つが牛頭は刀を半分抜いて暗闇にもかかわらず相手の攻撃を防いだ。


「なんだ?ウァラウァラより先に死にてぇンかよ?いいぜぇ、こいよ。」


「ウァラウァラさん、ドゥーキー。こいつぁ俺が殺るぜぇぇ〜。先に行ってくれや。」


ベノムは牛頭が下手に動かないよう、ウァラウァラとドゥーキーの行く手を阻まぬよう銃を構え牛頭の動きを封じる。


ウァラウァラとドゥーキーは悠々と牛頭の脇をすり抜け馬頭の病室へと向かうため、もう一つの病棟の渡り廊下を渡っていった。






「ベノムはあいつに勝てるンスかね?」


廊下を歩きながらドゥーキーはウァラウァラにたずねる。


「別に…勝てるとか負けるとか、今はそんなことどうでもいい。あいつは俺らの仕事を確実なものにしてくれた。ソレもあいつの仕事だ。後はあいつが死のうがどうでもいい。」


ウァラウァラはニタァッと笑みを浮かべ病棟と病棟の間の渡り廊下を渡り切り、突き当りを曲がる。


馬頭の部屋は更に一階上がったところ、つまりは3階なのだが曲がり角を曲がったウァラウァラの眼に入ってきたものはのとだった。軽装な着物を着、まるで時代劇に出てくるような浪人の武士を思わせるような格好は病院にはひどく不釣合いな格好だった。


「くせぇ。めちゃくちゃくせぇ。病院の臭いは頭が痛くなりそうだ。頭痛かよこりゃあよぉ〜?それとも時差ぼけで眠くて頭が痛いのかのどっちかだな。」


大きな大刀は優に1mを越し、肩に置いて待ち人を待っていた。


「んでここは通せれねぇぇ。」


のとは刀を構え、敵の迎撃に備える。


「俺がさっき言ったこと覚えてンよな?」


ウァラウァラはドゥーキーにそういうとドゥーキーはナイフを抜いてのとに斬りかかる。


「そう。道を空けてくれないのなら、どかすまで。つぅ〜わけでよぉ、馬頭は俺が殺してくるぜぇ〜。」









銃口をまだ牛頭に合わせているベノムが口を開いた。


「……別段あせりもしねぇんだな。ウァラウァラさんとドゥーキーがあの女を殺すぜ?」


ベノムは銃で頭をかきながら牛頭に問う。


「俺は一人でここにいるんじゃあねぇ。ちゃ〜んと仲間がいるからよ。お前の仲間、死ぬぜ。」








ウァラウァラは既にドゥーキーの相手で手一杯ののとを無視し馬頭の病室へと向かった。

階段を上りきり、3階廊下に出ると龍兵がナイフを取り出して既に待っていた。


「コンバンワ。ウァラウァラ。お前で最後だ。ちょうど人数が合ったな。この前の戦い、まだついてないもんな。」


「龍兵…!」





―最後の最後まで目的に障害があるのはよくあることで、今がまさにソレだった。

2階のホールでベノムと対峙している牛頭は不敵な笑みを浮かべる。


「さてと…3対3、ちょうどいいだろ。なんならハンデをやってもいいぜぇぇ〜!!始めようか!!」







次はバトルです。こんなんでも面白いと思われた方!!評価をお願いいたします。

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