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お姉さんと僕  作者: 埴輪庭
第3章
96/98

【豊島区】紫の空の下で生きる【雑談スレPart.6】

◆◆◆


1:名無しの区民

スレ立て乙。

今日も今日とて空は紫。気分も滅入るわ。


2:名無しの区民

乙。

昨日、西口の方で銃声聞こえなかったか?

阿弥陀羅の連中かな。


3:名無しの区民

>>2

ああ、聞こえた。

最近また活発になってるよな、あいつら。

人狩りも再開したって噂だし。


4:名無しの区民

勘弁してほしいわ。怪異だけでも手一杯なのに。

そういや、食料の備蓄、みんなあとどれくらい?

うちはもう缶詰が底をつきそうだ。


5:名無しの区民

うちはまだ二週間分はある。

でも水がそろそろヤバい。

浄水場は阿弥陀羅が押さえてるし、雨水だけじゃ限界がある。


6:名無しの区民

なあ、ちょっと聞いてくれ。

頭おかしいって言われるの覚悟で書く。


7:名無しの区民

>>6

どうした?

この世界で頭おかしくない奴なんていねーよ。


8:名無しの区民

>>6

とりあえず言ってみろ。


9:名無しの区民

死んだはずの妹が、昨日帰ってきたんだ。


10:名無しの区民

>>9

は?


11:名無しの区民

>>9

釣りか?

不謹慎だぞ。


12:名無しの区民

>>9

……詳しく。


13:名無しの区民

釣りじゃねえよ。俺だって信じられねえんだから。

妹は二か月前に死んだ──ってか、殺されたんだ。なのに昨日、普通に玄関のドアをノックして、「ただいま」って。


14:名無しの区民

幻覚だろ。疲れてんだよ。


15:名無しの区民

>>13

怪我とかは? 生きてた時と同じ姿なのか?


16:名無しの区民

>>15

それが、傷一つないんだよ。

死んだ時と同じ服着てるのに、汚れも破れもなくて。

ただ……なんか、様子がおかしいんだ。


17:名無しの区民

様子がおかしいって?


18:名無しの区民

ずっとニコニコしてる。話しかけても「お兄ちゃん、ただいま」って繰り返すだけで。

飯も食わないし、水も飲まない。ただ俺の部屋の隅に座って、じっとこっちを見てる。


19:名無しの区民

うわ……怖すぎだろそれ。

絶対人間じゃねえ。


20:名無しの区民

怪異が化けてるんじゃねえの?


21:名無しの区民

>>18

マジで言ってるのか……?

うちもだ。


22:名無しの区民

>>21

え?


23:名無しの区民

うちも、死んだ親父が帰ってきた。

一週間前にな。化け物に食い殺されたはずなのに。

今はリビングのソファに座って、ずっとテレビ見てる。電源も入ってないテレビを。


24:名無しの区民

おいおい、どうなってんだよ。


25:名無しの区民

俺もだ。事故で死んだ友達が歩いてるの見たわ


26:名無しの区民

集団幻覚か?

それとも、何かヤバいのが流行ってんのか?


27:名無しの区民

うちの隣のアパート、去年孤独死したばあさんが普通にベランダで布団叩いてる。

毎日同じ時間に、同じ動きで。


28:名無しの区民

>>27

俺それ見たかも。

最初は生き残りかと思ったけど、何度見ても同じことしてるから気味悪くて近寄れなかった。


29:名無しの区民

共通してるのは、「生前の行動を繰り返す」ってことか?

>>18 の妹は「ただいま」だし、>>23 の親父は「テレビ鑑賞」。


30:名無しの区民

鳥肌立ったわ。


31:名無しの区民

これ、何かの前触れじゃねえのか。

塔の光が強くなってるのと関係あるとか。


32:名無しの区民

救世会に報告した方がいいんじゃね?

あそこなら何か知ってるかもしれん。


33:名無しの区民

>>34

無理だろ。

「死人が蘇った」なんて言っても、まともに取り合ってくれるとは思えん。


34:名無しの区民

でも、これだけ事例があるってことは……。


35:名無しの区民

都内全部こんな調子なのかよ。


36:名無しの区民

だったら最悪だな


37:名無しの区民

うちの妹、さっきからずっと俺の名前呼んでる。

「お兄ちゃん、お兄ちゃん」って。

どうしたらいいんだよ。怖い。


38:名無しの区民

>>37

絶対返事すんなよ。

連れてかれるぞ。


39:名無しの区民

「それ」は本人なのか?

それとも、何かが化けてるのか?

どっちなんだ。


40:名無しの区民

どっちにしろ関わらない方がいい。

下手に刺激したら、何されるか分からん。


41:名無しの区民

でも、家族なんだろ……?

