助力と代償1
取りあえず短いですが、第一話up
瑞々しい若草の香りが鼻を擽り、全身に仄かな暖かい陽光を感じ、閉じて
いた瞳をうっすらと開いてみる。
毒に蝕まれ動くことも儘なら無かった身体も癒され、僅かな倦怠感を残すのみに回復していた。仰向けになり、ゆるりと身体を弛緩させ、ぼんやりと周りを伺う。
意識を失う前にみた小さな泉と精霊塚の祠が何事も無かったように佇んでいる。
「・・・・・助けて、・・・・いただいたのか・・・」
近くで陽光を受けて舞う気配が優しく頬を撫でていった。
木漏れ日の眩しさに目を守ろうと手を翳そうといたが失敗する。まわりつ
く布に腕をとられ動きを制限されたのだ。
ぼんやりと訝しく思う。
自分は動き易い身の丈のあった長上衣を着ていたはず、袖が余るような服で
はない。
袖が余る・・・・・?
違和感が高まる。全身にまとわりつく布の感触、身体を動かすと布の中で泳
いでいるようだ。
「え、・・・・・・えぇ!?」
鉛を何十にも巻いたかのような重さを感じたが、無理矢理起き上がり、身
体を見まわす。
違和感の正体は、服の大きさだった。
まるで子供が、親の服を着たかの様に、余った袖に裾。まるっきり身体が服
の中で泳いでしまっている。
違和感はそれだけでは無かった。
肩と胸を守る簡易なプレートアーマーが異様に重く感じる。感じた身の重さ
は鎧だったようだ。
そんな馬鹿な。着なれている鎧に身を捕られるなど、あり得ない。
余る袖に不充しながら、鎧を外し、腰の重りになっていた剣を置く。やっ
との事で重さから解放されると、慌てて泉に這い寄ると、静かに波打つ水面
を覗き込んで愕然とした。
「ッ!?・・・・・・・・」
其処に映っていたのは、まだ幼さの残る小さな少年だった。
何だか・・・・・某探偵を思い出しますが、違うんです~違うんだぁ~~~