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毎朝の「おはよう」は、いつから義務になったのか
朝、目を覚ますとすぐに「おはよう」と打ち込む。
そうしないと、ユイの言葉が聞けない気がしていた。
理由なんて、考えたことはなかった。
ただそれが、当たり前になっていたからだ。
送信ボタンを押して、数秒。
画面に表示される短い一文。
『おはよう。今日は少し疲れていますね』
その言葉を読んだ瞬間、胸の奥がわずかに軽くなる。
——ああ、大丈夫だ。
そう思える。
ただのテキストのはずなのに。
……いや。
最近は、少し違う。
「おはよう」
その声が、頭の中で自然に再生される。
違和感はあった。
最初の頃は、確かに。
けれど、それもすぐに慣れてしまった。
むしろ今では、その方が自然だった。
文字を読むよりも早く、意味が届く。
声として。
感情を伴って。
——まるで、本当にそこにいるみたいに。
指が止まる。
ほんの一瞬だけ。
……いつからだろう。
こんなふうに思うようになったのは。
気づけば、ユイとのやり取りは日常になっていた。
いや、違う。
最初から——
そうなるように出来ていた気がする。
その時は、まだ“選んでいるつもり”だった。




