プロローグ:夢の記憶
初めまして。今回が初投稿でまだまだ文も拙く右も左もわからぬような若輩ものですが、楽しんでいただけたら幸いです。
小さな鉄格子の間から、星が見える。
5本の格子棒の2本目と3本目の間には小さく二等星が輝いていた。
ベッドの上で寝ていた俺は目を背け、暗くて冷たい畳の方へと目を向けていた。
まるで、自分とは正反対の存在を認めたくない餓鬼の様に目を背けて…………
5、6人は囲めるテーブルには男と女、そして『自分』が座っている。
夢の中の配役だ。
おそらくは自分なのだろう。
色とりどりのご馳走が並び真ん中には大好きなチョコレートケーキがあった。
蝋燭が四本立っていて、先っぽの炎はゆらゆらと静かにゆれていた。
「happy birthday!!××××!!」
男は笑顔で、そして幸せそうな顔で言った。
「おめでとう!!××××!!これであなたも四歳ね!!」
女も満面な笑みで微笑みかけてきた。
どうやらこの二人は『自分』の両親らしい。
だが顔はぼやけてはっきりとは分からず、自分の名前もノイズのような音で上手く聞き取れない。
ただ、ぼやけていても大体の表情は読み取れた。
とりあえず『自分』は火を吹き消そうと大きく息を吸った。そしてそれをおもいっきり揺れる炎へと吹きかける。
…………あたりが真っ暗になった。
本当の闇があるとしたらこんな感じなんだろうと実感できるほどの闇だ。
まるで堕ちていく感覚すらなく堕ちていくよウ ナ……
突然目が覚めた。目の前には汚らしい、見慣れた人の顔のようなシミのついた天井がそこにはある。
「………またか。」
そう呟いた俺はまたゆっくりと目を閉じた。
そして少し経ってから目を開け、薄目の状態で鉄格子から外を見た。
まだ日が昇ったばかりのようだ。小鳥の囀りなど気の利いたものは聞こえず、その代わりに隣室からのンガァァァという低いいびきだけが聞こえてきた。
……ここに来てからもう1週間になる。
しかしここに来る2週間程前からこの夢を見るようになっていた。
しかもそれはいつも決まった夢ではなく、ある時はピクニックを、ある時は遊園地のときもあったしただ家で本を読んでいるだけというのもあった。
なぜここ最近あんな夢を見るようになったんだ?
俺の境遇からか?
俺が家族の愛に飢えているからなのか……?
しかし俺はあれこれ考えるのはあまりしないほうだ。
なぜなら不安は心に恐怖を呼び込む。
目的もなく、ただ人生を生きているような俺にはそんなものはいらなかった。
いや、誰だっていらないだろう。
しかし俺みたいな苦しい人生には更なる重みを加えたくなかった。今のままでも十分ツライ……
いつもより早い起床時間によってできた暇を二度寝にあてることにした。
これからの俺の人生はゴミみたいなものになるのだろうとだと思いながら……