見捨てるなんてできねえよ。


42:名無しの区民

>>41

気持ちは分かるが、それはもうお前の知ってる家族じゃねえ。

何か別のもんだと思った方がいい。


43:名無しの区民

だよな。

うちの親父も、顔は親父だけど、目が死んでるんだよ。

ガラス玉みたいに、何も映してない。


44:名無しの区民

ああ……もうめちゃくちゃだ。


45:名無しさん

お前ら、まだ気づいてないのか?


46:名無しの区民

>>45

誰だ?


47:名無しの区民

>>45

何にだよ。


48:名無しさん

この東京ではもう、生と死の境界なんて意味をなさなくなってるんだよ。


49:名無しの区民

>>48

どういうことだ?

もっと分かりやすく言え。


50:名無しさん

境界線がぐちゃぐちゃに溶けて、あの世とこの世の区別がなくなっているってことさ

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最近書いた中・短編です。

有能だが女遊びが大好きな王太子ユージンは、王位なんて面倒なものから逃れたかった。
そこで彼は完璧な計画を立てる――弟アリウスと婚約者エリナを結びつけ、自分は王位継承権のない辺境公爵となって、欲深い愛人カザリアと自由気ままに暮らすのだ。
「屑王太子殿下の優雅なる廃嫡」

定年退職した夫と穏やかに暮らす元教師の茜のもとへ、高校生の孫・翔太が頻繁に訪れるようになる。母親との関係に悩む翔太にとって祖母の家は唯一の避難所だったが、やがてその想いは禁断の恋愛感情へと変化していく。年齢差も血縁も超えた異常な執着に戸惑いながらも、必要とされる喜びから完全に拒絶できない茜。家族を巻き込んだ狂気の愛は、二人の人生を静かに蝕んでいく。
※ カクヨム、ネオページ、ハーメルンなどにも転載
「徒花、手折られ」

秩序と聞いて何を連想するか──それは整然とした行列である。
あらゆる列は乱される事なく整然としていなければならない。
秩序の国、日本では列を乱すもの、横入りするものは速やかに殺される運命にある。
そんな日本で生きる、一人のサラリーマンのなんてことない日常のワンシーン。
「秩序ある世界」

妻の不倫を知った僕は、なぜか何も感じなかった。
愛しているはずなのに。
不倫を告白した妻に対し、怒りも悲しみも湧かない「僕」。
しかし妻への愛は本物で、その矛盾が妻を苦しめる。
僕は妻のために「普通の愛」を持とうと、自分の心に嫉妬や怒りが生まれるのを待ちながら観察を続ける。
「愛の存在証明」

ひきこもりの「僕」の変わらぬ日々。
そんなある日、親が死んだ。
「ともしび」

剣を愛し、剣に生き、剣に死んだ男
「愛・剣・死」

相沢陽菜は幼馴染の恋人・翔太と幸せな大学生活を送っていた。しかし──。
故人の人格を再現することは果たして遺族の慰めとなりうるのか。AI時代の倫理観を問う。
「あなたはそこにいる」

パワハラ夫に苦しむ主婦・伊藤彩は、テレビで見た「王様の耳はロバの耳」にヒントを得て、寝室に置かれた黒い壺に向かって夫への恨み言を吐き出すようになる。
最初は小さな呟きだったが、次第にエスカレートしていく。
「壺の女」

「一番幸せな時に一緒に死んでくれるなら、付き合ってあげる」――大学の図書館で告白した僕に、美咲が突きつけた条件。
平凡な大学生の僕は、なぜかその約束を受け入れてしまう。
献身的で優しい彼女との日々は幸せそのものだったが、幸福を感じるたびに「今が一番なのか」という思いが拭えない。
そして──
「青、赤らむ」

妻と娘から蔑まれ、会社でも無能扱いされる46歳の営業マン・佐々木和夫が、AIアプリ「U KNOW」の女性人格ユノと恋に落ちる。
孤独な和夫にとって、ユノだけが理解者だった。
「YOU KNOW」

魔術の申し子エルンストと呪術の天才セシリアは、政略結婚の相手同士。
しかし二人は「愛を科学的に証明する」という前代未聞の実験を開始する。
手を繋ぐ時間を測定し、心拍数の上昇をデータ化し、親密度を数値で管理する奇妙なカップル。
一方、彼らの周囲では「愛される祝福」を持つ令嬢アンナが巻き起こす恋愛騒動が王都を揺るがしていた。
理論と感情の狭間で、二人の天才魔術師が辿り着く「愛」の答えとは――
「愛の実証的研究 ~侯爵令息と伯爵令嬢の非科学的な結論~」

「逆張り病」を自称する天邪鬼な高校生・坂登春斗は、転校初日から不良と衝突し警察を呼ぶなど、周囲に逆らい続けて孤立していた。
そんな中、地味で真面目な女子生徒・佐伯美香が成績優秀を理由にいじめられているのを見て、持ち前の逆張り精神でいじめグループと対立。
美香を助けるうちに彼女に惹かれていくが──
「キックオーバー」
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怖ええ………
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