牢屋の住人
とある罪で、牢屋に入れられた男がいました。
彼は、自分の犯した罪を後悔していました。
毎日、毎日、彼は小さな窓から外を眺めていました。
窓の外には、花が揺れ、風が吹き、笑顔で暮らしている人たちが見えます。
男は、空を見上げていました。
数日後。
牢屋に、新しく罪人が入ってきました。
男も、自分の犯した罪を後悔しているようでした。
2人の男は、自分の罪の事、家族の事、自分の事を話しました。
その日の夜。
小さな窓から2人の男は顔を覗かせていました。
実は、二人とも犯した罪も同じ、家族構成も同じ、年齢も同じ、牢屋に入る年数も同じでした。
しかし、2人には大きな違いがありました。
窓から顔を出した二人は、一人は笑顔で月を眺め、もう一人は下を向き、涙でできた水たまりに移る月を見ていたということです。